Macがゲームに向いていない理由。元Windowsユーザーとしての見解

僕は2015年頃まで自作PCでWindowsを利用し、PCゲーム(FPSなどのアクションゲーム)も数え切れないほどプレイしたが、Macに移行してMacでPCゲームをプレイする上での様々な問題点が見えてきたため、今更かもしれないが本記事ではMacがいかにしてゲームに向いていないのか、個人的な見解を述べてみたいと思う。

なお、本記事はMacでゲームを楽しんでプレイしている人を馬鹿にする意図は全くない。

Macがゲームに向いていない理由

対応ゲームが少ない

Macでゲームをプレイする上でよく問題点として挙がるのが「対応ゲームの少なさ」だろう。

OpenGLに代わるグラフィックスAPI「Metal」の登場によってmacOSでのゲームの敷居は若干下がったとは言え、まだまだ対応ゲームは少なく大手ゲームメーカーでコンスタントにMac対応のゲームをリリースしているのはValveやActivision Blizzardなどの一部に留まる。

PCゲーム市場で最大のプラットフォームである「Steam」のハードウェア調査のデータを見てみるとSteamにおけるmacOSのシェアはわずか3%であり、ゲームメーカー側にとってもわざわざ開発リソースを割いてmacOS向けのゲームを作る旨味もない。

ユーザーが少ないためゲームメーカーはmacOS向けのゲームを作らず、macOS向けのゲームが少ないためにゲームをプレイするユーザーも増えないという悪循環に陥ってしまっている。

Apple Silicon(ARM)への移行で遊べるゲームは限られる可能性がある

Appleは2020年6月23日にオンラインで開催したWWDC(世界開発者会議) 2020においてMacのプロセッサをIntelからApple Silicon(ARM)へと今後2年かけて移行することを発表し、11月には最初のApple Silicon Mac(M1 Mac)が登場した。

Appleの計画通りに事が進むならば2年後には全てのMacがApple Silicon搭載Macとなり、ゲームデベロッパーはMac用のゲームを開発する際、新たにApple Siliconへと対応させる必要が出てくる。

ただでさえ対応ゲームが少ないMacにおいて、更に遊べるゲームが少なくなることもありえる。

加えてApple Silicon搭載Macは現時点においてはGPUはIntel Macの上位モデルと比べて性能が低く、iPhoneやiPadのゲームは遊びやすくなるかもしれないが、Windowsやゲーム機で発売されているゲームをApple Silicon Macでプレイするのは設定や解像度を落とさない限り難しい。

コストパフォーマンスが極めて悪い

他にMacでゲームをプレイする際に槍玉に挙がるのが「コスパの悪さ」だ。

Windowsであれば7〜8万出せばBTOなどでそれなりのPCを購入可能だし、あとから自分でパーツを増設することもできる上、余裕があるのなら自作PCで4K解像度・最高設定でゲームをプレイできる最強のゲーミング環境が構築可能だ。

しかしMacは最も安価なIntel Mac mini 2020(4コアCore i3、メモリ8GB、Intel UHD Graphics 630)で価格は124,080円(税込)円であり、CPUやメモリをそれぞれCore i7や16GBにカスタマイズすると更に価格は跳ね上がり、しかもMac miniの場合はグラフィックを強化できないため、快適にゲームをプレイするのなら外付けGPU(eGPU)に更に数万円の投資が必要となる。

Apple Silicon Macの場合はIntel Macより安い場合があるが、前述のように重いゲームをプレイするにはGPUパフォーマンスに不足がある。

参考までにTSUKUMOのBTO PCとIntel Mac mini 2020のスペックを比べてみよう。

BTO(TSUKUMO)
G-GEAR GA5A-B194/T
Mac mini 2020
89,800円124,080円
Ryzen 5 2600 6コア12スレッドCore i5 6コア6スレッド
メモリ8GBメモリ8GB
SSD 240GB SSD 512GB
GeForce GTX 1660TiIntel UHD Graphics 630

SSDの容量以外はBTOの方が性能が上回っており、加えて価格も安い。

更にMacはMac Proなどを除くと大半の場合パーツをあとから増設することができず、できたとしてもせいぜいメモリや前述のeGPUに留まる。

特にCPUは全Macにおいて交換が不可能である上にeGPUのようなCPU性能を底上げする方法もないため、Macを購入する際はCPUをよく考えて選ばないと仮にMac対応のゲームをプレイしたくても新しくMacを買い直さない限りプレイは不可能ということもある。

また、Apple Silicon Macは現状では一切の増設ができないため買った時のスペックで使用し続けるしかない。

ゲームを前提で考えるのなら対応ゲームの少なさも相まってMacを選ぶのは極めて悪い選択肢だと言える。

なお、Blackmagic eGPU(Radeon Pro 580)を使用したeGPU環境下でのIntel Macでのゲームプレイについては下記記事でまとめている。

Blackmagic eGPUでMacの3Dゲームは快適に動くのか?

macOS Catalinaで32bitソフトウェア非対応になった

近年のMacの歴史における最大の転換として最新のmacOSであるmacOS Catalinaからは32bitソフトウェアが完全非サポートになったという点が挙げられる。

macOS Catalina以降では32bitのソフトウェアの実行が完全に不可能になり、回避する手段はmacOSのダウングレードくらいしかない。

もちろん大半のMac向けソフトウェアは既に64bit対応が成されているが、ゲームとなると話は別であり、大作やここ数年以内のゲームを除くとmacOS向けゲームは32bitのみ対応のものが多数あり、いくつかのゲームでは将来的な64bit対応がアナウンスされているものの大半の既存の32bitゲームの64bit対応は絶望的だ。

