M1 Mac miniを買って1ヶ月。M1XやM2を待てるなら待ったほうがいい

画像出典 Apple

M1 Mac miniを購入して丸1ヶ月経つので、この1ヶ月M1 Mac miniを使い倒した所感を書いておきたいと思う(主に残念に感じた点)。

購入したM1 Mac miniはRAM 16GB・SSD 512GB。

以前までの環境はMac mini 2018(Core i7 8700B・RAM 32GB・SSD 512GB)+Blackmagic eGPU(Radeon Pro 580 VRAM 8GB)。

モニターはBenQ EW3280Uを主に使用。

2021年3月29日追記
その後、トラブルに耐えかねてIntel Macへと環境を戻しました。
M1 MacからIntel Macに戻った理由

M1 Mac miniを丸1ヶ月使った感想

Mac mini 2018+eGPUからの移行ではそれほど速くなった印象がなく、むしろグラフィックスパフォーマンスは落ちる

M1 Macは速いと持て囃されるし、実際にベンチマークなどではCore i9のMacBook Pro 16インチモデルを上回るが、少なくともMac mini 2018(Core i7 8700B 6コア12スレッド)と比べると巷で言われているような「爆速」と感じることはない。

確かに動画をHEVCで書き出したり、Affinity PhotoやAffinity Designer(M1最適化済み)で何枚ものレイヤーを重ねて編集するなどの作業は非常に速くサクサク動き、軽いアプリなら即座に起動するなど即応性に優れるが、一方でブラウザでのWeb閲覧や写真アプリでの写真の表示・編集・クイックルックでの画像のプレビューなどの主にUI面での動作はMac mini 2018+Blackmagic eGPU(Radeon Pro 580)の方がヌルヌル動き、グラフィックスパフォーマンスという点では劣ってしまう。

M1 Mac miniを触ってまず最初に目についたのが、その速さではなくeGPUを接続したMac mini 2018と比べてブラウザのスクロールやクイックルックのプレビュー動作がもたつくという点だ(場合によってはLaunchpadももたつく)。

擬似解像度が2560x1440までなら問題ないのだが3008x1692になるとそこかしこにグラフィックスパフォーマンスの限界が見て取れるようになる。

Blackmagic eGPUとM1のGPUでは劇的とまではいかないものの確かな性能差があり、加えてBlackmagic eGPUは独立した8GBのVRAMを持つため、当たり前ではあるがグラフィックスパフォーマンスという点でM1はIntel Mac向けの今では数万円程度となったeGPUにも劣ってしまう(それでもCPU内蔵グラフィックスと比べれば雲泥の差ではあるが)。

画像出典 Apple

AppleはM1のGPU性能は2.6 TFLOPS(単精度)と謳っているが現在iMac 5K(Intel)で選択できるGPUの「Radeon RX 5700XT」がおよそ9.75 TFLOPSであり、M1のGPU性能はCPU内蔵グラフィックスと比べれば圧倒的な性能だがヘビーユースにはまだ堪えられないという印象(M1はローエンドチップのため比較自体が間違っているが)。

外部モニターのトラブルが多すぎる

とにもかくにもM1 Macの印象は「外部モニターのトラブルが多すぎる」という点に尽きる。

スリープ復帰後に色が反転するなどの外部モニターのトラブルが日常茶飯事

「YUVリミテッドレンジになる」、「Mac miniのHDMIポートでは3008x1692の擬似解像度が選べない」、「DisplayPortに接続するとリフレッシュレートが30Hzになる」、「スリープからの復帰にこける」、「モニターに信号が行かない」、「モニターの色が反転する」など例を挙げれば枚挙にいとまがない。

M1 Macだけの問題ではなくmacOS Big Sur自体にも原因があるのだと思うが、eGPUのトラブルから解放されるためにM1 Mac miniを購入したのに今度は毎日のように外部モニターのトラブルに悩まされている。

