AirPods Proレビュー。空間オーディオは映画で真価を発揮する

左が2017年7月に購入した初代AirPods。窓際に置いてあったためすっかり日焼けしてしまった。
右が今回購入したAirPods Pro

初代AirPodsからの買い換えとして注文したAirPods Proが2020年9月20日に届き、2日間ガッツリ使用したので開封と感想、及びiPhoneやiPadの空間オーディオ、更にApple TV 4Kでの使い心地もまとめる。

開封とセットアップ(ペアリング)

まずは開封とセットアップから触れていく。

開封

なお、購入はAppleオンラインストアで行い、AppleCare+ for ヘッドフォンも同時に購入した。

配送については携帯電話に配送業者から「自宅前に置いてもよいか」という旨の電話があり、承諾したところ玄関の前に置いてあった。

箱の大きさは初代AirPodsより若干大きいといった程度だ。

同梱物はクイックスタートガイド、カスタマイズ用のイヤーピース(イヤーチップ)、USB-C>Lightningケーブルであり、チャージャーなどは入っていない。

個人的に注意するべきと思ったのがUSB-Cチャージャーは同梱されていないため、もしUSB-CやThunderbolt 3搭載のMacを持っておらず、iPhoneやiPadもiPhone XやiPad Air第3世代などのUSB-Aタイプのチャージャーしか同梱されていない古いデバイスを使用している場合、USB-Cチャージャーをあらかじめ別途用意しておく必要があるという点だ。

AirPods Proとケース。

AirPods ProのケースはQi規格のワイヤレス充電対応のため充電状況を知らせるLEDがケース外側に存在する(AirPods初代のLEDはケース内側)。

また、従来のAirPodsと同じくケースの蓋の内側部分にはケースのバッテリー容量が記載されており、AirPods Proの場合ケースのバッテリー容量は519mAhのようだ(初代AirPodsは398mAh)。

AirPods Pro本体。

イヤーチップからは独特の甘い匂い(果物のような匂い)がするが、iPhone Maniaの記事によればかなり有名な現象のようだ。

イヤーチップはAirPods Pro本体に既にMサイズが装着されている状態となっており、その他にS・Lサイズが同梱されている。

装着してみた感じとしてはMサイズで大抵の人は問題ないのではないかと思う。

セットアップ

セットアップはAirPods初代と同じくiPhoneにAirPods Proを近づけてケースを開けてぺアリングを行うだけだ。

iPhoneのロックを解除して接続ボタンを押す。

ペライングを行うと続いて感圧タッチ操作の説明画面などが表示される。

完了するとAirPods ProがApple IDに登録され、デフォルトでは自分の本名が自動的にAirPods Proに設定される(無論AirPods Proの名前はあとで変更できる)。

ちなみにAirPods Proではイヤーチップが適切に装着されているかを設定からチェックすることができる。

LとR、両方共「密閉されています」と出れば最適な状態でオーディオを楽しむことができるのでイヤーチップの装着感に問題がなかったとしても一度チェックしておこう。

ファームウェア3A283へのアップデート

数日前の記事でも触れた通り、Appleは9月14日にAirPods Pro及びAirPods第2世代向けにファームウェア「3A283」を提供し、これによってiOS 14・iPadOS 14・macOS Big Sur間でのデバイスの自動切り替え、更にAirPods ProにおいてはSpatial Audio(空間オーディオ・空間音響)の機能が追加された。

ただ、購入当初のAirPods Proのファームウェアは3A283が未適用だったため、AirPods Proをケースに入れてケースとAirPodsを両方とも充電状態にしてファームウェが適用されるのを待たなければならなかった。

3A283未適用のため自動切り替えの設定や空間オーディオ設定がない

AirPodsのファームウェアアップデートは海外サイトによればAirPodsとケースを両方とも充電状態にした上でiPhoneを近づけて少し待てば最新のファームウェアが適用されるとのことだったが、僕の場合はケーブルを繋ぎ直したり、iPhoneのロックを解除したりを繰り返して20分ほど経った頃ようやくアップデートされた。

3A283ファームウェアが適用されると新たにAirPods Proの設定に「このiPhoneに接続」、「空間オーディオ」という項目が追加される。

使用してみた感想

ここからはファームウェア3A283で追加された機能も含めて全体的な所感を述べる。

アクティブノイズキャンセリング

AirPods Proの一番の売りであるアクティブノイズキャンセリング(以下ノイキャン)であるが、噂通りAirPods Proのノイキャンは素晴らしい。

iPhoneのオーディオ設定(ボリュームスラダーなど)やAirPods Proの下部を長押し(感圧タッチ)するとノイキャン機能と外部音取り込み機能を切り替え可能なのだが、ノイキャンを有効にすると自分の周りのほぼ全てのノイズが消滅するか気にならない程度まで小さくなる。

「AirPods Proでノイキャンを有効にすると走っている車が全部プリウスになる」と誰かが言っていたが誇張でも何でもなく本当に自動車の音や雨音などがほぼ無音になる。

ただ、僕は田舎住まいで夜になると鈴虫が大合唱するが、鈴虫などの発する高音域のノイズに関してはノイキャンが大して働かない。

アクティブノイズキャンセリングは主に中音〜低音域のノイズを打ち消すもののため、仕方ないのかもしれない。

現在外では雨が降っており、鈴虫も鳴いているがAirPods Proのノイキャンを有効にすると雨音もエアコンや空気清浄機の音も完全に無音になるものの鈴虫の鳴き声は少し小さくなるだけで明瞭に聞き取れる状態だ。

