新型iPad Air発表後にiPad Proを購入した話。iPad Pro 2020レビュー

NOTE
この記事はあくまで管理人個人の見解と感想を述べたものです。
新型iPad Airの購入を考えている方や新型iPad Airの存在を否定するものではありません。
本記事を閲覧し不快に感じられた方には深くお詫び申し上げます。

またまた突然だがiPad Pro 11インチ 2020 512GB(スペースグレイ・Wi-Fi)を購入したため、ベンチマークを含めた感想とiPad Pro 2020を今になって選択した理由を述べておく。

なお、iPad Pro 2020は「第4世代iPad Pro」と呼称されることが多いが、Apple公式の表現に則れば、正確には「iPad Pro 12.9インチ2020は第4世代」「iPad Pro 11インチ2020モデルは第2世代」と呼称するのが正しい。

iPad Pro 2020を購入した詳しい理由は後述するが、簡単に言えば先日AirPods Proを購入し、TVアプリでの映画鑑賞においてオーディオ体験が著しく向上したためiPad ProのHDR・Dolby Visionでビジュアル体験も向上させたいというのと現在使用している第3世代iPad Air(iPad Air 2019)の容量が逼迫していることが主な理由だ。

また、噂されているミニLED搭載のiPad Proが今後発売されるとしたらHDRやDolby Visionのビジュアル体験は更に向上するとは思われるものの、現行のiPad Proよりかなりの高額になるとも予想されるため、あえて現行モデルを選んだというのもある。

新型iPad Airに足りないもの

画像出典 Apple

新型のiPad Airの発売が10月に控えていながらiPad Proを今更選んだ理由もまずは書いておこう。

当ブログではカウントダウンをしておきながら2020年9月15日に行われたAppleのオンラインイベントを盛大にスルーしたが、理由としてはApple Watch Series 6はともかくとして大々的に発表された新型のiPad Air(第4世代)が少なくとも僕にとっては魅力的でなかったからだ。

新型iPad AirはSoCに最新のA14 BionicチップをiPhoneに先駆けて搭載している他、デザインもiPad Pro寄りになっているがディスプレイ・オーディオにも大きな違いがある。

新型iPad Air(第4世代)とiPad Pro 2020のスペックの比較を掲載しておく。

スペックiPad Pro 2020第4世代iPad Air
価格84,800円〜62,800円〜
カラーシルバー
スペースグレイ
シルバー
スペースグレイ
ローズゴールド
グリーン
スカイブルー
ストレージ容量128GB・256GB・512GB・1TB64GB・256GB
生体認証Face IDTouch ID(電源ボタン)
チップA12Z BionicA14 Bionic
メモリ6GB不明
ディスプレイ11/12.9インチ
フルラミネーション
DCI-P3色域
True Tone
10.9インチ
フルラミネーション
DCI-P3色域
True Tone
解像度2388x1668(11インチ)
2732x2048(12.9インチ)
2360x1640
輝度600ニト500ニト
ProMotion(120Hz)YESN/A
HDR・Dolby VisionYESN/A
Dolby AtmosYESN/A
オーディオ4スピーカーシステムステレオ
カメラ12MP広角カメラ
10MP超広角カメラ
7MP True Depthカメラ
(ポートレートモード及び被写界深度調整対応)
12MP広角カメラ
7MP FaceTime HDカメラ
スキャナLiDARN/A
Apple Pencil第2世代対応第2世代対応
アクセサリMagic Keyboard
Smart Keyboard Folio
Smart Folio
Magic Keyboard
Smart Keyboard Folio
Smart Folio
端子USB-CUSB-C
ワイヤレスWi-Fi 6
Bluetooth 5.0
ギガビットLTE
nano-SIM
eSIM
Wi-Fi 6
Bluetooth 5.0
ギガビットLTE
nano-SIM
eSIM
コーティング反射防止
耐指紋性撥油
反射防止
耐指紋性撥油
バッテリーWi-Fi最大10時間
Wi-Fi+Cellular最大9時間
Wi-Fi最大10時間
Wi-Fi+Cellular最大9時間
同梱物18WのUSB-C電源アダプタ
USB-Cケーブル
20WのUSB-C電源アダプタ
USB-Cケーブル

