ダウンロード違法化の対象範囲拡大

あまりブログで政治や法律の話はしたくないのだが、最近話題になっている”ダウンロード違法化”の対象範囲拡大について。

ダウンロード違法化は新しい法律ではない

勘違いしている人をかなり見かけるのだが、このダウンロード違法化というのは新しい法律ではない

既に音楽・動画などの著作物のダウンロードは2010年に違法化されており、更に2012年には罰則を規定して刑罰化された。

今回それに新しく”静止画”が加わるということが焦点なのだ。

Webメディアやインフルエンサーが”ダウンロード違法化”という言葉だけをしきりに強調して、今回は”対象範囲の拡大”であることをきちんと明記しないのを見かけるのだが、正確性に欠けており正直どうかと思う。

問題点

今回のダウンロード違法化の対象範囲の拡大に対して、違法とされる静止画のダウンロードの扱いが曖昧で批判を招いている。

特にダウンロードやスクリーンショットの撮影が違法化される一方で、なぜか紙での印刷やWebでの閲覧は大丈夫という点だ。ブラウザのキャッシュもダウンロードには当たらない。

しかしこうした矛盾点は2012年に私的な音楽・動画ダウンロードが刑罰化される際に既に指摘されていた。

音楽や動画についてもYouTubeなどでの再生や閲覧は”ブラウザのキャッシュ”に当たるので対象外であるし、今でも毎日のように違法な動画がYouTubeにはアップロードされ続けている。そうした違法動画をYouTubeでいくら見ようと違法には当たらない。

現時点での逮捕者はほとんどいない

ネット上を巻き込んで大きな騒動になった音楽・動画の”ダウンロード違法化(刑罰化)”であるが、ニュースで取り上げられた現在までの逮捕者は1人しか出ておらず、しかも自首である。

他にも報道されていないだけで、逮捕者はいるのかもしれないが大きな問題になるほどの人数は出ていない。

結果としてこの法律は騒がれていたような”混乱により多数の逮捕者が出る”ような事態にはならず、もはや形骸化と言ってもいいほど忘れられていった。

人は忘れる

個人的な持論になるが、”ダウンロード違法化の対象範囲拡大”が取り沙汰されようと、それが施行されるにしろされないにしろ、やがて忘れられると思う

2012年に音楽・動画の違法ダウンロードが刑罰化される際に先にも書いたようにネット上を巻き込んで大論争となったが、いざ法律が施行されると人々は諦めたように議論するのをやめ、やがて事態は沈静化した。

今回も恐らく同じような経過を辿って、この論争は下火になっていくだろう。

新しい法律が出来る時、現実でもネット上でも多かれ少なかれ議論が巻き起こるが、いざその法律が施行されると、祭りが終わるようにそうした議論は収束に向かう。

人間という生き物は目の前にある脅威に敏感に反応するが、時間が経つにつれ、対象に対しての注意はやがて薄れていく。

特にダウンロードの違法化の場合は”対象となる人が多すぎて逮捕が現実的ではない”、そもそも”親告罪”であることなどによって、実際に施行されても脅威と言えるものではなかったため、人々の関心が薄れるのも早かった。

もちろん、今回の対象範囲拡大によってこれまでとは違って逮捕者が定期的に出てくる可能性もあるし、今後この法律の扱いがどのようになっていくかは不透明で完全な予測は難しい。

しかし、いずれにしろ少しSNS界隈は騒ぎすぎなのではないかと思った。

「現時点で逮捕者がほとんど出ていないから安心しているだけだ」と言われてしまうとその通りかもしれないが、どうも私にはこの騒ぎが過剰に思えてしまうのだ。