
Mac mini 2018はApple非サポート&保証やAppleCareが無効になるデメリットがあるが、自身でメモリを交換することが可能だ。
ちなみにメモリを自分で交換するのは僕としてはおすすめしないので、購入後にメモリを増設する際はApple正規サービスプロバイダに依頼するか、購入時に搭載メモリを潤沢にカスタマイズしよう。
メモリ交換を自分でするのをおすすめしない理由は以下の記事にて。

今回は16GBから32GBに増設後のパフォーマンスの変化を書いていきたい。
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メモリが16GBの場合のパフォーマンス

最初にMac miniをCTOして購入する際、僕はケチってメモリを16GBにしたのだが、結果的にこれは僕の使用用途では十分な容量とは言えず、度々スワップが発生した。
個人的な印象として、Windowsは基本的にメモリ使用量があまり高くなく、Windows 8.1以降はリッチなエフェクトも使わず、Windows SuperFetchと呼ばれる機能で”よく使うアプリケーションの先読み”は行うものの、以前ほどメモリを要求することはなくなった。
対してmacOSもアプリケーションのキャッシュ、いわばWindowsで言うSuperFetchを行うのだが、振る舞いを見る限りWindowsとは違い、搭載されているメモリを最大限使用する動作をしている。
加えてリッチなエフェクトや擬似解像度(Retina)の兼ね合いも相まってかなりメモリ使用量が高いOSになっている。
搭載されているメモリが16GBの場合、大して重いアプリケーションを開いているわけでもないのに、Mac起動後数分〜数時間で2〜3GB程度をキャッシュしていた。
その状態で更にPhotoshopやLightroomを使ったり、ブラウザでタブを複数開いたりした場合、たちまち使用量が跳ね上がり、2GBから多い時で4GB程度のスワップが発生した。
ちなみにMac miniやMacBook Pro 13インチモデルなどの、CPU内蔵グラフィックしか搭載していないMacではメモリをVRAM(ビデオメモリ)として使用するために、あらかじめVRAM用に1.5GBほどのメモリが確保されてしまうため、実質的な使用可能メモリは搭載メモリ16GBの場合は14.5GBほどになる。
CPU内蔵グラフィックのみのMacでは搭載メモリは-1.5GB程度になるということに留意する必要がある。
とはいえ、Mac miniのSSDはNVMeであり、ディスクが爆速なのでスワップしたとしても極端にパフォーマンスが低下することはなかった。
体感としてのスワップによる遅延は1秒程度である。
メモリを32GBに増設した後のパフォーマンス

メモリを32GBに増設した後に気づいたことは、まずmacOSのキャッシュが16GBの頃より明らかに増え、Macを起動後は3〜5GB、場合によっては10GB程度をキャッシュするようになった。
メモリに余裕が出来たために、キャッシュする容量も増えたわけだ。
更にこの後、メモリ16GBの頃と同じく重いタスクを実行すると、メモリ使用量は20GBを軽く超え、例えメモリを食っている重いアプリを終了させたとしてもそれらのアプリが使用したメモリはあまり解放されずに、次の実行に備えて領域が確保されたままになる。
メモリが潤沢にあるために、重いアプリケーションを閉じてもいちいちそれらのメモリをすぐには解放しなくてもよい、と判断されたわけだ。

結果としてmacOSを再起動などをせずに長期間(数日〜1週間)使用した後のメモリ使用量は常に20GB程度をウロウロするようになった。
このおかげで重いアプリやブラウザでタブを多数開いたとしても、ほとんどスワップすることもなくサクサクとした動作になった。
ディスクが爆速SSDとは言えメモリの速度とは比べものにならないし、スワップがほとんど発生しないというのは16GBの頃と比べるとメモリに気を遣う必要がなくなり、精神的な面でも余裕が出来る。
ベンチマーク
基本的にメモリ容量はCPUの性能にほぼ影響しないが、一応ベンチマークを取ってみた。
使用したメモリは以下。
増設前:16GB
CINEBENCH CPU(2回計測)

GEEKBENCH CPU

増設後:32GB
CINEBENCH CPU(2回計測)

GEEKBENCH CPU

誤差レベルかもしれないがスコアアップを果たしている。
CINEBENCHに至っては1回目の計測で12コア24スレッドのXeon X5650を超えてしまった。
GEEKBENCHにおいてもマルチコアスコアが3000近くアップ。
増設前と増設後の間にmacOSのソフトウェアアップデートをしたので、メモリ増設の影響とは言えないかもしれないが、この結果には少々驚いた。
Macに最適なメモリ容量はどれか
Macに最適なメモリ容量は何に使うかで大きく変わってくるのだが、メインで使うなら例え重いタスクを実行しない場合でも最低16GBあった方が安心である。
macOSは基本的にWindowsよりメモリ使用量が高く、Webブラウジングだけの軽い用途でも時間経過などで8GBだとスワップが発生する。
僕がiMac 2013をメモリ8GBで使ってた頃、ストレージがHDDというのも相まって大して重い作業をしなくても頻繁にスワップし、OS全体の動作が極めて重かった。
あれから数年が経っているがmacOSがかなりのメモリを要求するという状況は変わっていないので、最低16GB、Photoshopなどの重いアプリケーションを使用する場合は32GB以上が必要になるだろう。
まとめ
以上、メモリ16GBと増設後の32GBのパフォーマンスについて検証してみたが、16GBと32GBでは快適度と安心感がかなり違う。
金銭的にどうしても無理、というわけでなければMacBook Proなどであれば軽いアプリケーション使用用途なら16GB、ヘビーに使うなら32GB以上を選択し、メモリを正規の方法で増設可能なiMac 27インチの場合は購入後に必要に応じて16GBや32GB以上に増設しよう。
Mac mini 2018の場合は購入後もApple正規サービスプロバイダに依頼すれば保証やAppleCareを維持したまま増設も可能だ(冒頭でも触れたように自分での増設はリスクが高いため)。
ただ、MacBookシリーズなどをサブで使う(時々持ち運び、家ではそれほど使わない)というのであれば8GBに妥協して、その予算をSSDに回すという選択肢もある。
メモリ容量は軽視すると後になって後悔するので(特にMacBook Proなどの増設が不可能なモデル)、是非とも慎重に選んでほしい。
最後に、メモリが8GBの場合のメモリ使用量の分析を新たに以下の記事にまとめたのでよければ併せてご覧いただきたい。