管理人が朝起きてM1 Mac miniですることは解像度や色相がおかしくなった外部モニターを物理的に再接続することであり、もはやこれが当たり前となってしまった。

それでもeGPUを接続したMac mini 2018と比べればmacOSのアップデートなどはやりやすくなったし、eGPU接続下では不可能だったFireVaultログインも利用できているので恩恵はあるのだが、外部モニター周りの安定性はどうにかならなかったのかと思う。

また、BenQ EW3280U及びLG 27UK650-W双方においてHDMI・DisplayPort共にHDRを有効にするとクロマサブサンプリングにより色数が間引かれるため、HDRコンテンツの視聴にもあまり向かない。

ポートが足りない

上がMac mini 2018、下がM1 Mac mini

M1 Macの中ではM1 Mac miniは最もポートが豊富であり、USB 3.1 Gen1 Type-Ax2、Thunderbolt/USB 4x2、イーサネット、HDMI、ヘッドフォンジャックが搭載されているがMac mini 2018と比べるとThunderboltポートが2つ減っており、更にイーサネットも1Gbまでとなる。

イーサネットが1Gbまでというのは僕の用途では全く影響はないのだがThunderboltポートが2つ減ったのは大きく、管理人はApple純正のUSB-C Digital AV Multiportアダプタやドングルなどを使用している状態だ。

また、M1 Mac miniはHDMIとThunderboltポートを2つ使用することにより公式ではM1 Macで唯一最大2台のディスプレイをサポートしているが、管理人の環境ではそもそもHDMIポートの制限やトラブルが多く、M1 Mac miniのHDMIポートは無用の長物と化してしまっている。

Intel Macと比べるとやはりスワップは多い

M1 Macにおいてメモリスワップ量の多さが主に海外で問題になっており「SSDの寿命に影響するのではないか」という懸念が広がっっているが管理人の環境では海外ユーザーのように数十TBものデータが書き込まれるといったことはなく、購入後1ヶ月でのSSDへの総書き込み量は2TB程度だ。

参考までに丸2年、毎日使用したMac mini 2018の総書き込み量は下記の通り。

Macでディスク(SSD)の総書き込み量を調べる方法

ペース的に言えばM1 Mac miniの方が書き込み量は多く、このままだと単純計算で2年後には書き込み量が48TBになるがM1 Mac miniはセットアップやベンチマークなどで大量のアプリケーションをインストールしたため、この1ヶ月での書き込み量が高くなるのは当然だ。

また、最近のSSD、例えばSanDiskのUltra 3D SSDのTBW(Total Bytes Written - どの程度の書き込みで消耗が発生するか)という指標は400TBとなっており、1ヶ月で数十TBなら影響があるだろうが2TB程度なら全く問題はないと言っていい。

とはいえ、Intel Macと比べてスワップしやすいのは確かであり、Chrome・メール・ミュージック、LINEなどの一般的なアプリを立ち上げているだけで現在のスワップ使用領域は2.38GBに達している。

Mac mini 2018は2年ほど前に当初は16GBモデルを、その後に不足を感じて自分でMac miniを分解し32GBに増設したがMac mini 2018を16GBで使っていた頃よりもスワップが頻発し、ともすればサブのMacBook Pro 13 Mid 2019 RAM 8GBモデルよりスワップすることもある。

原因については海外では「M1に最適化されていないアプリのメモリリーク」、「Spotlightのインデックス生成によるもの」、「ブラウザ(SafariやChrome)の問題」など色々な説があるが管理人の意見として、それらの他にCPUとGPUでメモリが共有されているということも大きいのではないかと最近は感じている。

Intel MacではCPU内蔵グラフィックスの場合はメインメモリの内あらかじめ1536MB(1.5GB)をVRAM用に予約し、1536MB以上を使うことはなく、加えてディスクリートGPUを搭載していたりeGPUを接続している場合はそちらのVRAMを使用する。

Intel Mac CPU内蔵グラフィックスの場合、メインメモリの内、最大で1536MBをVRAM用に予約するがそれ以上は使用されない

対してM1 Macのユニファイドメモリの場合はCPU・GPUの要求に沿って動的にメモリを割り当てるために16GBモデルであったとしても必然的にメモリ使用量は高くなる。

