Mac向けPro Display XDRの代替モニター選び

現在僕はMac mini 2018に27インチ4K HDRモニター「LG 27UK650-W」を接続して作業しているが、酷使しているせいかバックライト漏れが悪化している他、27インチだと擬似解像度3008x1692では文字が場合によって小さすぎることがあり、モニターの新調を考えている。

ここではMac向けのPro Display XDRの代替モニターをまとめてみたい。

Pro Display XDRの問題点

なぜPro Display XDRではなく代替モニターを探すのかというとPro Display XDRは僕の使用環境では問題があるためだ。

価格が高すぎる

まず第一に価格があまりにも高すぎる。

画像出典 Apple

反射防止のナノテクスチャなしのモデルで529,800円、ナノテクスチャ版は599,800円、更にPro Display XDRにはスタンドが付属していないためスタンドに106,800円、Apple Care+ for Apple Displayは57,800円である。

仮にナノテクスチャ版、スタンド、Apple Care+ for Apple Displayを選択した場合、合計金額が764,400円になってしまう。

もちろんPro Display XDRは名前の通りプロ向けのため「高すぎる」という不満がそもそも的外れなのは承知だが、それにしても拡張性に乏しい上にこの価格はちょっと考えてしまう。

Thunderbolt 3ポートが一つしかない

Pro Display XDRはThunderbolt 3ポートが一つしかなく、残りの3つのポートは単なる充電とUSB-2スピードのデータ通信しかできない。

画像出典 Apple

つまりMacとPro Display XDRを接続したらそれ以上は映像を出力する機器は繋げられないのだ。

僕は現在のモニターをMacとPS4 Pro兼用として使用しているため、モニター選びの際はまずPS4 Proが接続可能というのが大前提になる。

Thunderbolt 3を分岐させる外部アダプタなどが存在するとしてもMacとPS4などを同時に接続できるかは不明な他、PS4 Proは4K対応であるがPro Display XDRは6KディスプレイのためPS4 Proを接続できたとしても映像が引き延ばされるという問題もある。

Pro Display XDRにはOSDがない

Pro Display XDRにはいわゆる「OSD(On-Screen Display)」がなく、明るさの調整などは全てMacから行う。

そのためMac以外の機器を繋げたとしても明るさやカラーの設定はできない。

LG UltraFine 4K/5Kディスプレイも同様の理由で却下

AppleはPro Display XDR以外にもLG製のUltraFine 4K/5Kディスプレイを販売しているが、UltraFine 4K/5Kディスプレイも上記のPro Display XDRと同様の問題があるので僕としては却下となる。

Pro Display XDRの代替4Kモニター

Pro Display XDRに可能な限り性能を近づけ、かつ解像度以外はPro Display XDRと比べてもそれほど見劣りしない4Kモニターを選別してみた。

Dell Alienware AW5520QF

最初に目に止まったのがPC向けのゲーミング有機ELモニター「AW5520QF」。

価格約40万円
発売日2019年9月11日
サイズ54.6インチ
画素密度81ppi
パネル有機EL
バックライト自発光
コントラスト比130000:1
応答速度0.5ms
HDRHDR対応(認証なし)
色域98.5% DCI-P3
ポートHDMI 2.0x3
DisplayPort 1.4x1
USB 3.0 ダウンストリームx4
USB 3.0アップストリームx1
ヘッドフォン出力端子x1
SPDIF出力端子x1
フリッカーフリー有機ELのためフリッカーの心配なし
スピーカーあり

価格が約40万円というPro Display XDRほどではないとはいえ、とんでもなく高額なモニターだが現在Amazonで購入可能な有機ELモニターは調べた限りこれしかない。

54.6インチという巨大なサイズであるため、Dellは設置は必ず大人二人で行うように警告している。

あまりに巨大なサイズであるためにppi(画素密度)が81ppiしかなく、Macで使用した場合、Retina表示(擬似解像度によるRetina化)による恩恵は受けられない。

リフレッシュレートも120hzに対応しているがMacやPS4を接続する僕の使い方ではあまり意味がない。

また、HDRには対応しているものの最大輝度が400ニトでありHDRの効果をふんだんに楽しむといったことも難しそうだ。

とはいえPC向けの有機ELモニターという点で突出した製品であるため、サイズに目をつぶれば選択肢としてはありだろう。

なお、このモニターより遥かに安い一般的な有機ELテレビをモニターとして利用するという方法もあるが、僕はDisplayPort、もしくはThunderbolt 3(USB-C)でMacとモニターを繋ぎたいため、有機ELテレビは検討対象にはない。

ASUS ProArt PA32UCX

ASUSによるプロ向け液晶モニター。

価格約30万円
発売日2019年9月25日
サイズ32インチ
画素密度138ppi
パネルIPS
バックライトミニLED
フルアレイ1152ローカルディミングゾーン
コントラスト比1000 :1 (標準)
1000000 :1 (HDR)
応答速度5ms
HDRDisplayHDR 1000認証
DolbyVision対応
色域89% Rec.2020
99.5% Adobe RGB
99% DCI-P3
100% sRGB
ポートThunderbolt 3x2
HDMI 2.0x3
DisplayPort 1.2x1
USB 3.0ダウンストリームx3
ヘッドフォン出力端子x1
フリッカーフリーあり
スピーカーあり

価格は約30万円であり、やはり高額ではあるがこのモニターは世界初のDolby Vision対応PCモニターであり、更に世界初のMini LEDによる1152のローカルディミングゾーンを持つ他、液晶には量子ドット(Quantum Dot)の技術も使われている。