同梱されるUSB-C電源アダプタに関しては新型iPad Airが20Wであり、この点においては新型iPad Airが上だが僕はMacBook Proの61W電源アダプタをAppleデバイスの充電に使用しているため、あまり関係がない。

HDR・Dolby Visionに非対応

画像出典 Apple

新型iPad Airは当然ではあるがカラーバリエーションやSoC(A14 Bionic)、同梱される電源アダプタ以外はiPad Pro 2020に比べて劣っており、特にiPadで映画を見ることが多い僕としてはHDRとDolby Visionに非対応な時点で選択肢としては外れしまった。

実際に同じくHDR・Dolby Visionに非対応の第3世代iPad AirとHDR・Dolby Visionに対応するiPad Pro 2020でHDR・Dolby Visionの映画を再生して比べてみたが違いは一目瞭然だ。

僕はApple TV 4Kも持っているが、映画を見る度にApple TV 4Kの電源を入れ、4K HDRモニターの入力を切り替えてApple TV Remoteで一覧から映画を選択して再生する、という手順が面倒のため手軽に映画を見る手段としてiPadは僕にとって重要だ。

容量が256GBまでしかない

画像出典 Apple

僕が現在使用している第3世代iPad Airの容量は最大の256GBだが前述の通り容量が逼迫しているため、同じく256GBまでの容量しかない新型iPad Airでは容量不足も解決できない。

写真や映画、Affinity関係のファイルを大量にダウンロードした結果、既に購入したばかりのiPad Pro 2020の容量は240GBに達している。

スピーカーがステレオ

新型iPad Airでは音質が向上したとしているもののスピーカーはステレオであり、やはり映画などを鑑賞することが多い僕としてはAirPods Proがあるとはいえ4スピーカーシステムを搭載するiPad Pro 2020は魅力的だった。

また、iPad Proのスピーカーは何気にDolby Atmosにも対応している。

ただ、AirPods Proの空間オーディオ機能を利用すれば下記のiPadでもDolby Atmosの恩恵を受けることができ、新型iPad Airもまず間違いなくAirPods Proの空間オーディオをサポートすると思われるため、AirPods Proを持っているなら大きな問題とは言えないかもしれない。

  • iPad Pro 12.9 インチ (第 3 世代) 以降
  • iPad Pro 11 インチ
  • iPad Air (第 3 世代)
  • iPad (第 6 世代) 以降
  • iPad mini (第 5 世代)
参考 AirPods Pro で空間オーディオを体験するApple

AirPods Proと空間オーディオについての詳しい情報は下記の記事にて。

AirPods Proレビュー。空間オーディオは映画で真価を発揮する

iPad Pro 11インチ 2020の開封

ここからはiPad Pro 11インチ 2020と、併せて購入したSmart Folioの開封を行なっていく。

Apple Pencilは第3世代iPad Airで第1世代Apple Pencilを使用したことがあるが、macOS CatalinaのSidecar以外の用途では無用の長物と化したため購入しなかった。

なお、映画を重視するのに12.9インチではなく11インチを選んだのは持ち運びを意識してのことだ。

本体と同梱物。

18WのUSB-CチャージャーとUSB-Cケーブルが付属する。

手持ちの第3世代iPad Airと比べるとホームボタンがなくなったため、見た目が非常にスタイリッシュになった。

左がiPad Pro 2020(11インチ)。右が今まで使用していた第3世代iPad Air (10.5インチ)。

本体は第3世代iPad Airの方が大きいがiPad Proは2018年のデザイン刷新により、ホームボタンが消滅しベゼルが縮小したため、本体はコンパクトなままでディスプレイは11インチと大型化を果たしている。

画質が悪くて申し訳ないが、厚みに関しては今まで使用していた第3世代iPad Airの厚さが6.1mm、iPad Proが5.9mmだが比べないとわからないほどの差だ。

