
僕は20年以上Windowsを使用してきて、Windows 98〜Windows 10までのほぼ全てのWindows(MEや2000、Vistaを含む)の使用経験があり、その間に10年ほど自作PCもやっていた。
現在ではメインの環境は全てMacとなり、Macを2016年の3月から4年ほど使用しているが、ここではそんな元Windowsオンリーユーザー&元ジサカーが、Macの良い点と悪い点、そしてこれからWindowsからMacへ乗り換える人への注意点・覚悟するべきことをまとめたい。
INDEX
Macの良い点
macOSが安定している

Windowsを長年に渡り使用したあと、Macに乗り換えてまず感じたのはmacOSは非常に安定している、ということ。
WindowsはオープンなOSのため、様々なPCに搭載されており、自分でパーツを選択して組み立てた自作PCでも動くが汎用性がある分、個々のPCやパーツによっては不安定になることもある。
対してmacOSは極めて”閉じたOS”であるために最初からMacのハードウェアと密接に連携しているため、安定性が高い。
Windowsだと個人的な印象として重い作業やゲームなどを長時間処理させると、段々と不安定になって定期的な再起動が必要になるのだが、Mac(macOS)の場合、そういった重い処理を長時間させてもそれほど不安定にはならない。
もちろんバグはあるし、接続する周辺機器によっては不安定になることはあるものの、基本的にはWindowsより安定して動作するOSと言える。
フォントが綺麗

これは僕がWindowsを使用していた頃からMacの画面を見るたびに思っていたことだが、フォントが非常に綺麗で目への負担が少ない。
Windowsだと小さい文字などは、特にひらがな・カタカナ・漢字が入り混じる日本語環境だと潰れて見えてしまっていたが、Macのフォントはかなり小さい文字であっても綺麗に表示される。
僕の場合はこのフォントの綺麗さだけでも、Macに乗り換えた価値があると思っている。
付属ソフトウェアが豊富&高品質

macOSにはデフォルトで様々なソフトウェアがプリインストールされており、そのどれもが実用に耐えるほど有用だ。
メモアプリは様々なアイデアを簡単に書きとめられて、おまけにパスワードでロックすることも出来るし、メールも少なくとも僕にとってはサードパーティーのメーラーが必要にないほど十分な機能があり、写真アプリは簡単に写真を整理できるばかりか、初歩的な編集機能も備わっている。
iTunes・ミュージック・TVアプリなどのメディア再生ソフトも基本的な音楽・映像再生においては申し分ない。
しかもMacユーザーなら誰もが”Xcode”というプログラミングソフトウェア環境を無料で使用することが出来るので、デベロッパーにも嬉しい。
Windowsにも付属ソフトウェアは豊富にあるのだが、僕が使ってみた限りどれも実用に耐えず、結果的に全ての機能をフリーソフトなどで代替していたのとは対照的だ。
iOSデバイスとの連携機能が素晴らしい

Mac、iPhone、iPadなどのApple製品では同じApple IDでログインしていればiCloudというAppleのクラウド環境を通して緊密な連携が出来る。
Macでメモアプリに入力した項目は瞬時にiPhoneやiPadにも反映され、Apple Musicに入ればiTunesのプレイリストなどの全てのライブラリが全てのデバイスで共有される。
その他にも写真アプリの写真や画像、Safariの履歴やお気に入り、リマインダーの内容、カレンダーの予定、Safariに入力したサイトのIDやパスワードなど、全ての情報は全てのiOS・macOSデバイスで自動で共有されるため、極めてユーザービリティが高い。
更にはiPhoneで受信したSMSをMacから返信する、iPhoneにかかってきた電話をMacを通してiPhoneに指一本触れないでそのまま通話するといったことも出来る。
こういったクラウドを通した強力エコシステムはWindowsやAndroidにはないApple独自の強みと言える。
頻繁なアップデートがない

macOSは1年に1回のメジャーアップデート(OSの機能が大幅に追加・変更される)があり、その他にはセキュリティアップデートなどが年に数回あるだけだ。
Windowsのように毎月第2水曜日にセキュリティアップデートがかかったりすることはない。
もちろん、macOSに深刻な脆弱性や不具合が発見された場合は緊急アップデートがあるが、基本的にはmacOSのアップデートの回数はWindowsと比べると極めて少ないので、アップデートにいちいち悩ませられることがないのはありがたい。
現に最新のmacOSであるmacOS Mojaveにおいては、昨年9月25日のリリース以降大きなアップデートは6回程度しかない。
Appleサポートの質が非常に高い