画像出典 Apple

なお、Appleサイトの説明にもある通りAirPods Proは耳の内側の血流などの音も打ち消しているため、ノイキャン・外部音取り込みモードを両方オフにすると周りの音だけではなく耳の中の血流の音まで聞こえるので不思議な感覚だった。

音質

音質については正直なところ、後述する空間オーディオ以外に関しては多少低音域が良くなっているように感じるが感動するほどの違いは感じなかった。

元々オーディオについては詳しくなく、普段MacのUSB-DACで使用しているイヤホンも安物なので単純に良い音と悪い音の違いがわからないとも言えるが、少なくとも初代AirPodsから大きく音質が向上したとは思わなかった。

バッテリー

AirPods Proに買い替えた理由の一つが初代AirPodsのバッテリーの劣化だったため、当然ではあるがAirPods Proのバッテリー持ちは初代AirPodsとは比べ物にならないくらい素晴らしい

バッテリーが劣化した初代AirPodsでは満充電の状態でも1時間半の映画を連続で鑑賞することは最早不可能だったが、AirPods Proは満充電で1時間半の映画を見ても残量は60〜70%程度は残るため(※ノイキャンや外部音取り込みモード、空間オーディオの有効・無効で変動する)、これだけでも買い替えて正解だった。

また、ケース自体のバッテリー容量も増えているため何度かケースで充電しても以前ほどケースのバッテリーが減らないのも嬉しい点だ。

自動切り替え

ファームウェア3A283で追加されたiOS 14・iPadOS 14・macOS Big Sur間でのデバイスの自動切り替えだが、例えばiPhoneにAirPods Proが接続されている状態であってもiPadで音楽や動画を再生するとiPadに「AirPods Proが接続されました」とバナーが表示されiPadのオーディオが流れるといった挙動を示す。

AppleサポートのページやAirPods Proの設定項目を見てみる限り、この機能は切り替えというよりはオーディオの転送といった方が正しいのかもしれない。

なお、iPhoneのBluetoothをオフにしてもiPadからの音声は正常に流れたため、転送といってもiPadからオーディオをiPhoneに流し、そこからAirPods Proに送信しているというわけでもないようだ。

詳しい仕組みについては不明だが、便利な機能なことには変わりない。

ただ、僕の環境が原因かもしれないがmacOS Big Sur Beta 7時点ではMacに対しての自動切り替えは全く機能しなかった。

また、この自動切り替えは少なくとも現時点ではApple TV(tvOS 14)には対応していない(実際にテストして機能しなかった)。

Apple TV(tvOS 14)は自動切り替え非対応

ただ、Appleサポートのページでは「自動切り替えはiOS 14・iPadOS 14・macOS Big Surのみ機能する」と書かれているのにAirPods Proの設定項目では「すべてのAppleデバイスで切り替わる」と説明されているため矛盾している。

iOS 14・iPadOS 14・macOS Big Surのみ対応のはずなのに「すべてのAppleデバイス間で切り替えることができる」と書かれている

WWDC 2020でもtvOSで利用できるようなことを言っていた気がするのだが、もしかしたら今後のtvOSのアップデートなどで対応するのかもしれない。

空間オーディオ

ファームウェア3A283では前述の通り自動切り替えの他に「空間オーディオ(Spatial Audio)」という機能が追加され、ヘッドトラッキングによってデバイスの位置やユーザーの位置が変わっても自分を包み込むような音響を実現している他、Dolby Atmosもサポートしている。

なお、空間オーディオは少なくとも現時点ではビデオ(映画など)向けの機能であるため、TVアプリなどで映画を見ない人はあまり関係がないと言える。

また、調べた限り現状ではこの空間オーディオに対応するのは「TV」アプリのみである他、iOS 14/iPadOS 14を搭載した以下のiPhoneやiPadが必要である。

  • iPhone 7 以降
  • iPad Pro 12.9 インチ (第 3 世代) 以降
  • iPad Pro 11 インチ
  • iPad Air (第 3 世代)
  • iPad (第 6 世代) 以降
  • iPad mini (第 5 世代)
参考 AirPods Pro で空間オーディオを体験するApple

実際に自動切り替えによって切り替わった状態のiPadのTVアプリで試してみたが、まるで音がiPadの方向から聞こえてくるようであり、更にDolby Atmos対応の映画では自分を中心とした全方向から音がダイナミックに流れて非常に感動した。

AirPods ProではTVアプリとDolby Atmosコンテンツで最高のオーディオ体験を得られる

また、TVアプリの映画やドラマであればDolby Atmos非対応のコンテンツであっても空間オーディオ無効時と比べてヘッドトラッキングは有効になっているようで、Dolby Atmos非対応コンテンツでも恩恵を受けることができる。

Apple TVにはAirPods関連の設定が全くない

ただ、残念なことに前述のリストにもある通り、Apple TV(tvOS 14)は現在のところ空間オーディオに非対応であり、実際にApple TV 4KにAirPods Proを手動で接続して試してみたが、iPadのTVアプリで視聴した時のような自分を包み込む音響は全く感じられなかった。

Apple TV 4Kは映画などに特化したデバイスなのでいち早く対応させるべきなのではないかと思うのだが、映画好きとしては非常に残念だ。

また、macOS Big Sur(Beta)においても現時点では空間オーディオに対応していない。

まとめ

以上、AirPods Proとファームウェア3A283で追加された機能についての感想をまとめてみた。

Apple TV 4Kで空間オーディオが利用できないのは残念だが、ノイキャンや利便性、音質、全ての点においてとても満足している。

中でも空間オーディオが非常に優れているため、AirPods Proは特にTVアプリなどで映画を楽しむ人におすすめしたい。

あとはApple TV 4Kや更にMacにおいても自動切り替えや空間オーディオに対応してくれたら言うことはない。