背面はiPhone 11 Proと同じくスクエア型のカメラモジュールが存在するが、iPad Pro 2020のカメラは広角と超広角のデュアルカメラであり、ナイトモードなどもないためiPhone 11 Proのカメラには大きく劣る。

なお、モジュール内にはLiDARスキャナも搭載されている。

同時に購入したSmart Folio。

Smart Folioのカラーに関してはブルーかブラックが欲しかったのだが、在庫にピンクとホワイトしかなく、新型コロナの影響により他の色が入荷するのもいつになるか分からないとのことだったのでやむを得ずホワイトを選択した。

ヨドバシカメラで購入したが今考えれば他の店舗に寄って地道に在庫を探してもよかったかもしれない。

Smart Folio装着・背面。

iPad Pro本体の背面にはかなりの面積にマグネットが埋め込まれており、Smart Folioなどのアクセサリは位置合わせなどをする必要はほとんどなくピタッとハマる。

Smart Folio装着・前面。

このSmart Folioは第3世代iPad Airで使用していたSmart Coverと比べて非常によく出来ていて両面とも保護される他、もちろん横置きも可能であり、何よりホールド感が素晴らしい。

色に関しては装着してみると案外ホワイトも悪くない気はするが、やはり汚れが心配だ。

ただ、嬉しい誤算としてスペースグレイのiPad ProとホワイトのSmart Folioを組み合わせると横からの見た目がiPhone 4のホワイトのようになり美しい。

iPad Pro 11インチ 2020を使用してみての感想

ここからは実際にiPad Pro 11インチ 2020を使用してみての感想を主に今まで使用していた第3世代iPad Air(iPad Air 2019)と比較しながら書いていく。

USB-Cの汎用性

これはiPad Proに限ったことではなく、同じくUSB-Cを採用する新型iPad Airも同様のことが可能だと思うがiPad Proは2018年モデルよりUSB-C端子に移行しており、iPadからiPhoneなどを充電することが可能になっている(USB-C>Lightningケーブルが必要)。

Mac以外の現行のApple製デバイスでiPhoneをケーブル一本で直接充電可能なのはiPad Proのみである。

また、USB-C Digital AV Multiportアダプタなどを使用すればアダプタを経由してUSB-AタイプのケーブルでApple Watchを充電するといった特殊なことも可能だ。

こんな使い方をする人はほぼいないだろうが、こういった芸当が可能なのもUSB-Cの汎用性あってのことだろう。

もちろんUSB-Cケーブル(モニターが対応している場合)やアダプタのHDMI端子からHDMIケーブルで外部モニターにも接続可能な他、LG UltraFine 5KにThunderbolt 3ケーブル一本で5K出力が可能な上、SDカードリーダーを接続すればSDカードも読み込める。

パフォーマンス

パフォーマンスについては既に第3世代iPad Air(A12 Bionic)でも十分速かったため、例え写真編集などの多少重い作業を行なっても特別パフォーマンスの向上は実感できなかった。

とはいえiPad Pro 2020のA12Zは前世代のiPad ProのA12XからGPUコアが一つ増えた(有効化)されたため、CADやイラストレーション、ゲームなどでは3Dグラフィックスの負荷によっては他のiPadを寄せ付けないパフォーマンス向上を実感できるだろう。

パフォーマンスについては劇的な違いは体感できないが、メモリが潤沢にあるためブラウジングやマルチタスクがスムーズ

メモリに関してはiPad Pro 2020年モデルは全モデルにおいて6GBのメモリを搭載しており、例えばSafariでタブを大量に開く、動画を見ながらSafariをSplit ViewやSlide Overで開くなどのメモリを食う作業をしてもSafariのタブやアプリは余程のことがない限りキャッシュされたままになるため快適度が段違いだ。

なお、2018年(前世代)のiPad Proは1TBストレージモデルのみ6GBメモリを搭載し、その他のモデルは4GBである。

また、第3世代iPad Airのメモリは3GBだが新型iPad Airがどの程度のメモリを搭載するのかは現時点では不明だ。

生体認証(Face ID)

