eGPUからの脱却計画を立てる(eGPUへの不満)

このブログでは度々eGPUの話題を扱ってきたし、eGPU関連でこのブログを閲覧される訪問者の方も多いが、管理人自体はeGPUによるメリットよりデメリットの方が大きくなってきたため、近々eGPUからの脱却を考えている。

eGPUの不満点

まずeGPUを2年近く使用してきて経験した問題点、及び今後のMacにおけるeGPUの将来性についての不安・不満を述べる。

トラブルが多い

eGPUの一番の問題点としてはトラブルが多いことだ。

eGPUはThunderbolt 3経由のPCI-Express x4レーン(実効帯域32Gbps)でグラフィックを扱うという形態である以上、どうしてもトラブルが多くなってしまう。

macOS Catalina及びmacOS Big Surでは対応Radeon GPUも増え、フリーズやカーネルパニックなどの問題は少なくなってきているがそれでもトラブルがなくなったわけではない。

例えばTVアプリで映画を見ようとすると映画の再生ウィンドウが強制終了する、あるいはHDCPエラーが出るなどeGPUの動作にはまだまだ不安定な部分が多い(eGPUの接続を解除すれば問題がないため、eGPUが原因であることは間違いない)。

もちろんeGPUはCPU内蔵グラフィックスしか搭載していないMac miniやMacBook Pro 13インチでは絶大な効果を発揮するが、同時にトラブルに対処する必要も出てくる(特に内蔵ディスプレイを持たないMac mini)。

コスパが悪すぎる

画像出典 Apple

更なる不満点としてeGPUはあまりにコスパが悪すぎる。

僕はMac mini 2018本体に20数万円、eGPUに合計20万円近く投資していると思うが、MacとeGPUに40万円近くかけるくらいなら、同じ値段でMacBook Pro 16インチなどを買った方が安定性は上であるし、オールインワンが許容できるのならiMacの方がいいだろう。

僕はiMacのようなオールインワンデスクトップは好きではないのでMac mini 2018を選択したが、ここまでトラブルが多いのであれば最初からMacBook Proの最上位モデルでも買ってクラムシェルモードで利用し、Thunderbolt 3経由でディスプレイを接続した方が良かったのではないかと思っている。

macOSで使用する上で制約が多い

画像出典 Apple
MacでeGPUを利用する際は多数の制約と注意事項が存在する。

eGPUはmacOS High Sierraで初めてサポートされ、以降はmacOS Big Sur Betaに至るまでeGPUを利用可能だが、依然としてMac miniなどの内蔵ディスプレイを持たないMacではFireVault(ディスク暗号化)有効時にログイン画面が真っ暗になってしまうため、eGPUの接続を一度解除するかFireVaultを無効にする必要がある。

加えてeGPUを利用中にmacOSのソフトウェアアップデートを実行すると高確率でトラブルが起きるため、ソフトウェアアップデートの度にeGPUの接続を解除して内蔵グラフィックにDisplayPortケーブル(またはHDMIケーブル・USB-C Alt DisplayPort)とモニターを繋ぎ直し、アップデートが終わったら再びeGPUを接続してモニターにケーブルを接続、というように非常に手間がかかる。

せめてFireVaultログインをサポートしてくれればいいのだが、macOS Big Surでも相変わらずFireVaultログインがサポートされない点は大いに不満を感じている。

また、eGPUの接続解除も僕の環境では10回に1回成功するかどうかというレベルであり、大抵の場合Macを強制終了させる必要がある。

Apple Siliconへの移行発表で雲行きが怪しくなった

AppleによるApple Silicon MacとIntel Macの比較。
これだけ見るとGPUはApple製のみ搭載と取れる。

Appleは2020年6月23日にオンラインで開催したWWDC 2020(世界開発者会議2020)においてApple Silicon(ARM)への移行を発表したが、ARM Macでは恐らくeGPUはサポートされないだろう。

実際に海外のコミュニティでもApple Silicon MacではeGPUがサポートされる可能性は低いという見方が多勢だ。

参考 Apple Silicon Macはサードパーティ製GPUの互換性が低下?可能性が浮上Engadget 参考 New Apple CPU will likely end eGPU on MacReddit

Apple SIliconではiPhoneやiPadのApple AシリーズSoCと同様、CPU・GPUが統合されるためeGPUのサポートは恐らくないだろう。

理論的にはApple Silicon搭載MacでRadeonを搭載したeGPUを接続することは可能だろうが、先程の画像の通り、Apple Silicon Macでは搭載GPUの欄にはっきり「Apple GPU」と書いてあるためeGPUの利用は想定していないように思える。

以前まではBlackmagic eGPU Pro(Radeon RX Vega 56)やSonnet eGFX Breakaway Puck Radeon RX 560などの一体型eGPUがAppleオンラインストアで販売されていたが、2020年9月現在、Appleオンラインストアで購入可能なeGPUはBlackmagic eGPU(Radeon Pro 580)のみとなり、新たにBlackmagicとAppleが共同でeGPUを開発するという話もないため、AppleがeGPUを見限りつつあるようにも感じる。

もちろんIntel Macにおいては今後もしばらくeGPUのサポートは継続されるだろうし新たなRadeon GPUに対応する可能性もあるが、Macが完全にApple Siliconへと置き換わった時、eGPUは無用の長物となっていてもおかしくはない。

また、Apple SiliconではBoot Campはサポートされないため、eGPUをWindows環境で利用するといったことも不可能になってしまう。

参考 Apple独自開発のプロセッサ「Apple Silicon」ではBoot CampでのWindowsサポートはなしGIGAZINE

Mac mini 2018からApple Silicon iMacかMacBook Pro 16インチへ

画像出典 Apple

上記のような不満点を鑑みて、管理人としてはApple Silicon搭載・デザインが刷新されたiMacがリリースされればそちらに乗り換えるか、あるいは今年に出ると噂されているIntelのMacBook Pro 16インチへの乗り換えすらも考えている。

前述の通りiMacのようなオールインワンデスクトップは好きではないのだが、デザインが刷新され、Apple Siliconが搭載された場合はアーリーアダプターとしてはオールインワンのデメリットを考慮しても利用してみたいというのが本音だ。

eGPUを2年近く使用してきて学んだのは、eGPUはパフォーマンス向上という点で大きなメリットはあるが、使用し続けているとメリットよりデメリットが目立ち始め、結局のところディスクリートGPUを搭載したiMacやMacBook Proが一番安定していて良いのではないか、ということだ。

管理人の現時点での個人的な意見としては、特に内蔵ディスプレイを持たないMac miniの購入を考えている場合はApple Silicon搭載のMacがリリースされるまで待って様子見し、今すぐ購入するのであればディスクリートGPU(Radeon)を搭載したMacをお勧めする。

もちろん作業する内容は人によって異なるため「eGPUに意味がない」というわけでは全くない。

ただ、印象としてはeGPUはあくまで「補助」という立ち位置であり「eGPUありきの運用」はデメリットが大きいというのが僕の最終的な結論だ。

まとめ

MacはApple Siliconへの移行というAppleにとってもユーザーにとってもここ十数年で最も大きな変革を迎えるため、今後eGPUがどのような立ち位置になっていくのかはまだ未知数な点が多いが、個人的にはMacにおけるeGPUの将来性は極めて不透明になったと言えると思う。

eGPUは決して安い買い物ではないため、今からMacとeGPUの導入を考えている場合はApple Silicon搭載Macの動向を見てからでも遅くはないだろう。