PhotoshopとLightroomからAffinityに乗り換えた感想

先日長年使用していたAdobeのフォトグラフィープランを解約しMac版のAffinity Photo及びAffinity Designerへ乗り換えた。

これまでAdobe Photoshop及びLightroomで行ってきた画像編集・RAW現像・デザインなどは全てAffinityへと移行したことになるが、Adobe Photoshop及びLightroomユーザーがAffinity Photo・Affinity Designerへ乗り換えてみた所感を述べてみたい。

Affinityソフトウェアとは

AffinityとはイギリスのSerif社が開発するクリエイティブソフトウェアシリーズのブランドであり、2020年6月現時点でAffinity Photo・Affinity Designer・Affinity Publisherの3つの製品が存在する。

Affinityソフトウェアの最大の特徴はプロ向けの機能も備えていながら日本円で6,100円という低価格で、更に買い切り型のため、一度製品を購入すればずっと使えるということだ。

もちろんソフトウェアのアップデートも無料で受けられる(メジャーバージョンアップの場合は追加料金を支払う)。

管理人はセール期間中に半額で購入したため、Affinity Photo、Affinity Designerの2つで価格はわずか6,120円である。

なおAffinityソフトウェアは当然Adobeソフトウェアを意識しており、Affinity PhotoはPhotoshopとLightroomAffinity Designerはillustratorを意識している。

プロ用途でも通用する機能を備えていながら買い切り型&低価格ということで近年利用者が増えている。

Affinityソフトウェアを利用可能なデバイスはMacWindowsiPadであり、モバイルデバイス向けはiPad版のみが存在する形となる。

Affinityソフトウェアの特徴

今回購入したAffinity PhotoとAffinity Designerの特徴をまとめる。

Affinity Photo

Affinity Photoは前述の通りPhotoshopを意識した画像編集(ラスター)ソフトウェアであり、Photoshopで出来ることはAffinity Photoでも大抵のことは出来るほど非常に機能が豊富だ。

更にRAW現像も可能な他、多様なカメラレンズのプロファイルが存在する。

またPhotoshopのPSDファイルを読み込み可能なため、Photoshopを解約しても今まで制作してきた資産はそのまま使用できる。

管理人はPSDファイルの読み込みに対して最初不安だったのだが、ほぼ完全な形でPSDファイルを読み込めたため、Photoshopからの移行で大きな問題は起きなかった。

また書き出しファイル形式も一通り用意されている。

Affinity Designer

Affinity DesignerはIllustratorを意識したその名の通りデザイン向けのベクター画像編集ソフトウェアである。

特徴的なのは本来ラスター編集ソフトウェアでしか出来ないことも可能な点で、ベクターとラスターのワークスペースをシームレスに切り替えることが出来る他、ベクター画像にラスターブラシを使用したり、ピクセル単位の編集を行ったりと多様な機能を備える。

Affinityソフトウェアの中では一番人気と言ってよく、Webを見渡してもAffinity Designerを扱ったサイトはとても多い。

こちらもAffinity Photoと同様にPhotoshopやIllustratorのファイルをそのまま読み込み可能だ。

Affinityソフトウェアのライセンス

Affinityのソフトウェアのライセンス(何台までのコンピュータにインストールできるか)は公式サイトのヘルプページを見てみると下記のように書かれている。

個人が私的な目的に使用する場合であれば、個人が所有するまたは管理する、Microsoft Windowsを実行するコンピュータ(以下「Windowsコンピュータ」)、またはmacOSを実行するコンピュータ(以下「Macコンピュータ」)のどちらか(お客様の購入済みライセンスによって決まります)に直接、Serif Softwareの1コピーを個人の目的のためにダウンロード、インストール、使用、および実行することができます。

Affinityのヘルプとサポート

これだけ見ると「1ライセンスにつきMac/Windows PC1台まで」と思ってしまうが、実際には自分が所有するコンピュータであれば何台でもインストール可能である。

ただし、WindowsやMacなどのOSを跨ぐ際は新たにWindowsまたはMac向けのライセンスを購入する必要がある。

Affinityソフトウェアに乗り換えて良かった点

ここではまずAffinityソフトウェア(Affinity PhotoとAffinity Designer)へ乗り換えて良かった点をまとめる。

低価格でしかも買い切り型

画像出典 Affinity

前述の通りAffinityの全てのソフトウェアは買い切り型でAdobe CCと違って月額料金などは一切かからない。

しかもPhotoshopやIllustratorに匹敵する機能を6,100円という低価格で利用できる。

Adobeのフォトグラフィープランは月額1,078円のため年間で13,000円弱かかってしまう上に、年間プラン・月々払いの場合、契約更新月以外の解約は解約金が取られてしまう。

非常にパフォーマンスが良い

これは驚いたのだがAffinity Photo・Affinity Designer共に非常に動作が軽くパフォーマンスがとても良い。

AffinityソフトウェアはmacOSのローレベルグラフィックスAPI「Metal」に対応しているが、同じく「Metal」に対応しているPhotoshopやLightroomよりも動作が軽くキビキビ動く。

管理人の環境はMac mini 2018(Core i7 メモリ32GB)+ eGPU(Radeon Pro 580 VRAM 8GB)であるが、パフォーマンスへの不満は全くない。