生体認証に関してはiPad Proは2018年モデルよりFace IDに移行したが、iPad ProのFace IDは縦置き・横置きなど、どの方向からでも認証可能であり、またA12Z BionicのNeural Engineも計算能力が向上しているため、現在使用しているiPhone XのFace IDより遥かにロック解除が早い。

iPad ProのFace ID独自のメッセージとインジケータ

また、iPad ProのFace ID独自の機能として指やカバーがFace IDのTrue Depthカメラなどを覆ってしまった場合に「カメラが覆われています」とメッセージが表示される他、True Depthカメラを示すインジケータが表示される。

ちなみに現状iPadでミー文字などの顔の3Dマッピングを応用した機能を利用するにはFace ID(True Depthカメラ)を搭載するiPad Proしか選択肢がない。

iPad ProのFace IDは色々とメリットがあるものの、この新型コロナの時代においてマスク装着時に支障が生じるFace IDはやはり不利であり、この点においては特にポータブル用途としては第3世代iPad Airや新型iPad AirのTouch IDに軍配が上がる。

なお、Face IDとは直接関係ないがFace ID搭載iPhoneと同じくiPad Proは「タップしてスリープ解除(Tap to Wake)」が利用可能である。

ProMotion(120Hz)

画像出典 Apple

iPadのProMotion(リフレッシュレート120Hz)を体験するのは初めてだったが、僕は自作PCをやっていた時代に120Hzや144Hzのゲーミングモニタを使用したことがあったため、思ったより感動はしなかったというのが正直なところだ。

もちろん60Hzと比べればヌルヌル動き、残像も低減されているが、僕の使用用途(映画鑑賞・電子書籍・写真・画像編集・文章書き)では特にメリットは感じられない。

元々120Hzや144HzのゲーミングモニターからMacの60Hzに移行しても何の不便も感じなかったため、iPadでゲームをプレイする・Apple Pencilもしくはタッチによる繊細な操作が要求されるクリエイティブな作業をするというわけでなければあまり恩恵はないのではないかと思う。

HDR・Dolby Vision・Dolby Atmos

iPad Proを選択した大きな理由の一つであるHDR・Dolby Visionに関しては今まで使用していたHDR・Dolby Vision非対応の第3世代iPad Airとは全く違う。

写真でHDR・Dolby Visionの効果を伝えるのはほぼ不可能だが、HDR・Dolby Vision対応iPad Proでは対応コンテンツでコントラストや明部・暗部の表現が違う

写真でHDR・Dolby Visionの効果を伝えるのは難しく、更に著作権との兼ね合いがあるため詳細にHDR・Dolby Visionの違いを比較することはここでは出来ないが、HDR・Dolby Vision対応のiPad Proでは対応するTVアプリの映画において映像に深みが出て明るいところはより明るく、暗いところはより暗く、表現がダイナミックになっている他、iPad Proの輝度は600ニトであり第3世代iPad Airや新型iPad Airの500ニトより明るいため、例えHDR・Dolby Vision非対応の映画でもコントラストの違いがはっきりわかった。

ただ、もちろんOLED(有機EL)を採用するiPhone X/XS/11 Proの方が引き締まった黒を完全な形で表現できるため、HDR・Dolby Visionの効果はOLED搭載iPhoneに分がある他、iPad ProはVESA規格のDisplay HDR 600と同等なので「真のHDR・Dolby Vision」ではない(HDR・Dolby Visionの真価を発揮するには最低でも1000ニトの輝度が必要)。

とはいえiPad ProのHDR・Dolby Visionに関しては個人的にとても満足できるレベルだ。

新型iPad AirはデザインはiPad Pro寄りだが第3世代iPad Airと同じくHDR・Dolby Vision非対応という点でやはり僕はiPad Proを選択して正解だった。

iPad ProでHDR・Dolby Visionコンテンツを楽しむには特に設定などは必要ないが「TV」アプリの設定でストリーミングとダウンロード両方において画質を「高品質」に設定しておくと最高の映像体験が得られる。

