Apple USB-C AV Digital MultiportアダプタがHDMI 2.0対応に。

8月9日、突然Appleは予告もなしにMacアクセサリであるUSB-C AV Digital MultiportアダプタのHDMI 2.0対応版をリリースした。

新USB-C AV Digital Multiportアダプタの概要

HDMI部分が2.0になっただけであり、価格も6,800円と以前と変わらない。

これまでのUSB-C Digita AV MultiportアダプタはHDMI部分が1.4b止まりであったため、4K@60hz伝送が出来なかったがこの新アダプタを利用すれば、下記のMac・iPad ProなどでHDMIでも4K@60hz伝送が可能になる。

  • 11インチ/12.9インチiPad Pro(第3世代)
  • MacBook Pro 15インチ 2017以降
  • iMac Retina 5K/Retina 4K 2017以降
  • iMac Pro 2018

4K@60hzに対応するMacにMac mini 2018が入っていないのが気になるのだが、そもそもMac mini 2018には最初からHDMI 2.0対応のHDMI端子が搭載されており4K@60hz出力が可能なので問題はない。

なぜこのタイミングで出したのか?

正直な話、HDMI 2.0が登場したのは既にかなり前のことであり、以前からなぜUSB-C AV Digital MultiportアダプタがHDMI 2.0に対応しないのか疑問だったが、予告なしのいきなりの登場に驚いてしまった。

このタイミングでAppleがHDMI 2.0対応のUSB-C Digital AV Multiportアダプタをリリースしたのは、今秋リリースされるmacOS Catalinaが4K HDRに対応したからではないか?と僕は見ている。

2019年10月9日追記
macOS CatalinaにアップデートしたMac mini 2018のHDMI 2.0ポート及びeGPUのHDMI 2.0ポートに4K HDRモニターを繋いでも4K HDR映画は見れませんでした。
4K HDR映画を見るにはiMac 4K/5Kが必要だと思われます。

macOS CatalinaではMacでの4K HDRやDolby Vision、Dolby Atmosの利用に対応しており、Macで4K HDR映画などを鑑賞できる環境を整える目的でこのアダプタをリリースしたのだと思う。

Thunderbolt 3はHDR信号に対応したDisplayPort 1.4の技術が使われているのでわざわざHDMI 2.0アダプタを使わなくても技術的には4K HDR信号を伝送できるが、互換性や利便性の問題があるほか、Netflixなどに代表されるストリーミングサービスでもモニターの接続はHDMIのみの対応となっていることが多いため、一般的に普及しているHDMI 2.0に対応させたアダプタを出した方が都合がいいと判断されたのかもしれない。

疑問点

しかしここで疑問が生じる。

AppleのmacOS Catalinaのページでは注釈として以下のような文言があるのだ。

4K、4K HDR、4K Dolby Vision、Dolby Atmos、HDR10コンテンツは、2018年以降に発売された4K解像度のスクリーンを持つMacのすべてのモデルで利用できます。

macOS Catalina 特徴 - Apple

「2018年以降に発売された4K解像度のスクリーンを持つMac」とはどういう意味なのか。

額面通りに受け取れば、2018年以降のiMac 21.5インチ 4KやiMac 27インチ 5K以外では4K HDRコンテンツなどは視聴できないということになる。

つまり4K未満のMacBookシリーズや外部モニターを使用している環境では視聴できない可能性があるのだが、それだとHDMI 2.0対応のアダプタをこのタイミングでリリースしたのは、CatalinaがHDRに対応したのとは関係ないのだろうか。

個人的な推測

これは個人的な推測であるが、4K解像度のスクリーンを持つ、というのは「4K以上の内蔵ディスプレイを搭載しているか、または4Kテレビやモニターを繋いだMac」という意味なのではないかと思っている。

英語版のAppleページでは先ほどの文言はこのようになっている。

4K, 4K HDR, 4K Dolby Vision, Dolby Atmos, and HDR10 content is available on all Mac models introduced in 2018 or later with 4K-resolution screens.

「4K解像度のスクリーンを持つMac」というよりは「2018年以降のMacと4K解像度の組み合わせ」とも取れる。

ちなみに前述の通りThunderbolt 3も内部の伝送はDisplayPort 1.4に対応しているため、技術的にはHDRの信号を伝送できるが、恐らくThunderbolt 3からUSB-C>DisplayPort変換ケーブルで接続している場合は4K HDRは伝送できないだろう。

そもそもThunderbolt 3からUSB-C>DisplayPortに変換するケーブルのほとんどはDisplayPort 1.2止まりであるため、4K@60hzは伝送できてもHDR信号や著作権保護技術のHDCP 2.2には対応していない。

HDCP 2.2とは?
HDCP 2.2とは新たな著作権保護のための暗号化プロトコルであり、例え4K@60hzの伝送に対応していてもHDCP 2.2に対応していない場合は著作権で保護されている4Kや4K HDRの映像コンテンツは視聴できない。

中にはDisplayPort 1.4対応の変換ケーブルもあるが、まだまだ数は少なく、実際には最大解像度が4Kであったり(本来であれば1.4なら8Kまで対応している)、HDRをサポートしていない場合もある。

4KのコンテンツはHDMI 2.0でしか伝送してはいけない、という決まりがあるわけではないが一般的に普及しているのは圧倒的にHDMI 2.0だ。

そのため、AppleはThunderbolt 3は技術的にHDRに対応しているが、当面はHDMI 2.0経由でしか4K HDRをサポートしないということにしたのだろう。

以上を踏まえると、このタイミングでUSB-C Digital AV MultiportアダプタがHDMI 2.0対応になったのも説明がつく。

要するに「4K HDRコンテンツをmacOS CatalinaでiMac以外のMacで見たいならこのアダプタを使って4Kモニターやテレビで見てくださいね」というわけだ。

もちろん、これは推測でHDMI 2.0対応のアダプタをこのタイミングでリリースしたのは全くの偶然であり、現状では2018年以降のiMac 4KやiMac 5Kでない限り4K HDRコンテンツは視聴できない可能性もある。

まとめ

正直に言ってMac(macOS)の外部モニターでの4K出力は仕様が混沌としており、一部のMacでは4K@60hz出力ができたりできなかったりと、Macによって対応状況はバラバラな状態である。

macOS Catalinaが4K HDRやDolby Visionに対応したと言っても、結局のところ4K HDRコンテンツを見るにはApple TV 4Kを4K HDR対応モニターやテレビに繋いだ方が手っ取り早いとも言える。

以前Apple TV 4Kに関してネガティブな記事を書いたが、Macの4K@60hzやHDCP、HDR対応に頭を悩ませるよりはApple TV 4Kでサクッと見た方が手軽であるかもしれない。