
近年のSSD/HDD(ディスク)にはS.M.A.R.T.(Self-Monitoring Analysis and Reporting Technology -スマート)と呼ばれる自己診断機能が搭載されており、コンピュータ上からこのS.M.A.R.T.の情報を読み取ることでディスクの状態を把握し、故障防止や故障の判断に利用できる。
ここではMac(macOS)でS.M.A.R.T.の情報を閲覧する各種方法を紹介する。
INDEX
macOSのデフォルト機能で確認する方法

macOSのデフォルト機能でも当然S.M.A.R.T.を読み取ることはできるが、システムレポートまたはディスクユーティリティで簡易的に表示することしかできない。

「このMacについて」の「システムレポート」内にある「ストレージ」、あるいは「ディスクユーティリティ」の下部にS.M.A.R.T.情報が表示されているが「検証済み」という表示しか出ないため、詳しいS.M.A.R.T.の値はそのままではmacOSのデフォルト状態では確認できない仕様になっている。
また、macOS自体は外付けディスクのS.M.A.R.T.読み取りには対応していない。
サードパーティーアプリ「DriveDx」で確認する方法

macOSのデフォルト機能ではS.M.A.R.T.の情報を詳しく確認できないため、サードパーティーアプリの「DriveDx」を使ってみよう。
インストール
DriveDxは有料アプリだがトライアル(無料体験)版を15日間、フル機能で使用可能だ。

DriveDxを起動すると警告が出るが「開く」をクリック。

上記のような画面が出るが、「Try Now」をクリック。

診断データベースの自動アップデートをオンにするか訊かれるが、どちらをクリックしても構わない。
これはあくまで診断データベースの自動アップデートであり、ユーザーのディスクの情報がどこかに送信されるわけではない。
使い方

DriveDxが正常に起動すると読み取ったS.M.A.R.T.の情報やディスクの様々な情報が表示されるが、基本的にはウィンドウ上部3つの「Advanced S.M.A.R.T.Status」「Overall Health Rating」「SSD Lifetime Left Indicator」の3つが「GOOD」もしくは「OK」であればディスクの健康状態は良好と考えていい。
上記3つのそれぞれの意味は下記のようになる。
Advanced S.M.A.R.T. Status S.M.A.R.T.から読み取ったディスクの状態を表している。 「OK」となっており「0 issues found」となっていれば問題が一つもないことを意味する。 Overall Health Rating 総合的なディスクの健康状態を表している。 「GOOD」となっており、「100%」であれば健康状態は極めて良好。 SSD Lifetime Left Indicator ディスクのおおよその残り寿命を表している。 「GOOD」となっており、100%に近いほど良好。 僕の環境では99%となっており、ディスクの寿命は当分心配しなくていいようだ(あくまで目安ではあるが)。
また、この画面では「Power On Time」でディスクの合計使用時間も確認可能だ。

また、左サイドバーの「Health Indicators」では個々の健康状態の指標となる項目の詳細が確認できる。
Mac miniは非常に熱を持つMacであるため、上記画像では「Composite Temperature」の値だけが芳しくない。
S.M.A.R.T. Monitoring ToolsをインストールしてターミナルでS.M.A.R.T.情報を見る

なお、完全に無料でS.M.A.R.T.情報を把握したい場合は「S.M.A.R.T. Monitoring Tools(smartmontools)」をインストールしてターミナルコマンドで確認してもいいだろう。
インストール
まず、上記ボタンから「smartmontools」のインストーラーをダウンロードする。

ダウンロードしたパッケージはダブルクリックでは開けないため右クリックの「開く」をクリックしよう。

警告が出るが「開く」をクリック。

画面の指示に従ってインストールを進めよう。
使い方
「smartmontools」のインストールが終わったらターミナルで下記コマンドを実行する。
sudo /usr/local/sbin/smartctl -a /dev/disk0


コマンドを実行すると、上記のようにS.M.A.R.T.情報の一覧が出力される。
様々な項目があって混乱するだろうが基本的には「SMART overall-health self-assessment test result」が「PASSED」になっていればひとまずディスクの健康状態は良好と言っていいだろう。
他にも温度などの様々な情報が出力されるため、重宝するはずだ。
外付けディスクのS.M.A.R.T.を確認する方法
前述の通りmacOSは外付けディスクのS.M.A.R.T.情報の読み取りには対応していないため、DriveDx及びS.M.A.R.T. Monitoring Toolsで外付けディスクのS.M.A.R.T.を確認する方法を紹介する。
DriveDxの場合
DriveDxで外付けディスクのS.M.A.R.T.を読み取るためには専用のドライバをインストール必要がある。

また、このドライバはトライアル版などは関係なく永久に無料で利用可能なほか、ドライバ単体でも配布されている。
まずDirveDxの左パネルから外付けディスクを選択し「Install Driver」をクリックしてインストールしよう。
なお、この作業にはMacの再起動や外付けディスクの物理的な再接続の必要がある。

画面の指示に従ってインストールしていく。

インストール作業が停止して「機能拡張がブロックされました」と出たら「セキュリティ環境設定を開く」をクリック。

「セキュリティとプライバシー」の設定に移動したら左下の鍵アイコンをクリックしてロックを解除して「開発元”人名”システムソフトウェアの読み込みがブロックされました」の欄の「許可」をクリックしよう。
これでインストールが再開される。
なお、インストールには数分ほどかかるのでインストールが止まっているように見えるかもしれないが、しばらく待機してみよう。
もしいつまでもインストールが終わらない場合は一旦インストール画面を終了させ、再度インストールしてみよう。
無事にドライバのインストールが終わったら外付けディスクを物理的に外してMacを再起動させ、再度外付けディスクを接続する。

するとDriveDx画面上で外付けディスクのS.M.A.R.T.情報が閲覧できるようになるはずだ。
なお、外付けディスクのパーティションを分けていてもDriveDx上では一つのボリュームとして認識される。
S.M.A.R.T. Monitoring Toolsの場合
S.M.A.R.T. Monitoring Toolsを使用する場合は外付けディスクのディスク番号を確認する必要がある他、DriveDxと同じくドライバをインストール必要がある。
なお、ドライバはDriveDxのドライバと共通なのでドライバのインストール方法は前述の「DriveDxの場合」の項目を参照してほしい。
ドライバをインストールしたらまず最初にディスク番号を確認するために「ディスクユーティリティ」を開こう。

外付けディスクを選択して「情報を見る」をクリック。

ここの「BSD装置ノード」欄のディスク番号を指定して先ほどのコマンドを実行する。
例えば上記画像では外付けディスクは「disk2」となっているので下記のコマンドのようになる。
sudo /usr/local/sbin/smartctl -a /dev/disk2

これで外付けディスクのS.M.A.R.T.情報がターミナルで表示されるはずだ。
なお、もし「Operation not supported by device」というエラーが出たら一度外付けディスクを物理的に外して再接続してみよう。
まとめ
MacユーザーでS.M.A.R.T.の情報が気になる人はあまりいないかもしれないが、ディスクの健康状態のチェックや故障の予防だけではなく、Macの動作がおかしい場合にS.M.A.R.T.をチェックして問題の原因を切り分けるという場合にも有効なため、必要に応じてチェックしてみてほしい。