Appleのサポートの質は非常に高く、人によって印象は違ってくるかもしれないが、僕は今までに何度もAppleサポートを利用し、その手厚い対応に驚いた。
Appleのオペレーターは親身に話を聞いてくれるし、疑問に思った点は質問すれば可能な限りの返答をもらえる。
オペレーターの知識の範囲外の問題や質問については、わざわざオペレーターがその場でエンジニアリング部門に連絡を取って確認してくれるという手厚さだ。
また、以前iMac 5Kの調子がおかしくなった時、「念のためにApple修理センターで点検する」という提案を受け、Apple修理センターで点検が行われたのだが、異常が再現されなかったにも関わらず念のためにとiMac 5K内部の電源ユニットとディスプレイをを無償で交換してくれたのだ。
AppleCareに入っていたとは言え「異常がなくても部品を交換する」という対応には驚きだった。
しかも、iMac 5Kを発送してから2日後には手元に戻ってきたのだ。
PS4が不調でSONYに送ったら異常が再現されないと送り返され、モニターが不調でASUSに送ったら修理に2ヶ月かかったこともあるので、Appleのサポートと修理センターの仕事の早さにはとても驚いた。
なお、そのiMac 5Kはその後はトラブルも起きず、不調は完全に解消した。
プライバシーの保護に力を入れている

Appleはスティーブ・ジョブズの死後、ティム・クックがCEOに就任してから”プライバシーの保護”に力を入れている。
昨今ではFacebookのプライバシー問題がスキャンダルになったし、スマートスピーカーなどの普及も相まってユーザーは自身のプライバシーに対して敏感になっている。
Appleは(少なくとも表向きでは)ユーザーのプライバシーを重視しており、macOSにはプライバシーに関する細かな設定項目が存在するし、最近のMacにおいてはT2 Security Chipと呼ばれるApple製のチップが搭載されており、ユーザーのプライバシーが予期せず流出することを防いでいる。
たとえそれが表向きではあっても、Appleのこうしたプライバシー保護の理念は、プライバシー問題に敏感なユーザーにとって安心できるポイントだと思う。
Macの悪い点
Macはまず本体が高い

言わずもがな、Macの全ての欠点はこの一点に集約されると言ってもいいほど、Macは価格が高い。
現在一番安いMacは89,800円のMac mini 2018であるが、スペックはCore i3クアッドコア、メモリ8GB、SSD 128GB、GPUはCPU内蔵グラフィックのUHD 630であり、お世辞にも高スペックとは言えない。
89,800円あれば、自作PCやBTO(パーツを自らカスタマイズして購入できるPC)では、CPUはCore i5、SSDは256GB、GPUはGTX 1650など、それなりのスペックのマシンが選べる。
Macは保証(修理費)も高い

Macには購入時にAppleCareと呼ばれる有料の保証サービスを付けることが出来るのだが、この保証サービスも一般的なPC有料保証サービスと比べると割高だ。
Mac miniの場合はAppleCare価格は10,800円であるが、MacBook Pro 15インチになると35,800円に跳ね上がる。
AppleCareをつければMacの保証期間が3年に延長され、過失による損傷(落とした、水をこぼしたなど)も最大2回まで保証されるが、過失による損傷の保証はあくまで”減額”であり、画面・筐体の損傷は11,800円、その他の故障が33,800円に下がるだけに過ぎない。
ちなみにAppleCareを付けなかった場合、過失による損傷は10万近くになることが予想される。
ただ、Appleのサポートは前述の通り非常に質が高いため、AppleCareに入った状態でのAppleサポートの対応については満足している。
Macは周辺機器が高い

Macは本体だけではなく周辺機器(ケーブルなども含む)も高い。
iPhoneを使っている人なら、Apple純正のLightningケーブル(1m)が1,800円ほどするのはご存知だと思う。
Macの場合も同じで、周辺機器やケーブルなどはApple純正の物はかなり高く、例えばApple純正のマウス”Magic Mouse”は7,800円、トラックパッド”Magic Trackpad 2”は12,800円、キーボード”Magic Keyboard(テンキーなし)”が9,800円である。
更にSDカード端子がないMacでSDカードを使いたいと思ったらSDカードリーダーが4,500円、HDMIなどの映像出力端子を増やそうと思ったらDigital AV Multiportアダプタが6,800円というように、やたらとお金がかかる。
Macは本体だけを買えばMacの真価が発揮されるというわけではなく、快適に使用したい・Macの能力を余すところなく引き出したいと言った場合には、周辺機器に相応の投資が必要になる。
ユーザーによる内部コンポーネント(メモリなど)の増設はほぼ不可

