Mac mini 2018 レビュー。ハイパフォーマンスなお手頃デスクトップMac

Mac mini 2018を3ヶ月使い倒したのでレビューしてみる。

Mac mini 2018の概要

Mac mini 2018は昨年10月のAppleイベントで発表された4年ぶりに大刷新されたデスクトップ型コンピュータだ。

これまでのMac miniがあくまで”Mac初心者のための廉価版Mac”といった立ち位置であったのに対して、Mac mini 2018はCPUが6コアi7に、ストレージはデフォルトでSSD(NVMe)、メモリは最大64GBに増設可能という、”プロ用途でも使える”スペックになっている。

Mac mini 2018と他のMacとの比較

Mac mini 2018はCPUに関して言えば、カスタマイズして6コアi7にすれば、iMac Pro、Mac Proに続くスコアを叩き出す。

しかもCPUはモバイル版ではなくデスクトップ版i7の8700Bというモデルを採用している。

通常のi7 8700とi7 8700Bとの違いはパッケージ(CPUのマザーボードへの実装方法)のみで、i7 8700はLGA、i7 8700BはBGAであり、性能そのものには両者に違いはない。

つい先日発表された新型iMac 5Kや新型MacBook Pro、新型Mac Proのデータが揃えばMac miniのCPU性能は順位を落とすだろうが、それでも”一体型ではないハイスペックMac”としてMac miniには魅力がある。

これはGeekbench公式サイトに掲載されているMac mini 2018のシングルコアのGeekbenchスコアであるが、Mac mini 2018のシングルコア性能は2017年のiMacに次ぐ2位であり、iMac ProやMacBook Pro 2018を抜いている(2018年までに販売された全Mac中)

マルチコア性能ではiMac Proには及ばないものの、Mac Proの8コア版を抜いて6位であり、いかにCPU性能が高いかがわかる。

その他、CPU以外に新たに刷新された主な面は以下の通り。

  • グラフィックはUHD 630(内蔵グラフィック)で4K対応(Apple公式では内蔵グラフィックは5Kもサポートしているような書き方をしているが、Intelのスペックシートを見る限り内蔵グラフィック単体では4Kまでしか対応していない)
  • Bluetooh 5.0を搭載
  • Thunderbolt 3ポートが4つ
  • USB3ポートが2つ
  • イーサネットポートが10Gbps対応(要CTO)
  • 外観はスペースグレイに変更

興味深いのはBluetoothが最新の5.0を搭載している点。

Mac mini 2018と同時に発表された新型MacBook AirはBluetoothが4.2であり、更に2019年3月に発売された最新iMacでさえBluetoothのバージョンは4.2なので、Mac mini 2018がBluetooth 5.0搭載というのは嬉しいポイント。

Mac mini 2018のここが素晴らしい

では使い心地はどうなのか。

CPUを6コアi7、SSD512GB、メモリ16GBにカスタマイズし、eGPUを接続した状態での使用感を書いておこう。

CPU性能の圧倒的な向上

まず当たり前ではあるがCPUがCoffee-Lakeの6コアi7になったことで、マルチスレッド性能は飛躍的に上がった。

Lightroomなどでも現像時間は今まで使用していたi5のiMac 5K 2015より圧倒的に速く、eGPUを導入すればParallels Desktopも快適に動作する他、ブラウザでのWebページ閲覧やmacOS全体のレスポンスなどが体感できるレベルで向上した。

これはCINEBENCH R20で計測したマルチコアスコアであるが、12コア24スレッドのXeon X5650を超えるスコアを叩きだし、一般的な4コア8スレッドのi7より500程度スコアが高い。

僕個人が計測したGeekbenchのスコアはシングルコアが5872、マルチコアが25638となり、前述のGeekbench公式サイトのスコア表より高い結果となった。

SSDのパフォーマンス向上

更にSSDがNVMeになったことで、OSの起動もログイン画面後はあっという間に起動する。

Blackmagic Disk Speed TestでSSDの書き込み・読み込み性能を計測してみたがReadは約2.8GB/secであり、圧倒的な速さだ。

複数のアプリケーションを開いて再起動した際のアプリケーションの起動も爆速とまで言えるほど速くなっている。

ポートが豊富

画像出典 BlogNT

Mac miniはThunderbolt 3ポート(USB-Cタイプ)を4つ搭載しており、そのいずれのポートでも40Gbpsの帯域をサポートするため、4Kモニタの接続はもちろん、eGPUにも対応しており、Mac mini 2018唯一の弱点である”内蔵グラフィックの性能の低さを補える”のも嬉しい。

