
4Kモニターの価格も随分と安くなり、加えてHDMI 2.0やUSB-Cでのモニターへの接続が普及し、Mac向けに外部モニターとして4Kモニターを導入するのも敷居が低くなったため、Mac miniやMac Proはもちろん、MacBookシリーズやiMacなどでも4Kモニターを使用したい人は多いと思う。
ここではMac向けに最適なモニター&サイズをppiの観点から検証してみたい。
なお、管理人が検証に使用したモニターは下記。
- 32インチ(4K)BenQ EW3280U
- 27インチ(4K)LG 27UK650-W
- 24インチ(4K)Dell 24UD58-B
- 23.8インチ(Full HD) EIZO EV2450
INDEX
ppiを考慮しよう

MacにはRetina(擬似解像度)という概念があり、ppi(画素密度)の高さを活かして文字やインターフェースの表示を滑らかにすることが可能だ。
4Kモニターにおいても接続すると擬似解像度をmacOSのディスプレイ画面から選択することができ、iPhoneやiPad、iMac、MacBookのようにRetina表示を設定することが出来るようになっている。
ここで注意したいのが、4Kモニターといっても24インチ〜30インチを超える幅広いサイズの製品があり、当然インチが違えばppiも違ってくるので、文字やインターフェースの見た目もサイズに応じて変わってくる。
ppiはそのままmacOSの視認性に繋がってくるので、Mac向けに4Kモニターを選ぶ際はまずはppiを意識した方がいい。
サイズと画面解像度によるppiの違い

続いてモニターのインチサイズと画面解像度によるppiの違いについて考えてみる。
一般的に普及している4Kモニターは24〜32インチのサイズであるが(もちろん40インチや50インチというモニターも存在する)、4K解像度(3840x2160)の場合24インチは184ppi、27インチは163ppi、32インチは138ppiとなっている。
ppi的には24インチ辺りがベストとなるのだが、擬似解像度を上げた際は文字サイズが小さくなるので、擬似解像度で作業領域を広げた際の見易さでは27インチや32インチに軍配が上がる。
24〜32インチのモニターでは最大で46ppiの差があるが、この差はどれほど視認性に影響するのか管理人の所有する24〜32インチの4KモニターやMacBook Proなどで検証してみよう。
なお、下記の検証では24〜32インチ4Kモニターは擬似解像度3008x1692に設定、いずれもアイコンやテキストのサイズは同じであり、同じ距離から接写している。
24インチ4Kモニターでの見え方
ppi:184
アイコン

テキスト

24インチではさすがにppiが高いだけあって文字やテキストは非常にクリアであり、画面に相当近づかない限りドットも目視できないほど精細だ。
27インチ4Kモニターでの見え方
ppi:163
アイコン

テキスト

液晶パネルの品質にも見た目は左右されるため、一見するとppiが低いはずの27インチの方が綺麗に見えるが、よく見てみると27インチでは無数の線状のドットがアイコンに被っていてザラザラとした見え方になっている。
一方テキストについては24インチと違いはほぼなく、「どっちが24インチでどっちが27インチか」と聞かれたらまず分からないほどに同じだ。
32インチ4Kモニターでの見え方
ppi: 138
アイコン

テキスト

27インチと32インチではサイズが5インチ違うが、さすがに32インチとなるとアイコンやテキストに明らかな粗が見え始める。
32インチのアイコン表示においては「マップアイコン」の「3D」の文字が掠れている他、テキストの精細さも欠けている。
ただ、32インチともなるとそれだけモニターとの距離も離れるため、「アイコンや文字が汚い」と意識に上ることはあまりない。
MacBook Pro 13インチでの見え方
次にネイティブ解像度2560x1600のMacBook Pro 13インチモデルを見てみよう。
ppi:227
アイコン

テキスト

24インチや27インチ、32インチモニターと比較してアイコンには線状のドットやジャギー(ギザギザ)もほとんどなく、非常にクリアに表示されている。
ただ、テキストについては24インチ・27インチモニターと比べると劇的な違いはない。
一般的な23.8インチFHDの見え方
最後におまけとして一般的な23.8インチFHD 1920x1080を見てみよう。
ppi:92
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テキスト

23.8インチFHDは今までの比較画像と比べると一目瞭然で、アイコンにおいてはマップアイコンの3Dの文字が判別不能なほどに潰れており、テキストもかなりのジャギーが目立つ。
一度高ppi環境に慣れたら戻れないレベルと言っても過言ではない。
24インチと27インチではそれほどの違いはなし。32インチでも実使用には堪える
以上、検証してみた限り24インチと27インチでは4Kの場合、アイコンの見え方に変化はあるものの、離れて見ればまず違いはわからず、テキストについてはもはや近づいて見てもそれほどの違いは感じられない。
また、32インチでは明らかにアイコンやテキストが粗くなるものの、32インチだと画面からの距離も開くため、少なくとも管理人が日常的に使用している感触としてはアイコンやテキストの粗さが常時気になるということはあまりない。
擬似解像度を3008x1692などの高解像度に設定した際は文字が小さくなり27インチや32インチの方が視認性に優れるため、24インチよりは27インチや32インチの方がおすすめである。
40インチ以上の場合
では40インチ以上の4Kモニターの場合はどうだろう。
例えば43インチの4Kモニターの場合は102ppiまで下がる。
102ppiという数値は27インチのWQHD(2560x1440 109ppi)より下であり、一般的な24インチFHDモニターの92ppiと比べても10ppiしか違わないため、かなり文字は粗くなる。
もちろんドットバイドット(擬似解像度を使わない)の使用であれば43インチは3840x2160の解像度を作業領域としてふんだんに利用出来るが、ppiが低いため文字やアイコンはかなり粗い表示になる。
43インチともなるとそれだけ画面からの距離も開くことになるが、102ppiという画素密度は離れて見たとしても綺麗とは言い難いだろう。
もし20〜30インチのモニターと40〜50インチのモニターを店頭で確認することが可能であれば、その場で見やすい適切な距離を取って画面を注視して画素密度の違いを意識してみてほしい。
結論
結論として、24インチ〜32インチ程度の4Kモニターであればppiが最大で46違うと言えど見え方に関しては劇的な違いはないため、どれを選んでも問題はない。
特に24インチと27インチの違いはほぼ気づかないレベルのため、24インチと27インチではどちらを選んでも画素密度の影響はほぼないだろう。
前述した通り27インチ、あるいは32インチでは擬似解像度を上げた際に「文字が小さすぎて見えない」ということが起こりにくいため、設置スペースに余裕があるのならば27インチ〜32インチ程度の4Kモニターがおすすめとなる。
一方で40インチ以上になると当たり前ではあるがppiはどんどん下がっていき、作業領域は多くなるが、文字やアイコンの見た目の綺麗さは犠牲になる。
Macの外部モニター用途として4Kモニターを選ぶ際は”見た目の綺麗さを取って24インチ〜32インチ程度までのサイズにする”か”作業領域を確保するために大きめのサイズを選ぶか”の二通りの選択肢があると思う。
サイズが大きい4Kモニターは一般的に価格がまだまだ高いため、それらの4Kモニターを購入する際は一度家電量販店などで現物を確認した方がいいだろう。