
Mac mini向けにeGPUを購入した直後にベンチマーク目的でもプレイしたNIKO開発の”スワローテイル”をネタバレなしレビュー\( 'ω')/
INDEX
概要

PCノベルゲームをMacの仮想マシン(Parallels Desktop)+eGPUという環境でプレイするのは初めてだったので、体験版で一応の動作確認をしていたとは言え実際に製品版を購入してプレイするまではかなり不安だった作品。
開発 | NIKO |
発売日 | 2019/2/28 |
メディア | DVD-ROMx1 |
対応OS | Windows 7/8.1/10 |
解像度 | 1920x1080 |
推奨CPU | Core i3以上 |
必須RAM | 2GB |
Parallels Desktopの動作 | 問題なし |
eGPUでの動作 | 問題なし |
Coherenceモード | 問題なし |
仮想CPU設定 | 2プロセッサ |
仮想RAM設定 | 2GB |
結局のところは不具合の類は全くなく、ゲームクリアまで何の問題もなかった。
あらすじ
主人公の桜ヶ丘翔はふとしたきっかけから、学校内で変わり者である年下の後輩片平優奈と知り合い、徐々に惹かれていき付き合うようになる。

ある夏祭りの日、主人公は優奈から「一緒に屋台のお面を盗もう」という話を持ちかけられる。
理由を聞いても優奈ははぐらかすばかりであり、突然の話に狼狽する主人公だったが、最終的に優奈に押されて渋々その誘いを受けることになる。
しかし、いざお面を盗むという段階で優奈は忽然と姿を消し、失踪状態となってしまう。
警察に捜索願が出され、主人公も探し回るが優奈の足取りは全く掴めなかった。
それから3年。
大学に進学した主人公は失踪した優奈を忘れられずにいたが、それでも主人公が失意の底に沈んでいた時に支えてくれた幼馴染の上杉理恵と付き合っていた。
そんなある日、主人公の携帯に「一緒に屋台のお面を盗みに行こうよ」というメッセージが届く。
その言葉は主人公と優奈しか知らないはずだった。
3年前に止まった時間が、次第に動き出していく。
感想
僕にとっては初のNIKO作品であるが、そもそもこの作品を選んだ理由が”ストーリーが興味深そう”、”絵が好み”、”発売前に発表されたOP曲が大変良かった”ということだったのだが、いずれの点においても期待通りの出来であった。

「話が短い」というレビューもあるのだが、僕は昔みたいに長時間PCのノベルゲームを集中してプレイ出来なくなってきており、このくらいのボリュームが僕はちょうど良い(早い人なら10時間で全ルートが終わるくらいのボリューム)。
過去編と現代編があり、回想シーンと現代シーンを交互に挟む形で物語が進行していく。
ジャンルとしてはネタバレを極力排除するが、ラブロマンス+一部SFになる。
SF作品にはとても見えないし、そもそもストーリー自体もSFに重きを置いているわけではないが、一応SFっぽい設定が土台にはなっている。
この辺の設定で中には面食らう人もいるかもしれないが、元々の話がSFよりロマンス重点なので僕は突拍子という印象は受けなかった。
キャラクターについてだが、本作のメインヒロインはあくまで片平優奈であり、他のヒロインはどれも魅力的ではあるもののサブヒロインルートはあくまで「おまけ」的な内容で無理やりサブルートを作ったかのような強引さがあり、そこがちょっと気になった。
ただ、どのヒロインも可愛いし、個人的に嫌いなヒロインは一人もいなかった。

個人的にお気に入りは茂庭有華。
正直な話、優奈より魅力的だと感じたのは僕だけではないはず、と思いたい。
ちなみに本作のタイトルの”スワローテイル”はアゲハチョウの英名だが、タイトルの意味は物語終盤で明らかになる。
良かった点
- 綺麗なだけではなく、キャラクターの魅力を引き出す絵のクオリティ
- ヒロインがみんな魅力的
- 個人的にストーリーのボリュームがちょうど良い。
- 話に破綻があまり生じない、ほどよいSF設定
- 1920x1080の解像度でありながら仮想環境でも動作が軽い。
イマイチだった点
- 回想と現代のシーンを交互に挟むストーリー展開だが、一部の年代表記に誤りがある。
- 回想と現代シーンの繰り返しにより、辻褄が若干合わない設定が存在。
- サブヒロインはおまけ的な内容
- 人によってはボリューム不足と感じるかもしれない
総評
Parallels Desktop+eGPUという特殊な環境でも動作に問題はなく、特別重い処理があるわけではないので、eGPUでなくともそれなりの内蔵グラフィックならmacOS側の擬似解像度を落とせば、ある程度快適にプレイも可能な作品だと思う。
こういったゲームはオープニングやエンディングにムービーが挟まれるが、ムービーの再生も全く問題はない。
ゲームとしての感想は、僕みたいに集中力が続かない人間にとっては話がコンパクトに纏まっていて(短いと感じる人もいるかもしれないが)、ボリューム的にちょうどよかった。
ストーリーも特別感動したり、盛り上がる熱い展開があるわけではなく、一見すると地味な作品に思えるが、その分終盤からラストにかけてプレイヤーにとって少々衝撃的な事実が明らかになり、加速度的に物語が収束していくので見ものだった。
ただ、せっかくサブヒロインが魅力的なのに、あまりサブヒロインのルートではキャラクターの掘り下げが行われず、数時間で終わってしまうのでサブヒロインの”おまけ的な扱い”は少し残念だった。
それでもコンパクトなボリュームでありながら、ストーリーを破綻させずきっちりと伏線を回収して終わりを迎えた点は良かった。
「こういうゲームにちょっと興味があるけど飽きるのが心配」という人でも気軽にプレイ出来る一本だと思う。