ローカルディミングとは?
ローカルディミングとはバックライト制御技術の一つであり、液晶パネルの裏側にあるバックライトをLEDやミニLEDにより分割し、表示されている映像に合わせてLEDの輝度を変えることを言う。

例えば映像の一部分が真っ黒ならばそのエリアのLEDの輝度を下げればそのエリアだけ限りなく黒に近い黒を実現できる。

また、ローカルディミングのゾーン(分割数)が多ければ多いほど、それだけ制御できるエリアが細かくなり映像の品質が上がる。

なお、ゾーンが少なすぎる場合、輝度が高い映像の周りにLEDの光が漏れてしまう「ハロー現象」が発生するという欠点がある。

1152個のローカルディミングゾーンというのはPro Display XDRの576個を超えており、ローカルディミングに関してはPro Display XDRより上である。

また、Thunderbolt 3端子を搭載している点も魅力的だ。

こうして考えると30万円という価格はその性能や技術に比べればある意味安いとも言える。

ただ、DisplayPortのバージョンが1.2であるためDisplayPort経由ではHDR信号を伝送できないというのが玉に瑕だ。

なお、1152個という多くのローカルディミングゾーンを持つ故、このモニターにはファンが内蔵されているようだが、下記YouTubeレビュー動画ではファンの音は非常に静かであると評価されている。

ディスプレイにファンが内蔵されていることについて不安に思う人もいるかもしれないが、ノイズ音はピーク時で31dBということなので気にするほどではないだろう。

LG 32UL950-W

LGによるハイエンドモニター。

価格約14万円
発売日2018年10月22日
サイズ31.5インチ
画素密度140ppi
パネルNano IPS
バックライトエッジ型LEDローカルディミング
分割数非公表
コントラスト比1300 :1
応答速度5ms
HDRDisplayHDR 600認証
色域98% DCI-P3
135% sRGB
ポートThunderbolt 3x2
HDMI 2.0x1
DisplayPort 1.2x1
USB 3.0ダウンストリームx2
ヘッドフォン出力端子x1
フリッカーフリーなし(PWM調光)
スピーカーあり

価格は約14万円。

Nano IPSという技術により不要な赤色の光を吸収し、ナチュラルな発色を可能にしているとされる。

また、DisplayHDR600の認証を受けているためHDR性能も申し分ない。

加えてThunderbolt 3ポートが2つ付いている他、ローカルディミングにも対応する。

ただしローカルディミングについては下記サイトによれば、このモニターは多くのLEDをパネル直下に配置するフルアレイローカルディミング(FALD)ではなくエッジ型のローカルディミングであるようだ。

ローカルディミングのゾーンが非公表な点もここに理由があるのだろう。

また、僕にとって致命的な問題点としてこのモニターはフリッカーフリーではない。

調光システムがDC調光ではなくPWM調光であるため、長時間の使用によりフリッカー(LEDの高速の点滅)による眼精疲労が心配になってくる。

僕は既に10年近くフリッカーフリーのモニターを使っており、フリッカーフリーでなければ作業ができないほどに恩恵を感じているため、フリッカーの心配がつきまとう点でこのモニターの選択には躊躇してしまう。

Acer Predator X32

Acerによるハイエンドゲーミングモニター。

価格$3,599
発売日2020年Q1
サイズ32インチ
画素密度138ppi
パネル不明
バックライトミニLED
フルアレイ1152ローカルディミングゾーン
コントラスト比不明
応答速度不明
HDRDisplayHDR 1400認証
色域不明
ポート不明
フリッカーフリー不明
スピーカー不明

CES 2020で発表されたモニターであり、まだ国外でも発売はされていない。

一応の発売予定は2020年Q1であるが、2020年Q2に入った現在でもどこにもないことを考えると昨今の世界を取り巻く状況により発売が遅延した可能性がある。

パネルは液晶であるが、ASUSのモニターと同じくMini LEDによる1152個のローカルディミングゾーンを持ち、DisplayHDR 1400の認証を受けている。

また、リフレッシュレートがゲーミングモニターらしく144hzもあるが、MacやPS4を接続する上ではAlienwareと同じくあまり意味がない。

価格次第で魅力的ではあるものの、あくまでゲーミングモニターであるためMacで使うならASUSの方が適しているかもしれない。

最有力候補

最有力候補はやはり上記4つの中ではASUS PA32UCXとなる。

30万円とはいえ、搭載されている技術やHDRの性能を考えると逆に安いとも言える上、ローカルディミングのゾーンに関してはPro Display XDRを超えている。

ただのライター業にこんな高性能なモニターが必要なのか?という気もするが、映画好きとしてはローカルディミングやDolbyVision対応には惹かれる。

一つ気になる点としてはPA32UCXのDisplayPortは1.2であるためDisplayPort経由ではHDR信号を伝送できないというのが挙げられる(DisplayPortでのHDRのサポートは1.4から)。

現在使用しているLGの4K HDRモニター「LG 27UK650-W」もDisplayPortは1.2であるがLGのモニターは特殊な仕様のためDisplayPort経由でもHDR信号を伝送可能だが、PA32UCXはそうはいかないだろう。

なお、有機ELモニターのAW5520QFも、もう少しサイズが小さければ迷わず飛びついたと思うのだがさすがに54.6インチは大きすぎる。

また有機EL故の焼き付きも心配だ。

ただ、AW5520QFも価格が下がれば有機ELモニター初体験という意味で魅力的ではある。

Pro Display XDRほど高額ではないとはいえ、上記のモニターはいずれも安い買い物ではないため今すぐ購入するわけではないし、もちろん他に良さそうなモニターがあれば上記以外も検討対象とするが、今のモニターが壊れない内になるべく早く決めておきたいところだ。