
eGPUを導入することでMacの仮想マシン構築ソフトウェアである”Parallels Desktop”のパフォーマンスが大幅に上がるということは、これまで色々な記事で触れてきたが、実際にどの程度パフォーマンスが上がるのかベンチマークをしてみた。
INDEX
テスト環境
テストに使用したMac・eGPUの環境とParallels Desktopの設定は以下のようになる。
なお、CPU使用率などのモニタリングには有料ソフトウェアのiStat Menusを使用している。
Mac・eGPU環境
使用Mac Mac mini 2018 Core i7 6コア12スレッド・メモリ32GB CPU内蔵グラフィック Intel UHD 630 eGPU Blackmagic eGPU(Radeon Pro 580) 使用モニター LG 27UK650-W(4K HDRモニター) 擬似解像度 3008x1692
Parallels Desktopの設定
使用Parallels Parallels Desktop 14 Pro Edition 使用Windows Windows 10 Professional 64bit 割り当てCPUコア 2コア 割り当てメモリ 2GB グラフィック設定 自動 Windows側の解像度 1920x1080
ベンチマーク
ではParallels Desktop上のWindows 10におけるCPU内蔵グラフィック・Blackmagic eGPUのパフォーマンス及びベンチマークを交互に比較していく。
CPU内蔵グラフィック:CPU・GPU使用率
CPU内蔵グラフィックでParallels DesektopのWindows 10を起動させ、何もしないアイドル時のCPU・GPU使用率は下記の画像のようになった。

CPU・GPU使用率もそれほど高くはなく、ParallelsでWindows 10を起動させるくらいなら、CPU内蔵グラフィックでも大してMacに負担はかからないようだ。
CPUの温度は58度。
ただ、Windows 10の動作はフォルダのスクロールやウィンドウ開閉のアニメーションなどがカクつき、CPU内蔵グラフィックが悲鳴を上げているような印象を受けた。
Blackmagic eGPU:CPU・GPU使用率
続いてBlackmagic eGPU接続時のCPU・GPU使用率。

アイドル時に関してはCPU内蔵グラフィック使用時と比べても大してCPU・GPU使用率などに差は見られない。
ただ、CPU内蔵グラフィックを使用しない分、CPUにかかる負荷が減ったため、CPUの温度は53度となっている。
CPU内蔵グラフィック:Cinebench R15
続いてはCPU内蔵グラフィックでCinebench R15のOpen GLテストをしてみた。
CinebenchはR20にバージョンアップしてからOpen GLベンチマークが削除されたため、海外の有志が開発したCinebench R15 Extremeを使用。

スコアは25.68 fpsであり、ベンチマーク中も画面がカクカクしており、まずゲームをプレイするのは不可能だと思えるほどにパフォーマンスが悪い。
なお、画像では”OS”の欄がWindows 8となっているが、これはバグであり実際に使用したWindowsは10である。
Blackmagic eGPU:Cinebench R15
続いてはBlackmagic eGPU接続時のCinebench R15のOpen GLパフォーマンスを計測。

さすがというべきか、CPU内蔵グラフィックの25.68 fpsを大幅に上回る68.82 fpsを記録。
ベンチマーク中も画面がCPU内蔵グラフィック時と比べて明らかにヌルヌル動き、肉眼でも分かるほどにスムーズな動作になった。
CPU内蔵グラフィック:Unigine Heaven
続いてはグラフィック負荷が極めて高いUnigine HeavenベンチマークをCPU内蔵グラフィックで試してみる。

結果は平均fps 11.4という紙芝居レベル。
誇張でもなんでもなく、画面はカックカクであり紙芝居という言葉がぴったりなほどのパフォーマンスである。
Unigine Heavenは実ゲームに近い環境でfpsを計測してくれるので、11.4という数値は3Dゲームはプレイ不可能と考えて差し支えない低さである。
Blackmagic eGPU:Unigine Heaven
CPU内蔵グラフィックでは散々な数値を記録したUnigine Heavenを今度はBlackmagic eGPUを接続して計測。

結果はCPU内蔵グラフィックが平均11.4 fpsだったのに対して平均fps 55.2という大幅なアップ。
ベンチマーク画面もCPU内蔵グラフィックとは雲泥の差でヌルヌルであり、時折60fpsを超える場面もあった。
Parallels Desktop上のWindowsでこれだけのパフォーマンスが出せれば、古めの3Dゲームなら楽々動くだろう。
これがBlackmagic eGPU Pro(Radeon Vega 56)やRadeon VIIなどの高性能なRadeonを積んだeGPUボックスであればParallels Desktop上で最新ゲームを遊ぶのも夢ではないかもしれない。
おまけ:ノベルゲームはどの程度快適になるか?
ここからは完全に僕の趣味になるが、CPU内蔵グラフィック時とeGPU接続時ではノベルゲーム(エロゲ)などの軽いゲームの動きもまるで違う。

CPU内蔵グラフィックではWindowsの動作も、そこで動作するノベルゲームの動作も重く、テキストや立ち絵の切り替わりがカクついたり、CPUの温度が異常に高くなったりしたが、eGPUを接続した状態ではそれらの動作が嘘のように軽くなる。
世の中のほとんどのノベルゲームはeGPUを接続すればParallels Desktop上でも快適に動くだろう。
まとめ
eGPUを導入することによるParallels Desktopのパフォーマンス向上は絶大であり、Parallels Desktopを日常的に使用する人なら確実にメリットを得られる。
上記ではノベルゲームを例に出したが、ノベルゲーム以外でも、軽いインディーズゲームや数年前の3Dゲーム程度ならBlackmagic eGPUを導入することでほとんどのゲームが動作するはずだ。
更に、前述したようにBlackmagic eGPU Pro(Radeon Vega 56)や高性能なRadeonを搭載したeGPUボックスであれば、最新のゲームでもそこそこ遊べそうなほど、Parallels DesktopでのeGPUによるパフォーマンス向上は大きい。