ちなみに現在発売されている中で40GbpsをサポートするThunderbolt 3ポートを4つ搭載しているMacはこのMac mini 2018とiMac Pro、MacBook Pro 13インチTouch Barモデル、MacBook Pro 15インチモデルの四種類のみである。

また、最近のMacはUSBポートを廃してThunderbolt 3(USB-C)ポートのみを搭載するモデルも珍しくないが、Mac mini 2018はUSB-Aポート(USB3.0)も2つ搭載しているため、一般的なUSB機器を変換アダプタやドングルなしで使用できるのもメリットだ。

Bluetooth 5.0搭載で将来性がある

記事冒頭で書いた通り、Mac mini 2018は同日発表された新型MacBook Airや2019年3月に発売されたiMacなどと違い、Bluetoothは最新のBluetooth 5.0を搭載しているので、これから増えるであろうBluetooth 5.0対応機器の使用に際して将来性がある。

保証はなくなるがメモリ増設がユーザーで出来る

最近のMacはメモリをハンダ付けにして、ユーザー側でメモリのアップグレードが不可能なものが多いが、Mac mini 2018は保証を気にしなければ、ユーザー側でメモリを増設することが可能だ

更にApple正規サービスプロバイダへの持ち込みでメモリ増設を依頼することも可能であり、この場合は保証も維持される。

Appleサポートに電話で問い合わせて聞いた限りでは、日本国内ではApple正規サービスプロバイダのみが保証を維持したままメモリ増設が出来る唯一の選択肢とのことだった。

ちなみに管理人が保証無効覚悟でメモリ増設(交換)を試してみた記事はこちら。

Mac miniのメモリ交換を自分でするのは出来ればやめたほうがいい

Apple T2セキュリティチップ搭載

画像出典 KnowTechie

Mac mini 2018にはiMac Proや新型MacBook Air、MacBook Pro 2018と同じく”Apple T2セキュリティチップ”というApple製の独自SoCが搭載されている。

興味深いのはMac mini 2018のあとである2019年3月に発表されたiMacがT2セキュリチップを搭載していない点だ。

Bluetooth 5.0といい、Mac mini 2018はT2セキュリティチップ、そして前述のThunderbolt 3ポートを4つ搭載することで他のMacとの差別化を図っているのかもしれない。

さて、T2セキュリティチップはTouch IDなどの情報を暗号化した上で端末上に保存する役割が有名であるが、それだけがこのチップの特徴ではなく、Touch ID非搭載のMac mini 2018においてもメリットがある。

まずオンザフライの暗号化をサポートしており、FireVault有効時はパフォーマンスを犠牲にすることなく、リアルタイムの暗号化が可能な他、HEVC(H265)のハードウェアエンコーダを搭載しているため、動画編集をする人はその恩恵も享受することが出来る。

他にもSSDコントローラやオーディオコントローラなどが内蔵されているので、T2セキュリティチップ搭載というのは想像以上にメリットが大きいのだ。

Mac mini 2018の残念な点

色々とMac mini 2018の良いところを挙げたが、もちろん残念な部分もある。

内蔵グラフィック性能が低い

Mac mini 2018はディスクリートGPUを搭載しておらず、あくまでCPUの内蔵グラフィックに描画を頼っている。

Mac mini 2018の内蔵グラフィックはUHD 630であるが、参考までにUHD 630と他のGPUとの比較画像を見てみよう。

上記はUL Benchmarksのチャートであるが、UHD 630はRadeonの一昔前のGPUであるRX 570と比べても異常なほど性能が低いことがわかると思う。

旧世代のGPUと比べても全く勝負にならないと言っていい。

そのため、4Kモニターでの使用は、出力はできるものの擬似解像度などを利用すると顕著にパフォーマンスが落ち、Photoshopなどのグラフィック負荷が高いアプリではかなりもっさりとした動きになる。