また、NetflixなどもHDRに対応しているが対応状況がまちまちなので見放題サービスを利用する際は各サービスのサポートデバイスやOSを確認しよう。

ちなみに4K HDRモニターとiPad ProをUSB-Cやアダプタ経由で接続すれば4K HDRモニターでiPad Pro上のHDR・Dolby Visionコンテンツを楽しむことも可能だ(ただし、この場合4Kで鑑賞するにはダウンロードではなくストリーミングにする必要がある)。

また、4スピーカーによるDolby Atmos再生も、同じくDolby Atmosに対応するMacBook Proと比べても素晴らしいが手に持つと音響によるiPad Proの振動が少々煩わしいため、個人的にはAirPods Proが使用可能であればAirPods ProとiPad Proを組み合わせて空間オーディオを有効にした上でDolby Atmosコンテンツを楽しんで欲しい。

なお、新型iPad AirのUSB-C端子から外部モニターに接続した場合に4K HDRが利用可能なのかは不明だが、新型iPad Air本体がHDRやDolby Visionに対応していない以上、HDRやDolby Visionの信号を外部モニターに出力するのも恐らく無理だろう。

カメラ

僕は正直iPadのカメラはほとんど使わず、あまり興味もなかったが第3世代iPad Airと比べるとiPad Pro 2020のカメラの画質は驚くほど良好だ。

上記の写真はいずれもiPadOSのデフォルトのカメラアプリで同じ日、同じ時間、同じ条件で撮影した無編集の写真だが、一目でわかるほど画質が違う。

第3世代iPad Airのカメラ(8MP、F2.4)は彩度が低く、加えてフォーカスも合わせるのが困難なのに対してiPad Proのカメラ(12MP、F1.8)はピタリと狙った場所にフォーカスが合う他、発色も極めて良好だ。

また、上記写真を撮った時と全く同じ位置に立ち、iPad Pro 2020の超広角カメラで写真を撮ると驚くほどワイドな写真も取れる。

自宅の庭なので写真には加工を施している

iPad Pro 2020の超広角カメラは10MP、F2.4、視野角が125°であるが広角カメラと比べて画質も遜色ない。

iPad Pro 2020はカメラのスペックが高いだけではなくスマートHDRに対応しているというのも大きいだろうが画質に関しては非常に驚いた。

ただし、iPhone 11や11 Proのようなナイトモードは搭載していないため、フラッシュなしでの夜間撮影は無理がある。

iPad Pro 2020のカメラはiPadの中では非常に優秀だが、iPhone 11シリーズのあとに出た製品なのだからナイトモードくらいは搭載してほしかったところだ。

更に言えばNeural Engineを利用し、複数の画像を合成して微細なディテールを再現するDeep Fusionといった機能もない。

ちなみにiPhone Xで昼間に同様に撮影した写真は下記の通りだ。

iPhone Xのカメラは第3世代iPad Airよりは上だがiPad Pro 2020のようなビビッドな発色はない。

また、iPad Pro 2020ではTrue Depthカメラを利用したポートレートモードや被写界深度(ボケ)を調整する機能は利用できるが、管理人の顔を写さざるを得ない上に被写界深度調整以外はiPhone Xのポートレートモードと大差ないため割愛する。

LiDARスキャナ

画像出典 Apple

iPad Pro 2020は現在のところApple製デバイスで唯一LiDARスキャナを搭載しているが、このLiDARとはLight Detection and Ranging(光検出と測距)を意味し、反射光により対象物との距離を測定する技術だ。

iPad Pro 2020の場合は屋内外で最大5メートル先の反射光を検知することができる。

この技術は特別AR(拡張現実)向けというわけではないが、Appleではティム・クックCEOがARに力を入れているため、もっぱらAR向けの技術としてApple公式サイトなどでも紹介されている。

なお、LiDARスキャナがなければARを利用できないというわけではなく、iPad ProのLiDARスキャナはあくまでARの精度を上げるための技術だ。

実際にLiDARスキャナを搭載するiPad Pro 2020とLiDARスキャナ非搭載の上に8MPのシングルカメラである第3世代iPad AirでARアプリを使用して実験してみた。

iPad Pro 2020でのAR体験

上記画像はiPad ProでAR TOUR OCEANという無料ARアプリで部屋の中に海中を再現した様子だが、現実のオブジェクトと重なるといったことは全くなく、快適にARが動作した。

