macOS Big SurからMojave&Catalinaへダウングレードした。成功した手順

macOS Big Surはデベロッパーベータから7ヶ月ほど使用したが、デザインも正直あまり好きではなく、Safariのクラッシュや全般的なパフォーマンスの低下(11.1〜11.2以降)が酷くなったため、Mojaveを経由してCatalinaへダウングレードしたので経緯と手順を書いておこうと思う。

Mac環境は下記の通り。

  • Mac mini 2018
  • macOS Big Sur 11.2正式版
  • ネットへの接続はイーサネット
  • eGPUは作業中は全行程において物理的に切断
  • ダウングレード作業にTime Machineは未使用(僕のTime MachineにMojaveやCatalinaのバックアップがないため)

最初に断っておくとmacOS Big Surからのダウングレードは一筋縄では行かず、僕の場合Catalinaにダウングレードするまでに5時間ほどかかった。

なお、macOSはダウングレードという概念そのものを意図していないため、どのような手順であってもMacintosh HDの消去が必要であり、データは完全に消滅するためTime Machineなどでバックアップを取っておこう。

また、Macの初期macOS(購入当初のmacOS)がBig Surである場合は基本的にダウングレードはできないので本記事の手順は初期macOSがMojaveやCatalinaである場合が対象となる。

macOS Sierra以前に戻す場合はAPFSファイルシステムのMacintosh HDを認識できないため、トラブルが生じる可能性がある(macOS SierraではAPFSは開発者向けプレビューが提供されたのみで、一般向けには機能が解放されていない)。

注意
macOS Big Surからのダウングレードは完全にMacが起動しなくなるなど深刻な影響を及ぼす可能性が高いため、くれぐれも慎重に行ってください。
本記事の手順を実行したことによるいかなる問題も当方では責任を負いかねます。

推奨されるmacOS Big SurからMojave&Catalinaへのダウングレード手順

通常macOS Big SurからMojaveやCatalinaへダウングレードするには下記の手順で行えば理論上はダウングレードが可能だが、下記方法では僕の環境(macOS Big Sur 11.2)では「-1008Fエラー」や「Optionキーでブートピッカーが起動できない」といった問題が出て上手くいかなかった。

STEP.1
各種認証の解除とサインアウト
ミュージックの認証を解除し、「Macを探す」をオフにしてApple IDからサインアウトする。特に「Macを探す」はオフにしないと後述するアクティベーションロックがかかる
STEP.2
macOS CatalinaやMojaveのインストーラーを作る
USBメモリなどにブート可能なmacOS CatalinaやMojaveのインストーラーを作る
STEP.3
起動セキュリティユーティリティで外部メディアを起動可能にする
T2チップを搭載したMacの場合、デフォルトでは外部メディアでの起動ができないため、Command+Rキーでリカバリーモードを起動しメニューバーから「起動セキュリティユーティリティ」で外部メディアを起動可能にする
STEP.4
Macintosh HDDを消去する
再度Command+Rキーを押してリカバリーモードでMacを起動し、リカバリーモードのディスクユーティリティからMacintosh HDを消去する
STEP.5
USBメモリからCatalina&Mojaveをインストールする
ディスクを消去したらOptionキーを押しながらMacを再起動しブートピッカーでUSBメモリを選択し、USBメモリからCatalinaやMojaveをインストールして完了

手順だけ見ればシンプルに思えるが僕の場合はこんなに簡単ではなかった。

また、Shift+Option+Command+RキーのインターネットリカバリーでMac購入当初にインストールされていたmacOSを再インストールするという方法もあるが、Macintosh HDDを消去する際に「Permission Denied」とエラーが出てMacintosh HDDを消去できないという問題が発生した。

何度か再起動して何とかMacintosh HDDを消去できたが結果的にはインターネットリカバリーモードがコケるという状態になってしまった。

最も簡単なダウングレード手順 - icloud.comによる遠隔消去

macOS Big Surの2度のインストール、エラーとの試行錯誤を3時間繰り返した結果、macOS Big Surからダウングレードする最も単純な手段は「Windows PCや他のMac、あるいはiPhoneやiPadでもいいのでicloud.comにアクセスしてダウングレードしたいMacを遠隔消去してしまう」というものだった。

参考 Macの「探す」でデバイスを消去するApple

せっかく用意したUSB起動ディスクは結局使わなかったのだが、最終的にこの方法が一番シンプルであり、一発で成功した。

参考 icloud.comApple

1. icloud.comでダウングレードしたいMacを消去

この手順はmacOS Big Surが起動中であり正常に稼働している状態で、なおかつネットに繋がっていることが条件のため、トラブルが起きている場合はまずmacOS Big Surを再インストールしよう。