一般的なタスクにおいても擬似解像度を使用した際はLaunchpadの表示やFinderのスクロールなどでもカクツキが見られる。

もちろんeGPUを導入すれば内蔵グラフィックの性能の低さを補えるが、余計な出費が必要なのは痛いところ。

そのままでは5K以上の解像度は表示できない

Mac mini 2018のThunderbolt 3ポートはコントローラのバージョンがTitan Ridgeと呼ばれるものであるため、DisplayPort 1.4に対応している。

ただ、前述のようにMac mini 2018はCPU内蔵グラフィックしか搭載しておらず、CPU内蔵グラフィックの最大解像度は4K、DisplayPortも1.2止まりであるためMac mini 2018単体では5Kや6Kといった解像度は表示できない。

Mac mini 2018で5Kディスプレイなどを利用するにはAppleストアで販売されているLG UltraFine 5Kディスプレイを利用するか、eGPUを導入するしかない。

LG UltraFine 5Kディスプレイは接続がThunderbolt 3 Altモードという特殊な仕様のためかCPU内蔵グラフィックの制約を受けず5K@60hz出力が可能であるようだ。

CPU温度が高い

この小さな筐体に6コアi7を搭載するのは無理があるのか、6コアi7で12スレッド全てに負荷をかけるような処理を実行させた場合はCPU温度がたちまち上昇し、100度近くになることも珍しくない。

筐体自体もかなりの熱を持つので、夏場の使用が心配になるほど。

また、それに伴ってファンも高速回転するため、音に敏感な人はMac mini 2018のファンノイズはかなり気になるだろう。

ただしアイドル時のファンノイズはほぼ聞こえないレベルで静かで、CPU温度もアイドル時は45度程度であり、負荷をかけて温度が上昇しても、処理が終わればあっという間に冷えるため、放熱はちゃんと出来ているようだ。

ちなみに管理人がMac mini 2018の温度を下げる様々な方法を試した記事はこちら。

爆熱Mac mini 2018の温度を下げる

なお、CPU温度の上昇に伴い、CPUの保護機能が働き高負荷時には発熱を抑えるためにCPUクロックがダウンする現象を管理人は確認している。

詳細は以下の記事から。

Mac mini 2018のCPU温度によるクロック変化

メモリ増設をユーザー側で行なった場合は保証・AppleCare対象外になる

これは先ほども書いたが、ユーザー側でメモリのアップグレードが出来るとは言え、それを行なった場合は保証・AppleCareの対象外となる。

保証やAppleCareを気にするなら、Apple正規サービスプロバイダに持ち込むか、カスタマイズをする際にあらかじめ大容量のメモリを選択した方がいい。

Wi-FiやBluetoothの感度があまりよくない

これは僕の環境だけかもしれないが、Wi-FiやBluetoothを使用した際に通信が不安定になることがあり、特にWi-Fiはオンにするとネットへの接続やBluetooth機器の接続が切れたりするので、ネットはイーサネットを使用している。

マウスやキーボードといったBluetooth機器も背面のUSB3ポートと干渉するのか、マウスポインタがもたついたり、キーボード入力がおかしくなるので、背面のUSB3ポートに接続している機器は極力Bluetooth機器から離して置いている。

Mac mini 2018のWi-Fi・Bluetoothアンテナは筐体底面にあり、底面と上部中央のアップルマークの部分から電波が出ているようだが、設計上の問題があるのかもしれない。

Mac mini 2018のWi-Fi/Bluetooth感度改善法を試した記事はこちら。

Mac miniのWi-Fi/Bluetoothが不安定な時にすること

Mac miniのおすすめカスタマイズ

画像出典 iDB

最後にMac miniをCTO(カスタマイズ)する際はどこにこだわるべきか、検証してみる。

CPU

CPUは金銭的に余裕があるのならば断然最上位の6コアi7にすることをお勧めする。

6コア12スレッドであれば、性能面で困ることはまずないし、この先のMac miniのアップデートは恐らくまた4年後くらいになりそうなので、最上位のCPUを選んでおくと将来性があると思う。

CPUというのは大は小を兼ねると思っているので、例え宝の持ち腐れになったとしても後から「i7にしておけばよかった」と後悔するくらいなら、最上位の方がいい。

メモリ

メモリはユーザー側で増設が出来るとは言え、保証やAppleCareがなくなってしまうし、正規サービスプロバイダへの持ち込み増設も手間なので、最初からメモリは潤沢にしておいた方が良いと思う。