少なくともmacOS Catalina以降では大作、または数年以上前のゲームは64bit非対応によりプレイ不可能であるということを前提で考えた方がいいだろう。

入力環境に制限がある

PCゲームをWindowsで長年プレイしてきた身からするとMacでゲームをプレイする上で一番の問題と感じたのが「入力環境に制限がある」ということだ。

macOS CatalinaからはPS4やXbox Oneのコントローラーに対応しているし、Steamもサードパーティーのコントローラーをサポートしているが、FPSなどのシュータータイプのゲームはキーボード・マウスでのプレイを前提としたゲームが多い。

その場合、当然キーボードとマウスでプレイすることになるのだがキーボードはともかくとしてMacのMagic Trackpad 2やMagic Mouse 2でFPSなどのシューターをプレイするのはかなり難がある。

トラックパッドの場合はもはや視点の移動もままならず全くゲームにならなかった他、Magic Mouse 2を使用してもゲーム側は2本指タップやスワイプといったMac周辺機器特有の操作に対応していなかったり、対応していたとしても快適とは言い難いプレイ環境になる。

例えばFPSの場合、普通のマウスでは左クリックで射撃、右クリックでAIM(狙う)、ホイールスクロールで武器切り替えという動作が割り当てられている場合が多いがこの操作をMagic Mouse 2で行うのは極めて困難である。

Macにゲーミングキーボードやマウスを接続してもいいが、大半のゲーミングキーボードやマウスのドライバはWindowsにしか対応しておらず、ゲーミングキーボード・マウスの独自の機能はMacで使えない場合が多い。

仮にゲーミングキーボードやマウスを接続してなんとかゲームのプレイ環境を快適にしたとしても、今度はmacOSの操作が不便になってしまうという問題もある。

コントローラーをサポートしているゲームならいいが、MacはmacOSに特化した独特の入力環境で構築されているため、キーボードやポインティングデバイスを使用したゲームのプレイは非常に困難であると言える。

Boot CampやParallels Desktopを用いる方法も不便

上記で挙げた問題点のいくつかはIntel Macに限りmacOSにデフォルトで用意されているWindows環境構築システム「Boot Camp」を用いれば克服可能だがWindowsのライセンスを持っていない場合、新たに購入する必要がある他、Boot Camp上のWindowsはMacを再起動しないと起動できないという致命的な欠点が存在する。

仮にBoot CampでWindows環境を構築してもゲームをプレイするたびにMacを再起動するのは面倒だろう。

また、Parallels Desktopなどの仮想環境を用いる方法もあるが、その場合パフォーマンスが犠牲になるため高負荷なゲームには不向きである。

更にBoot CampやParallels DesktopでのゲームのプレイはmacOS対応ゲームと違ってカスタマーサポートが一切受けられないという問題も存在する。

また、前述のMacのApple Silicon(ARM)への移行により、これらBoot Campや仮想環境を使用してゲームをプレイする方法も今後は難しくなる事が予想される(Apple Silicon MacではBoot Campは廃止され、x86版のWindowsは仮想環境を用いても動作しない)。

美少女ゲーム(エロゲ)はどうなのか?

ここまではあくまでSteamなどで配信されている3Dアクションゲームなどを軸にしてまとめたが、では美少女ゲーム、いわゆるエロゲはどうなのかというと、Macでのエロゲのプレイは一般的なPCゲーム以上に絶望的である。

Mac対応のエロゲはSteam・非Steam共にほぼ存在しないに等しく、どうしてもプレイしたい場合は前述のBoot CampやParallels Desktopなどの仮想環境を用意する必要がある。

加えてMacでBoot CampやParallels Desktopを利用してエロゲをプレイする人はMacでゲームをプレイする人の中でも極めて少数のため、プレイしたいエロゲがきちんと動作するのかどうか確認する術もない。

更にApple Siliconへの移行により当然エロゲも他のゲームと同じように現状ではどのような方法であってもApple Silicon Macでは動作しない。

なお、Macでエロゲをプレイする方法や、数は少ないもののエロゲの動作確認などは下記記事でまとめている。

MacでWindows専用美少女ゲームをプレイする方法。手順を解説 Mac Parallels Desktopでの美少女ゲーム(エロゲ )動作確認まとめ

それでもMacゲームをプレイするのなら

以上、Macがゲームに向かない個人的な見解を述べてみたが、もしそれでもMacでゲームをプレイしたい場合は下記の点を意識してMacを選んでみてほしい。

  • Apple Silicon Macをあえて選ばず、しばらく併売されるIntel Macを選ぶ
  • CPUは最低4コアCore i5以上
  • メモリは最低16GB以上
  • ストレージは最低256GB以上
  • GPUは出来る限り最高のカスタマイズをする。Mac mini 2018などのようにGPUをカスタマイズできないMacやGPUが非力だと感じた場合はRadeon Vega 64以上のeGPUを導入する
  • PS4・Xbox Oneコントローラーや一般的なWindows PCで使用されるマウスなどを用意しておく

僕としてはMacでゲームをプレイするのは全くお勧めしないが、一度Steamなどで基本プレイ無料のMac対応ゲームなどをプレイしてMacでのゲームプレイがどのようなものなのかフィーリングを経験しておくのはいいかもしれない。