また、Macを消去する前にミュージックの認証解除、Apple IDからのサインアウトを忘れないようにしよう。

なお、遠隔消去ではアクティベーションロックはオンのままになる

icloud.comにアクセスしてサインインしたら「iPhone」を探すをクリック。

「すべてのデバイス」からダウングレードしたいMacを選択し「Macを消去」をクリックする。

すると消去した瞬間にそのMacがネットに繋がっているのであれば作業や処理中であっても有無を言わさずシャットダウンし、地球アイコンが表示されMacintosh HD及びMacintosh HD Dataのボリュームが削除される。

2. 消去後にアクティベーションロックの画面が出たらロックを解除

前述の通り遠隔消去ではアクティベーションロックがかかったままになるため、消去後は上記画像のようにアクティベーションロックの解除が必要になる。

上記画面が出たらApple IDとパスワードを入力してロックを解除しリカバリーモードにログイン。

3. リカバリーモードに入るが何もせずに再起動し、再度リカバリーモードに入る

アクティベーションロックを解除してリカバリーモードに入ったら何もせずにMacをシャットダウンするか再起動し、Command+Rキーを押しっぱなしにしたところMac mini 2018購入当初にインストールされていたmacOS Mojaveの復旧画面が現れた。

上記画面が出たら「ディスクユーティリティ」をクリック。

4. ディスクユーティリティでAPPLE SSDをMacintosh HDという名前で消去

ディスクユーティリティを開くとMacintosh HDもMacintosh HD Dataボリュームも削除され「APPLE SSD〜」というディスクだけが存在するはずなのでこのディスクを「名前:Macintosh HD」、「フォーマット:APFS(macOS Sierra以前の場合は「Mac OS拡張ジャーナリング」)」、「方式:GUIDパーティションマップ」で消去し、ディスクユーティリティを終了させる。

ちなみに僕個人の推測としてインターネットリカバリーモードで購入当初のmacOSのインストールをトリガーさせるにはディスクが「APPLE SSD〜」のように素の状態にあることが条件なのではないかと思った(少なくとも今回の場合は)。

5. MojaveまたはCatalinaをインストールして完了

復旧画面から「macOSを再インストール」をクリックし、あとは上記画像のように先ほどフォーマットしたMacintosh HDを選択してインストールすれば何事もなくmacOS Mojaveにダウングレードできた。

あとはMojaveに留まるか、あるいはCatalinaにアップグレードしよう。

トラブルシューティング

ここでは今回のダウングレード作業中に起きたトラブルから得た経験を基に各種TIPSやエラーについてまとめてみたいと思う。

macOS CatalinaやMojaveのUSB起動ディスク(インストーラー)を作るには?

macOS CatalinaやMojaveのUSB起動ディスクは当ブログの下記記事で簡単に作成可能なのでご参照頂きたい。

macOS High SierraからBig Surまでのインストーラーを生成する方法

アクティベーションロックの有効・無効を確認するには?

アクティベーションロックは通常、システム環境設定の「Apple ID」の項目で「Macを探す」をオフにすれば無効になるが、現在そのMacのアクティベーションロックが有効か無効かを調べるには「このMacについて」から「システムレポート」を開けば「ハードウェア」の項目から確認出来る。

起動セキュリティユーティリティとは?

起動セキュリティユーティリティはT2チップ搭載Macに存在するプロテクト。

USBメモリのインストーラーからブートするにはあらかじめリカバリーモードの起動セキュリティユーティリティで管理者パスワードを入力し「外部メディアまたはリムーバブルメディアからの起動を許可」をチェックしておかないと外部メディアでのブートができない。

ただ、僕の場合は外部メディアからの起動を許可したとしても、結局macOS MojaveやCatalinaへのダウングレードにはMacintosh HDDの消去が必要なため、外部メディアの許可情報そのものが吹っ飛び、まともに機能しなかった。

参考にした海外サイトではMacintosh HDDを消去しても外部メディアからの起動を許可したのであればUSB起動ディスクなどからブートできるようなのだが、macOS Big Surの不具合なのか「外部メディアからの起動を許可した」という情報がファームウェアに書き込まれず「外部メディアからの起動許可情報」が吹っ飛ぶことになってしまったのかもしれない。

起動セキュリティユーティリティを開く際に「管理者が見つかりませんでした」と表示された場合

起動セキュリティユーティリティを開く際に上記画像のように「管理者が見つかりませんでした」とエラーが出ることがあるが、この場合はMacintosh HDあるいはMacintosh HD Dataのどちらか、または両方のボリュームを消去してしまったことが原因(実験してみた限りDataボリュームのみの消去であっても管理者情報は消滅する)。

このエラーが出た場合は再インストール以外に復旧させる方法はないので(管理者情報が保存されたボリュームがないため)、改めてリカバリーモードのメイン画面に戻りmacOS Big Surを再インストールする必要がある。

-1008Fエラーが表示された場合(アクティベーションロックエラー)