画像出典 Apple

もちろんこれだけが理由だけではないだろうが、管理人のM1 Macのメモリ使用量の分析でもGPUを酷使するアプリやゲームではメモリ使用量もスワップ使用領域もモリモリと上がっていくことを確認している。

M1 Macのメモリの挙動分析

M1 Macの最大メモリが現在のところ16GBまでなのはM1チップの制限なのだと思うが、ユニファイドメモリである以上16GBでも足りないと言える。

ただ、スワップが頻発してもパフォーマンス低下を感じることはまずなく、これはゲームなどの重いアプリを実行している時でも同様なのでメモリやスワップの使用量を注視していない限りユーザーがスワップを意識することはほとんどない。

M1Xのスペックとベンチマークがリークされている

情報の正確性は全く保証されないが既に次期Mac用のApple Siliconチップと思われる「M1X」の情報とベンチマークがCPU-Monkeyというサイトにリークされている。

参考 Apple M1X - Benchmark and SpecsCPU-Monkey

CPUが12コア

画像出典 CPU-Monkey

リーク情報によればM1XのCPUコアは現行のM1 8コア(高性能コア4・高効率コア4)から12コア(高性能コア8・高効率コア4)になっている。

GPUが倍の16コア

画像出典 CPU-Monkey

リーク情報によればM1XのGPUに関しては現行のM1 8コアから倍の16コアになっている。

同サイトにはベンチマークも掲載されているが、ベンチマークではGPU性能はM1の倍となっている。

画像出典 CPU-Monkey

ただ、ベンチマークのスコアは単純にM1の2600という数値を2倍にしただけであると思われるため、非常に疑わしい。

とはいえAppleもiMacやMacBook Pro 16インチモデルなどのハイエンドMacでは現行のM1のGPU性能では不足していると認識しているはずなので、次期Apple Siliconチップ(M1X)では十中八九GPU性能を上げてくるだろう。

最大メモリは32GB

画像出典 CPU-Monkey

リーク情報によればM1Xの最大メモリは現行のM1の最大である16GBから32GBに引き上げられている。

今すぐ必要でないのならM1XやM2など次期Apple Siliconチップを待った方がいい

前述のリーク情報はあくまでリークで単なるデタラメの可能性もあるが次期チップが登場するのは確実であり、次期iMacやMacBook Pro 16インチ用と目されるM1X(あるいはM2)チップは現行のM1と比べて特にGPU性能が劇的に向上するはずだ。

現行のM1のGPUはIntelのCPU内蔵グラフィックスと比べると素晴らしいパフォーマンスなのだが、擬似解像度を上げたり、GPUに極端に負荷がかかるアプリやゲームでは少々力不足だ。

もちろんCPUだけに限っていえば全Mac中で最も高いシングルコア性能を有しており、プロ用途やヘビーユースでも問題はないが、擬似解像度を3008x1692に上げただけでmacOSのUIすらもたつくのはやはり心許ない。

加えて現時点においてはmacOS Big Surも安定しておらず、また、外部モニターとの互換性もイマイチなので今すぐ新しいMacが必要というわけではないのなら、macOSが熟成され、性能も向上し、恐らくデザインも刷新されるだろうと思われる次期M1XやM2チップを搭載したiMacやMacBook Pro 16インチモデルが出てから改めて考えてみるのもいいのではないかと思う。

特にMac mini 2018にeGPUを接続して使用している場合はM1 Macに移行するとeGPUのトラブルや制約からは解放されるが、グラフィックスパフォーマンスは数段落ちてしまう。

また、外部モニターとのトラブルも多いため、もし今M1 Macを購入するというのであれば外部モニターありきのM1 Mac miniよりM1 MacBook AirやProをお勧めする。

管理人はM1 Mac miniを購入して後悔しているわけではないが、ここまでトラブルが多いとは思わなかったというのが正直なところだ。