Apple TV+ 「インベージョン(Invasion) S1」ネタバレ考察

今回は少し趣向を変えてApple TV+で配信されているApple Originalドラマシリーズ「インベージョン」のシーズン1の考察などをまとめておきたいと思う。何故考察を書こうかと思ったかと言うと単純にネット上に日本語の考察記事がほぼなかったため。

なお、本記事はあくまで考察であり、ストーリーのあらすじや感想などは最小限に留めておく他、ネタバレ全開のため未視聴の方は注意して頂きたい。

インベージョンの概要

インベージョンはエイリアン侵略を描いたSFドラマであるが、主に人間ドラマに焦点を当てたグランド・ホテル形式のため、SFパニック物を期待する人向けではないと思う。

例えるならば映画「クワイエット・プレイス」の尺をかなり長くしたような雰囲気である。

従って米軍や人類がエイリアンと派手に戦闘を行うようなシーンはほぼなく、エイリアンの登場シーンもごく僅か。

本作は2021年にシーズン1の配信が終わり、2023年8月23日からシーズン2がスタートする予定だ。そのため、ラストも「次回に続く」というような終わり方をするため、特にカタルシスなどはない。

また、ネタバレになるがシーズン1に登場するエイリアンは9話において人類の核攻撃であっさりと倒されるため、若干肩透かし感がある。

本作のストーリーは基本的にアメリカのアニーシャ一家・アフガニスタンで任務に就いていた米軍特殊部隊の生き残りであるトレヴァンテ・イギリスの少年キャスパー・日本のJASA(現実世界でのJAXAに相当する)に勤めるミツキの物語を同時進行的に交えながら展開されていく。

ちなみにサム・ニールは第1話にしか登場しない。

考察

エイリアンの目的

エイリアンの目的は作中でも示されている通りテラフォーミングであり、地球中に金属質の胞子のようなものを撒き、大気の環境をエイリアンに適したものに作り直すこと。

人間を殺すのはたまたま遭遇した、あるいはテラフォーミングの障害となるために排除するのであって人類の殲滅が目的ではないように思われる(エイリアンの作り出す大気は人間にとって有毒のため、放っておいても人間は勝手に死ぬ)。

エイリアンの正体(仮説)

本作に登場するエイリアンは黒い液体金属のウニのような姿をしているが、僕はこの「エイリアン」は実際には母船の有機生命体のエイリアンが放った戦闘&テラフォーミング機械だと解釈している。

そう考えれば地球中で停電が起きたり、電子機器に異常が起こる描写にも説明がつくし、人類の核攻撃で全てのエイリアンが稼働停止したのも納得できる。

シーズン1の最後で現れた巨大な宇宙船が「本物」のエイリアンが操船する、いわば「真の母船」ではないかと考えている。

また、シーズン1第1話及び第2話では液体金属のウニのようなエイリアンとは姿が違う個体(透明な個体及び砂嵐を起こした巨大な個体)に衝撃派で人間が吹き飛ばされる描写があるが、こちらが「本物」のエイリアンだろう。

液体金属のウニのようなエイリアンは人間を棘状の触手で殺しているが、衝撃波を発生させる攻撃は一切見られないからだ。

キャスパーの能力

イギリスの少年キャスパーはてんかんの発作があるが、エイリアンの襲来以前から発作中にエイリアンの存在を感知し、更にシーズン1終盤ではエイリアンの視点をジャックするような描写まである。

恐らくではあるが、キャスパーは特異体質でエイリアンや母船の放つ特殊な電磁波に対して感受性が高いのだろう。ただ、エイリアン自身もキャスパーの能力に気づいており、危険視されたためか終盤ではエイリアンはキャスパーを狙って襲撃してくる。

エイリアンはキャスパーが止めたのか、核攻撃で母船が破壊されたから止まったのか?

9話でキャスパーは病院内でのエイリアンをジャックし、エイリアンの活動を停止させたような描写があるが、同時刻に米国がエイリアンの母船に対して核ミサイルによる攻撃を行っている。

果たして全てのエイリアンが機能停止したのはキャスパーの力によるものなのか、それとも核攻撃によるものなのか、作中でも明確な答えは示されておらず、視聴者に委ねるような扱いになっている。

個人的には病院内でキャスパー達を襲撃したエイリアン3体であればキャスパーによる力による影響というのは十分に考えられるが、世界中でエイリアンが機能停止したというのはキャスパーの力の範囲を超えていると思われるため、やはり核攻撃で母船が破壊(というより墜落)したのが最大の要因だろう。

ルークが拾ったオブジェクト

ルークが拾った黒い金属質の破片はエイリアンやエイリアンの放つ胞子へ近づけると、エイリアンの再生能力を阻害し、酸をかけただけで構造が崩壊してエイリアンは機能停止してしまう。

この破片はルークが拾ったものだが、明らかに地球上のものではない。しかしエイリアンの機能を容易に停止させるものを当のエイリアンが保有していたとは考えにくい。

イギリス編においてエイリアンが飛来する際にロシアの衛星と衝突した描写があったが、エイリアンが飛来する際にエイリアンの金属と衛星が衝突した結果、エイリアンの金属の組成が偶然にも変化し結果的にエイリアンの弱点をつける物体になったのではないか。

