三秋縋著”いたいのいたいの、とんでゆけ”、”君が電話をかけていた場所”、”僕が電話をかけていた場所”読了。
相変わらず三秋縋の作品を読み続けているが、何度も言うように氏の作品の文章は非常に読みやすく、スラスラと読めてしまうので読んでいて気持ちがいい。
ただ、僕の中での三秋縋作品のナンバー1はやはり最初に読んだ”恋する寄生虫”だ。
もちろん他の作品も面白かったし、個々の作品それぞれに様々な”愛の形”が描かれるので恋愛小説として毎回新鮮な読後感を得られるのだが、”恋する寄生虫”の話の構成の巧みさと、あの”今までに見たことがない切ない終わり方”の衝撃は超えられていないと感じる。
氏の作品はもう片手では足りないくらいの数を読んだと思うが、未だに”恋する寄生虫”を超える作品がないのは、良いことなのか悪いことなのか。
ただ、”君が電話をかけていた場所”、”僕が電話をかけていた場所”は氏の作品で初めての上下巻構成であり、話の内容・設定もいつもとは若干趣が違っていて、終わり方も珍しく”ハッピーエンド”と言えるものだったので、その部分については印象に残っている。
しかしそれでもなお、僕の中での最高傑作は”恋する寄生虫”だ。
ストーリー構成、キャラクター、エンディング、どれを取っても”好き”としか言えない僕にとっての衝撃作だった。
改めてこの本を書店で偶然手に取ったのは、運命としか言えないと感じる。