OptionキーでのブートピッカーでのUSB起動ディスク選択時やインターネットリカバリーモードを行った際に「-1008F」というエラーが表示されることがある。

このエラーは冒頭のタイムラインでも書いた通り「Macを探す」をオフにするのを忘れた場合などにアクティベーションロックがかかり、正常にMacを認証できないために起きる。

アクティベーションロックはmacOS Big Surで初めて導入された仕組みであるがDeveloper Betaリリース時にこのエラーが海外コミュニティでちょっとした騒動となったためか、その後Appleはサポートサイトでこのエラーについて専用のページを用意した。

Appleによればこのエラーが出ても別のMacやPCなどでicloud.comにアクセスし、そのMacをアカウントから削除(消去ではない)すればエラーが解消されると書いているが、そもそも僕は今回アクティベーションロックがかかっていないのにも関わらずこのエラーが出続けてしまった。

アクティベーションロックがかかっていないにも関わらずこのエラーが出た場合はOption+Command+Rキーでリカバリーモードに入りmacOS Big Surを再インストールし一からやり直すしかない。

僕の場合は「-1008F」エラーが出た場合はShift+Option+Command+Rキーの押下、Optionキーのみの押下、Command+Rキーの押下、いずれの場合でもエラーが出続け、唯一Option+Command+Rキーのみがリカバリーモードに入る手段だった。

「-1008F」エラーは海外ではAppleストアに持ち込んでロジックボードを交換してようやく正常に起動できたという報告もあるくらいなので、もし下記のキーの組み合わせのいずれにおいてもエラーが出て起動せず、リカバリーモードに入れない場合は別のMacを接続してApple Configurator 2でT2チップのファームウェアをリセットする。

  • Optionキー(ブートピッカー)
  • Command+R(リカバリーモード)
  • Option+Command+R(インターネットリカバリー)
  • Shift+Option+Command+R(インターネットリカバリーでMac購入当初のmacOSを復元)

Apple Configurator 2でT2チップのファームウェアをリセットするにはまずApple Configurator 2をダウンロードし、別のMacと問題が起きているMacをUSB-C>USB-CまたはUSB-A>USB-Cケーブルで接続し下記Appleサポートページ(英語)の手順でリセットする。

参考 Revive or restore an Intel-based Mac with Apple Configurator 2Apple

?マークエラー

フォルダに「?」マークが付いたアイコンが点滅してMacを起動できない場合があるが、これは単純に「Macの起動に必要な起動ディスクがない」、「起動ディスクのデータが破損」といった場合に起きる割とあり触れたエラー。

icloud.comでMacを遠隔消去し通常起動しようとした際やMacintosh HDの消去でも当然発生する。

このエラーだけであればインターネットリカバリーやUSB起動ディスクからブート可能な場合もあるので個人的にあまり焦る必要はないかと思う。

USB起動ディスクは使用直前まで挿さない

今回のダウングレード作業においてUSB起動ディスクを挿している場合と挿していない場合でインターネットリカバリーやキーボードのOptionキー、Command+Rなどのキーコンビネーションの挙動が違う(USB起動ディスクを挿すとリカバリモードが起動しないが抜くと起動するなど)現象が発生したので、もし問題が発生している時にUSBメモリを挿しているのならば一度USBメモリを抜いて再度作業に当たってみてほしい。

また、上記の理由からUSB起動ディスクは使用直前までは挿さないこともお勧めする。

macOS Catalinaへダウングレード後、二度と悲劇を繰り返さないようにBig Surブロッカーを導入

macOS CatalinaやMojaveにダウングレード後はBig Surが誤ってインストールされることのないようにBig Surブロッカーを導入しよう。

下記記事ではBig Surブロッカーやシステム環境設定アイコンの通知バッジを消す方法も案内しているのでよければ参考にして頂きたい。

macOS Big Surの通知バッジを消し、アップデートをブロックする方法

まとめ

紆余曲折あったもののmacOS Catalinaに無事ダウングレードが完了し、macOS Big Surで経験した様々なトラブルもなくなり、デザインも僕はBig SurよりはCatalinaの方がしっくりくるため結果的にはダウングレードしてよかった思う。

El Capitanから今までmacOSを使ってきてダウングレードを行ったのはこれが初めてなのだが、正直安定性やデザインという面でBig Surはもうあまり利用したくない。

もちろんApple Silicon Macを購入した際は使わざるを得ないのだが、それまではメインのMac mini 2018はCatalina、Big SurはサブのMBP 13 Mid 2019で実験用として使おうかと考えている。

個人的に毎年メジャーアップデートをリリースするmacOSのサイクルは好きではなく、あと5ヶ月もすればWWDC 2021で次のmacOSがアナウンスされ、また不具合などでMacコミュニティが混乱するのかと思うと、正直Appleにはメジャーアップデートは一度だけでもいいので1年ほどスキップし、セキュリティアップデートやバグフィックス、安定性のみにフォーカスする期間を設けて欲しいと思う。