ぶっ飛んだ仮説としてはこの物体は本作に登場するエイリアンと敵対する別のエイリアンがルークに授けたとも考えることができるが、この仮説を唱えるには材料が足りない。

ルークが鼻血を出さなかった理由

エイリアンが襲来し(人類はまだそのことには気づいていない)物語序盤で学校の教室中の子供達が鼻血を出したのにルークだけは鼻血を出さなかったが、これはルークに何か特殊な力があるわけではなく、前述のオブジェクトをルークが身近なところに所持していたため、単にエイリアンの電磁波などの影響を受けなかったからだろう。アニーシャ一家の家だけが無事だったのも同様の理由だと思われる。ワジョという言葉をルークだけが聞いたのも、オブジェクトが二次的に導体のような役割をしたのではないかと思う。

仮にルークが特別な存在だと仮定した場合、明らかに特殊な力を持つキャスパーと役割が被ってしまうため、ルークに特殊な力があるとは考えにくい。

終盤で護送されるアニーシャ達を武装グループが襲ったのは何故?

終盤でペンタゴンへの護送途中にアニーシャ一家の載った米軍のトラックが武装グループと米軍から離反した米兵による襲撃を受けるが、アニーシャ一家を襲ったのはアニーシャ一家の持つルークのオブジェクトが目的。

米軍に委ねるのではなく、自分達でオブジェクトを入手し、エイリアンから身を守り、ゆくゆくは自分達でエイリアンへの反撃を企てていたのだろう。

米軍だけではなくシェルターで出会った数名の避難者にもルークの持つオブジェクトがエイリアンの再生能力を無効化することを知られてしまったため、彼らから話を聞いた武装グループが結果的にアニーシャ一家を追ってきたのである。

ムライ船長は生きているのか?

終盤で宇宙空間に放り出された状態のムライ船長がシャトルへと戻る描写があるが、これは不眠不休のコーディング後にミツキが見た単なる夢である。

何故なら「ほし12号」が破損し、ムライ船長を含む3名がシャトル外に放り出された時、彼らは宇宙服を来ておらず、ほぼ確実に即死したか、生きていたとしてもエイリアンの母船の中でしかあり得ないからだ。

実際にムライ船長が生きているのかどうかは定かではないが、エイリアンの船の中で捕獲・もしくは蘇生され生きている可能性はあるだろう。この点についてはシーズン2で明らかになるのではないだろうか。

「ワジョ」という言葉の意味

「ワジョ」という言葉はムライ船長、もしくはムライ船長の言葉を合成したエイリアンによって発せられたと思われる言葉だが、「ワジョ」という言葉は単体では恐らく意味を成さない。

何故ならば第9話冒頭で「ワジョ」とムライ船長が言葉を発した時、その後も唇が若干ながら動いているため「ワジョ」とは何らかの単語か文章の始まりの言葉である可能性が高いからだ。ミツキの夢の中の光景とは言え、これは制作側からの重要なヒントであると考えている。

ただ、現在シーズン1で与えられる情報だけでは「ワジョ」から始まる言葉が一体なんなのか、判断する材料が足りない。

人類の勝利が日本によってもたらされた、と報道されているのは何故?

シーズン1最終話ではエイリアンに対する勝利は日本によってもたらされたと喧伝されているが、これはミツキがエイリアンの母船に捕まった状態である「ほし12号」の場所を特定し、核攻撃の目標を明確に定めることが可能になったこと、更にエイリアンの合成音声との通信で時間稼ぎに成功したからである(ミツキ本人に時間稼ぎをしている自覚はなかったが)。

実際に核攻撃を行ったのは米国なので米国によってもたらされた勝利とも言えるが、恐らく米国政府は核攻撃を行ったという事実をあまり大っぴらにしたくなかったため、日本側に手柄を持たせたのではないか。

キャスパーが生き返った描写の真意

シーズン1最終話で脳死状態になり人工呼吸器を外され死亡したはずのキャスパーが生き返るような描写があり、更にその後、ムライ船長の父親にコンパスを渡されるというシーンがある。

このシーンについては考察の材料が少なく、正直に言えばキャスパーが生き返った理由はシーズン2が始まらない限りはっきりとしたことはわからない。

ただ、キャスパーと全く接点がないムライ船長の父親が出てきたということはムライ船長の精神世界にキャスパーが干渉した(キャスパー自身の力なのかエイリアンの真の母船の力なのかは不明)と考えることはできる。

「星」のスケッチブックの意味

終盤トレヴァンテがキャスパーのスケッチブックを見返した時、無数の「星」と漢字で書かれた紙を発見するシーンがあるが、「星」とわざわざ漢字で描写しているということは、星=ほし、つまり「ほし12号」を指していると思われる。

こう考えるとムライ船長がエイリアンの「真の母船」内で生存している可能性はやはり捨てきれない。

ただ、「星」という漢字が一つではなく無数に書きなぐられている様子を見ると、星ではなく「星々」を意味しており、複数の惑星からエイリアンがやってきている(あるいはこれからやってくる)と考えることもできる。

考察を終わって

本作はシーズン2ありきで制作されているようで、シーズン1で得られる情報だけでは判明しない謎が多い。

この考察もあくまで少ない情報から僕なりに解釈したものなので全く見当違いの部分もあると思うが、シーズン2が始まるまでは本記事の考察で少しでもモヤモヤが晴れれば幸いだ。