何故macOS Big Surから電卓ウィジェットは消えたのか

macOS Big Surでは通知センター及びウィジェットがiOS・iPadOSライクになり、電卓ウィジェットが消滅したがそもそも何故電卓ウィジェットは消えてしまったのか、主にApple Developerサイトにて公開されているドキュメントを元に考えてみる。

なお、僕はApple Developer Programに参加してはいるが、あくまで自作スクリプトへの署名やDeveloper Betaなどの利用をメインとして参加しているだけでプログラミングやソフトウェア開発に関しては素人のため的外れなことを言っていたら申し訳ない。

ユーザーインタラクトのデザインガイドラインがない

Apple DeveloperのWidgetKitフレームワークを筆頭としたウィジェット関連のドキュメントを読むと、macOS Big SurやiOS 14のウィジェットはユーザー向けにパーソナライズされた情報を表示したり、必要な時に必要な情報を得ることが出来ると説明されている。

画像出典 Apple

しかし、様々なドキュメントを見ても「ユーザーがウィジェットにインタラクトする」といった記述やガイドラインはなく、ユーザーがウィジェットに対して行えるインタラクトは精々「ウィジェットの編集」や「ウィジェットをクリックした際に当該アプリを起動する」といったものだけだった。

参考 WidgetKitApple Developer
macOS Big Surのカレンダーウィジェットも特定の日付をクリックするといったことはできず、クリックしてもカレンダーが起動するだけ

従来(macOS Catalinaまで)のウィジェットはカレンダーで特定の日付をクリックして予定を確認したり、電卓で計算するといった細かなインタラクトが可能だったがmacOS Big SurのウィジェットはiOSのウィジェットがそうであるように、ユーザーのインタラクトの実装が不可能になっているようだ。

Appleの立場「ウィジェットはミニアプリではない」

また、WWDC 2020のMeet WidgetKitのセッションでは「ウィジェットはミニアプリ(Mini App)ではない」と定義している。

画像出典 WWDC 2020 Meet WidgetKit
画像出典 WWDC 2020 Meet WidgetKit

ウィジェット(少なくともiOS 14やmacOS Big Surのウィジェット)はミニアプリではなく「より突出したコンテンツ」とのことだ。

裏を返せばmacOS Catalinaまでの電卓ウィジェットなどはミニアプリと言える。

AppleとしてはiOSやmacOS Big Surではウィジェットはユーザーがインタラクトするミニアプリではなく、情報を提供するためのものと位置付けているようであり、macOS Big SurではiOS・iPadOSとの統一性を図るために「ユーザーがインタラクトする」といった要素は廃したいようだ。

RedditのMacOS Subredditのスレッドにおいても下記のような書き込みがある。

Apple’s new design guidelines discourage using widgets as “mini apps,” so it might not be possible to have a calculator widget if Apple’s development kit (or whatever it’s called) no longer supports implementing that stuff.

You may have to find some sort of alternative, unless a developer finds a way around this.

Appleの新しいデザインガイドラインではウィジェットをミニアプリとして利用することは推奨しておらず、デベロップメントキットが電卓のようなウィジェットの実装をサポートしないのであれば、デベロッパーが何らかの手段を見つけない限り電卓ウィジェットの代替アプリ(Alternative)を利用する必要がある

Anyone find a way to add a calculator widget to the side bar in OS11? - Reddit

Appleが方針を転換しない限り電卓ウィジェットは復活しない

現状では前述のRedditユーザーの書き込みで言及されているように電卓ウィジェットに代わる代替アプリを見つけるしかない。

もちろん、macOS Big Surで電卓ウィジェットが廃止されたことは様々なフォーラムやApple Forumsですら問題になっているため、今後Appleが方針を転換しデベロッパーに対してウィジェットへユーザーがインタラクトする方法が提供されれば電卓ウィジェットの復活もあり得るかもしれないが、現時点では代替アプリを利用するしかない。

代替アプリのお勧めはCalculator Pro Toolbar App

現時点で僕が使用している電卓ウィジェットの代替アプリは「Calculator Pro Toolbar App」だ。

このアプリはメニューバーに常駐してワンクリックで電卓を表示できるツールバーアプリであり、最低限の電卓機能を備えている上に無料(App内課金)だ。

他にも高度な計算機能を備える有料アプリPCalc(1,220円)やQuick Calc: Menubar Calculator(120円)が存在するが、大抵の場合はCalculator Pro Toolbar Appで事足りるだろう。

macOS Big SurのウィジェットはiOS・iPadOSに合わせるためのダウングレード

乱暴な言い方をすればAppleはmacOS Big Surを可能な限りiOS・iPadOSライクにするためにウィジェットをダウングレードしたと言える。

iOS・iPadOSとのデザインの統一性を図るのは僕も理に適っているとは思うのだが、iPhoneやiPadOSがスマホ・タブレットであるのに対してMacはコンピュータなのだから統一性を図るためにウィジェットの利便性まで犠牲にしなくてもよかったのではないかと思う。

既に僕は電卓ウィジェットの復活要望やウィジェット全般の利便性の向上についてフィードバックアプリでAppleにフィードバックしているが、将来のmacOSのアップデートでウィジェットの柔軟性が復活することを望みたい。