それでもメモリ増設を自分自身で行う予定の場合は、最初からAppleCareは付けない方が安上がりだろう。

なお、カスタマイズ・自分で増設のいずれの場合もメモリは32GBをおすすめする。

僕は16GBを選んだのだが、PhotoshopやLightroomのメモリ消費は激しく、macOS自体もかなりメモリを消費するので、本格的なアプリケーションを使用する人は16GBではまず足りない。

SSD

SSDの容量に関しては、外付けHDDやSSDで代替できるので好みで決めてしまってもいい。

512GBくらいあると安心だが、いずれにしろいくらでも外付けで増やすことが出来るので、多少妥協してもいいと思う。

ただ、2019年7月10日にMacコンピュータ全般のストレージ容量が値下げされたため、多少カスタマイズして多めにSSDを搭載するのもありだろう。

以前なら1TB SSDが88,000円だったものが66,000円に、2TB SSDが154,000円から108,000円に改定されたため、大きめのストレージを検討してもいい。

なおベースとなる128GBのストレージは値下げされておらず、256GBと512GBは2,000円安くなっただけなので、今回の値下げの恩恵を受けるには1TBか2TBを選ぶのが望ましいと思う。

イーサネットポート

Mac mini 2018ではイーサネットポートを1000BASE-Tまたは10Gbから選べるが、サーバー用途に使用する予定でもない限り1000BASE-Tで問題ないだろう。

AppleCare+

AppleCare+はメモリを自分で増設するかどうかで変わってくる。

Mac mini 2018のAppleCareは税抜き10,800円であり、これは最新のiPhoneのAppleCare+より安い。

メモリ増設を自分でするのなら必要ないかもしれないが、”メモリ増設をするかどうかは使用してから考える”という場合に、とりあえずAppleCare+を付けておくのもいいかもしれない。

まとめ

Mac mini 2018は久々にデスクトップユーザーが満足できるモデルだろう。

CPU温度が高かったり、内蔵グラフィックの性能が低いなど、不満点もあるが致命的な欠点ではないし、スペックはMac mini Proと名付けてもいいほど格段に上がっており、それでいて最上位の6コアi7を選んで他は全てデフォルトの状態だと税抜き12万2800円という破格の安さである。

MacBook Pro 15インチモデルの6コアi7版が一番安いオプションで30万近くなのを考えると、Mac mini 2018はかなりお買い得感がある。

しかもMacBook Proでは不可能なメモリ増設が自分で出来るのだ。

ノート型であることに拘らないのであればMac mini 2018は現時点でリーズナブルに購入できる最高のデスクトップ型Macではないだろうか。

2019年発表の新型iMac 5KはMac mini 2018より高性能ではあるが、iMacなどの一体型は好きではないし、かといってMac Proを購入出来るほどの余裕がない僕のようなユーザーにはMac mini 2018はとても魅力的なデスクトップ型Macであると思う。

2019年6月3日に発表された新型Mac Proは8コア、メモリ32GB、Radeon Pro 580X、SSD 256GBの最安モデルで$5,999(日本円で65万円弱)であり、僕のような人間にはとても手が出せる代物ではないし、最安の新型Mac ProとそこそこにカスタマイズしたMac mini+eGPUを比べると、両者の性能面の違いはあまりなくなる。

Mac mini 2018は外観がスペースグレイに変更されたり、iMac Proと同じく10Gbイーサネットを搭載可能な点、同日発表のMacBook Airや、2019年iMacを差し置いてBluetooth 5.0やT2セキュリティチップを標準で搭載していることを考えると、”リーズナブルながらプロユースとしても使える”という立ち位置をAppleは明確にしたいのではないだろうか。

プロユースでも使える性能のデスクトップ型Macを、Mac Proよりリーズナブルな価格で手に入れたい人にとってはMac mini 2018が理想だと感じる。

※2019年6月28日追記:Mac mini 2018を使用して半年が過ぎたので、Mac mini 2018を使用して不便・不満に感じたことをまとめました。

Mac mini 2018をメインマシンにして不便に感じたこと