Mac ProやiMac 27インチ版などを除き、Macは基本的にユーザー側でメモリやSSD、GPUなどを増設・交換することは出来ない。
仮に出来たとしても、それらの行為を行なった場合はほとんどのMacで”分解行為”に当たり、保証がなくなってしまう。
無論AppleCareを付けていた場合、それらの保証も失効する。
AppleはMac Proなどのプロ向けMacを除き、ユーザー側でMacのコンポーネントを増設・交換することは好まず、ほとんどのMac製品では内部のコンポーネントが半田付けされており、筐体も特殊なネジで封印されている。
自作PCをやっていた身としては、このような過剰とも言えるほどの内部コンポーネントへのアクセスのし辛さ・ほとんどのコンポーネントが半田付けされているというのは最初は驚いた。
Macのスペックをあとから底上げすることはほぼ不可能であると思っていい。
そのため、購入時にMacをカスタマイズして出来るだけ後悔のないスペックを選ぶ必要があるのだが、前述したようにMacの本体は割高のため、メモリやSSDを増やすだけでもかなりの価格になってしまう。
Mac独自のショートカットキーを覚える必要がある

MacはWindowsと比べてショートカットキーの組み合わせが非常に多く、いくつかのソフトウェアもショートカットキーを覚えないと効率的な作業が出来ないほどにショートカットキーに依存している。
Windowsであれば必要最低限のショートカットを覚えれば、大半の作業をマウスだけでも実行可能だが、Macの場合は覚えるべきショートカットキーがかなり多く、そのどれもがWindowsではほとんど馴染みのないものなので、最初は戸惑うことが多い。
Mac利用者は少ないため、問題が起きた時はAppleサポートか自己解決を迫られる

日本国内でのiPhoneのシェアの高さとは裏腹に、Mac(macOS)のシェアは世界的に見ても低く、2017年時点で世界でのmacOSのシェアは約6%である
そのため、Macの操作でわからない点があった時や問題が起きた時は周りの人に尋ねても、ほとんどの人がPCはWindowsのため満足な結果は得られないことが多い。
iPhoneについての操作方法や疑問点があった場合は、日本ではiPhone利用者が多いので周りの人に聞けば簡単に答えが返ってくるのとは対照的だ。
Macの操作方法やトラブルについては、自分で検索して自己解決する、あるいはAppleコミュニティで質問する、Appleサポートに問い合わせるといった自主的・能動的な対応を迫られる。
Mac対応のフリーソフトやゲームはWindowsほど多くない

Windowsには星の数ほどのフリーソフトがあり、中には「これ有料じゃないの?」と思うくらいに完成度が高いソフトもある。
しかしMac対応のフリーソフトやゲームはかなり限られており、優秀なフリーソフトもあるにはあるが、多目的に使用できるフリーソフトはWindowsと比べるとまだまだ少ない。
また、Macをゲーム目的に購入する人は少数だろうが、対応しているゲームも非常に限られる。
Windowsで様々なフリーソフトを使ってきた人は、いざMacに乗り換えるとフリーソフトの少なさに困惑するだろうと思う。
Macをおすすめ出来る人

上記でまとめたMacの「良い点と悪い点」を考慮して、Macをおすすめ出来る人をまとめてみる。
ただ、これらに当てはまるからと言って、必ずしもMacの恩恵を感じられるかはその人によるので、あくまで参考として受け取ってほしい。
Macはこんな人におすすめ
- iPhone、iPadなどを使っていて、コンピュータ環境もそれらのデバイスと連携させたい人
- 文章を読んだり書いたりすることが多く、フォントの綺麗さを重視する人
- 周辺機器などにお金を出すことを惜しまない人
- Xcodeを利用してiOSデバイスやMacのアプリを開発したい人
- Windowsの定期的なアップデートにうんざりしてる人
- OSの安定性を重視する人
- ゲームをプレイする予定がない人
- プライバシーに関して敏感な人
- 内部コンポーネントの増設や交換が出来なくても気にしない人
ぶっちゃけて言うとMacで出来てWindowsで出来ないことというのはほぼないため、上記のいずれにも当てはまらない場合は、再検討をしたほうがいいと感じる。
まとめ
以上、自作PC+Windowsという環境を長年使ってきた僕が、自宅のコンピュータ環境を全てMacに切り替えて思ったこと、気づいたこと、その中で感じたMacの良い点と悪い点をまとめてみた。
長々と書いたが、結局のところMacを選ぶ際に最も重視すべきなのは「Macで何をやりたいのか?どういった環境を望むのか?」ということであると思う。
PCで3Dゲームを楽しんでいる人はMacはほぼ無用の長物であるし、Macでやりたいことが決まっていない場合も、いざ高いお金を出してMacに乗り換えても「使いづらい」と感じて後悔することもありえるので、Macに乗り換えを検討しているなら「何がやりたいのか?Windows PC環境から移行する価値は本当にあるのか?」をお財布と相談しつつ熟考してほしいと思う。