以前はPhotoshopで作業しているとeGPUのファンが唸りを上げていたが、そういったこともAffinityソフトウェアでは一切経験していない。

更にパフォーマンスに関連する設定項目が豊富な点も好印象だ。

また、最初にMac版が開発されただけあってRetina表示時と通常表示時の比較といったMacのRetinaに配慮したモードが存在する。

慣れる必要はあるがほぼPhotoshopと同様のことが可能

当たり前ではあるがAffinity PhotoはPhotoshopとインターフェースや機能が全く違う部分があるため慣れるには相応の時間がかかる。

ただ、一度機能を理解してしまえば画像編集に慣れたユーザーなら大抵のことに不満はなくなっていくはずだ。

また、スナップ機能などはPhotoshopよりも優秀であり、細かな指定ができるのでとても重宝している。

Photoshop&Illustratorの資産を流用できる

前述の通りAffinityソフトウェアはPhotoshopやIllustratorのファイルを読み込み可能なため、今までの資産を流用できる。

例えばAffinity Photoでは矢印のシェイプをPhotoshopと同じように作ることが難しいのだが、そういう場合Photoshopの矢印シェイプをそのままAffinity Photoへ引っ張ってきて自由に編集して使用するといったことも可能だ。

RAW現像もプロ用途でなければ問題ない

Affinity PhotoはRAW現像も可能で、多様なカメラレンズもサポートしている他、ハイライトやコントラストの調整など、Lightroomとほぼ同様の編集が可能だ。

もちろんHDR合成やフリンジの除去、位置情報データによるマップの表示といったことも可能。

基本的にLightroomに用意されている編集機能は一通り揃っている。

ラスターとベクターのワークスペースを切り替えられる

Affinity Designerではラスターとベクターのワークスペースを切り替えられるため、シームレスな編集が可能であり、100万%のズーム機能も備えている。

更にタイポグラフィの機能が充実しており、行間やカーニングの細かな調整も行える。

Affinityソフトウェアに乗り換えてイマイチと感じた点

続いてはAffinityソフトウェアに乗り換えて不便・イマイチと感じた点を挙げる。

インターフェースが若干わかりにくい

Affinity PhotoはPhotoshopと一見見た目が変わらないように見えるが、インターフェースが若干わかりにくく、カラーボックスの色の選択はダブルクリックなのにツールバーではシングルクリックだったりと一部の操作に統一性がなかったり、高解像度環境だとツールバーがカスタマイズしてもスカスカだったりする。

また、環境設定で選択できるテキストサイズも「デフォルト」か「大」のみであり、細かなサイズを指定できない。

細かなバグがある

Affinity PhotoとDesignerで大きなバグには遭遇していないが、トリミングのアスペクト比を固定しているにも関わらず反映されず、何度か再起動すると直ったりといったことがあった。

ただ、ネットを見て回った限り数年前と比べて大分バグは潰され、クラッシュといった問題も最近では少なくなっているようで実際に僕も突然のクラッシュといったことは経験していない。

細かな不具合は今後のアップデートに期待したい。

Lightroomに比べると管理機能が乏しい

Affinity PhotoはRAW現像の編集機能を一通り備えているが、Lightroomのようにカタログといった機能がないため、多数のRAWファイルを管理できるようには出来ていない。

例えば50枚のRAWファイルがあったとしてそれらを一気に読み込んでユーザープリセットを一括で同期するといったことは出来ず、また、コレクション機能で写真を整理するといったこともできない。

Photoshopの代替としてはAffinity Photoには満足しているが写真の管理という点でLightroomを完全に代替するには至っていないのが現状だと感じる。

ペルソナの概念を把握するまで時間がかかった

Affinityソフトウェアにはペルソナという概念があり、「ピクセルペルソナ」、「書き出しペルソナ」といったようにいわゆる「モードの切り替え」が可能なのだが、使い慣れた操作方法ではないため慣れるまで混乱してしまった。

現時点で自由変形がない

Affinityソフトウェアは現在、Photoshopなどにある「自由変形」の機能がなく、Photoshopと同様の自由変形を利用する際は遠近法による変形といったように新しい操作を覚える必要があり手間がかかってしまう。

現時点では一発で自由変形をする方法がないため、この点は注意が必要だろう。

まとめ

Adobe Photoshop&LightroomユーザーがAffinity Photo&Affinity Designerに乗り換えた感想をざっと書いてみたが、全ての機能を完全に代替するほどには至っていない。

ただ、そうだとしても今後もアップデートで機能追加が行われることは確実であり、Lightroomの代替としてはまだまだ改善の余地があるものの将来には期待が持てる。

僕個人の意見としてはAffinity PhotoshopやAffinity Designerは以下のような人におすすめである。

  • Adobeのサブスクリプションビジネスに疑問を感じている
  • Adobeのサブスクリプションを解約したいが、今までのAdobeソフトウェアで制作した資産は引き継ぎたい
  • 高機能な画像編集ソフトウェアが欲しいがサブスクリプション型は利用したくない
  • Lightroomの写真管理機能に拘らない
  • iPad版のPhotoshopに不満がある(AffinityソフトウェアiPad版を購入する場合)

基本的にAffinityソフトウェアはRAW現像(写真管理)以外は十分プロ用途としても通用すると感じている。

逆に言えば1日に何十枚、あるいは何百枚というRAWファイルを取り込んでRAW現像をする人には向かないように思う。

僕はこのパンデミックにより外へ写真撮影に出かける機会が減り、ほとんどPhotoshopしか利用していなかったため、Affinity PhotoとAffinity Designerに移行して満足している。

サブスクリプションではない買い切り型の高機能クリエイティブソフトウェアは稀なので、現在Adobeのフォトグラフィープランを利用している人は一度無料トライアルなどを利用して気に入ったら乗り換えるというのも十分に選択肢となると思う。