
iPhoneのiOS、iPadのiPadOS、MacのmacOSには全てデフォルトブラウザとして「Safari」が搭載されており、Appleは以前から「プライバシーの保護」に力を入れ、Safariでは広告やWebサイトがユーザーをトラッキングすることを防ぐ機能を標準で搭載してきた。
ではSafariはAppleの言うように本当に広告やWebサイトのトラッキングをきちんと防止しているのだろうか。
結論から言うとSafariだけでは不十分である。
INDEX
Safariのトラッキング防止に関する問題

先日、Safariの広告やWebサイトトラッキング防止機能に関して、広告を配信してユーザーのトラッキングを可能にしているGoogle自身が「Safariのトラッキング防止機能には問題があり、ユーザーを追跡できる脆弱性が存在する」という問題を発見した。
これらの脆弱性についてAppleは12月のiOS、iPadOS、macOSのアップデートで修正をしているが、完全に問題が解決できたわけではなくAppleは現在もSafariの問題について修正作業をしている可能性があることをMacRumorsは報告している。
Safariのトラッキング防止機能の問題をサードパーティーのコンテンツブロッカー・機能拡張でカバー

Safariは確かにトラッキング防止機能を有しているが、上記問題のように完全にトラッキングを防いでいるわけではなく、またSafariに問題が存在しなかったとしても完璧に広告やWebサイトによるトラッキングを防ぐのは不可能である。
完全にトラッキングを防ぐにはCookieを全てブロックする必要があるが、その場合悪意のない通常のWebサイトも影響を受けてしまう。
とはいえ、Safari側で不足しているトラッキング防護能力をサードパーティーのコンテンツブロッカーや機能拡張でカバーするというのは有効な手段だ。
トラッキングによるプライバシー問題に敏感な人はそれぞれのApple製デバイスで下記に紹介するコンテンツブロッカーや機能拡張を利用してみよう。
なお、下記に紹介するいずれのデベロッパーからも管理人はいかなる報酬も受け取っておらず、管理人自身が選んだコンテンツブロッカー・機能拡張である。
iOS・iPadOS

iOS・iPadOSならコンテンツブロッカー「AdGuard」の無料版を利用し、「設定」>「プライバシー」>「Fanboy's Enhanced Tracking List」をオンにすればトラッキング防止機能を有効化できる。


AdGuard以外のコンテンツブロッカーを利用している場合でも同様の設定があれば有効化しておこう。
macOS

macOSを利用しているなら無料で利用できるSafari用機能拡張「DuckDuckGo Privacy Essentials」が最も強力で信頼性も高く、トラッキング防止機能の他、広告のブロック機能も備えている。
「DuckDuckGo」とはプライバシー保護を謳っている検索エンジンであり、DuckDuckGoの一貫した方針として「いかなるユーザーの情報も収集しない」としており、近年主に米国で利用者が増えている。
「DuckDuckGo Privacy Essentials」はDuckDuckGo公式の機能拡張であり、安全性においても機能においても非常に優れたものだと考えている。
詳しい使い方は以下の記事にて。

Safari側の設定
いくらSafariのトラッキング防止機能に問題があると言ってもトラッキング防止機能に全く意味がないというわけではないため、トラッキング防止機能はSafariの設定で有効化しておいた方がいいだろう。
iOS・iPadOS

「設定」>「Safari」の欄から「サイト越えトラッキングを防ぐ」をオンにする。
macOS

macOSであればSafariの「環境設定」>「プライバシー」のタブから「サイト越えトラッキングを防ぐ」をオンにしておこう。
まとめ
Safariにトラッキング防止に関する脆弱性が存在したとしても、潜在的なSafariのプライバシー保護能力は高いと言えると思う。
ただ、最近ではChromiumをベースに生まれ変わった「Microsoft Edge」もプライバシー保護に力を入れている他、「Google Chrome」でさえも今後2年以内にサードパーティーのCookieのサポートを廃止する予定だ。
Safariのトラッキング防止に代表されるプライバシー保護機能はもはやどのブラウザでも珍しくなくなってきている。
今後AppleはSafariをプライバシー保護という観点でどうやって差別化していくのか、また、macOS Catalina以降問題になっているソフトウェアの品質低下においてもどのように対応していくのか注目したい。