第3世代iPad Airでは現実のオブジェクトにARオブジェクトが不自然に重なってしまっている

一方で同じアプリを第3世代iPad Airで利用してみたところ現実世界のオブジェクトに不自然にARオブジェクトが重なってしまったり、床に配置された海藻などはプルプルと震えて位置が定まらない現象も起きた。

iPad Pro 2020と第3世代iPad Airではカメラのスペックも違うため、一概にLiDARスキャナのみの恩恵とは言えないが、確かにLiDARスキャナでARの精度は上がっているようだ。

LiDARスキャナを購入の判断材料にする人はあまりいないかもしれないが、快適にAR体験を楽しみたいのであればLiDARスキャナ非搭載の新型iPad AirよりiPad Pro 2020の方がいいだろう。

ベンチマーク

ここからはGeekbench 5(有料アプリ)及びAntutu(無料アプリ)で計測したiPad Pro 2020と第3世代iPad Airのベンチマークを掲載する。

なお、第3世代iPad Air(2019)のSoCはiPhone XS/XRと全く同じA12 Bionic、iPad Pro 2020のSoCがA12Z Bionicである。

A12 Bionicは「6コアCPU(2x Vortex・4x Tempset)+ 4コアGPU」。

A12Z Bionicは「8コアCPU(4x Vortex ・4x Tempest)+ 8コアGPU」の構成となっている。

なお、Vortexは高性能コア、Tempestは高効率コアとなる。

Geekbench 5

CPUベンチマーク
GPUベンチマーク

第3世代iPad AirとiPad Pro 2020は両方ともSoCがA12系のため、CPUのシングルコアスコアにおいては大きなパフォーマンスの違いはないが、マルチコアの場合、8コアのiPad Pro 2020が第3世代iPad Airを上回る。

また、GPU(Compute Metal)スコアにおいては同じく8コアGPUを搭載するiPad Pro 2020が第3世代iPad Airを大きく上回りスコアが1万を超えている。

Antutu

AntutuはCPU・GPU・RAMなど総合的な性能を計測するベンチマークアプリだが、AntutuにおいてもiPad Pro 2020は全ての点で第3世代iPad Airを上回っており、やはり特にGPUのスコアにおいて第3世代iPad Airを圧倒している。

当然の結果ではあるが総合的に見ると同じA12系であってもiPad Pro 2020と第3世代iPad Airでは大きな性能の違いがあると言える。

とはいえ、先ほど書いた通り第3世代iPad Airも既に十分に高性能なため、実使用においては両者共に明確なパフォーマンスの違いは体感できなかった。

新型iPad Airは新たに最新のA14 Bionicチップを搭載し、恐らくiPad Pro 2020のA12Zをも上回ると思われるものの、その性能の違いをユーザーがはっきりと体感できるかは正直疑問ではある。

総合評価とまとめ

総合的にiPad Pro 2020を購入したことに全く後悔はない。

iPad Pro 2020は少々値が張る上に遅くとも来年には間違いなくミニLED搭載の新型iPad Proがリリースされるだろうが、冒頭でも書いた通りミニLED搭載となると価格が今よりも高額になることは想像に難くない(もちろん、電源アダプタの同梱を廃止したり、サプライチェーンとの調整で価格を据え置きにする可能性もあるが)。

なお、ミニLEDとは文字通り小さいLEDをバックライトとして敷き詰めてローカルディミング(エリア駆動)によってダイナミックコントラストを実現する技術であり、極小のLEDを自発光画素として使用する次世代ディスプレイ技術のマイクロLEDとは全く違う。

いずれにしろ、iPad Pro 2020はSoC(A14 Bionic)とカラーバリエーション、同梱物のUSB-C 20W電源アダプタ以外は新型iPad Airより上なので予算が許すなら特にTVアプリで映画を見る人はiPad Pro 2020を購入した方が満足度は高いのではないかと思う。

逆に言えば最新のA14 Bionicがいい、映画に興味がないといった場合は新型iPad Airも選択肢として十分にありと言える。