M1 MacとIntel Macの比較ベンチマークとM1チップの挙動

M1 Mac mini(RAM 16GB・SSD 512GB)とIntel Mac mini 2018(Core i7 8700B・ RAM 32GB・SSD 512GB・Blackmagic eGPU Radeon Pro 580)とのベンチマーク比較とM1チップのCPUの挙動についてまとめる。

なおIntel Mac mini 2018のCPU内蔵グラフィックス(Intel UHD 630)はM1ともBlackmagic eGPUとも比較にならないほど性能が低いため、本記事ではIntel Mac miniはBlackmagic eGPUを接続した状態を前提とする。

M1とBlackmagic eGPUを比較するのは正直どうかと思ったのだが、M1とパフォーマンス的に最も近いGPUというとBlackmagic eGPU(Radeon Pro 580)しかないためご理解頂きたい。

なお、Intel Mac miniはmacOS Catalina。M1 Mac miniはmacOS Big Sur。

擬似解像度は両者共3008x1692であり、どちらも再起動して他のアプリが起動していない状態で行った。

CPUテストM1 Mac mini VS Intel Mac mini

ベンチマークに使用したGeekbench 5Cinebench R23はどちらもApple Siliconに最適化されているためRosetta 2は介さず、オーバーヘッドはない。

Geekbench 5

M1チップはシングルコア・マルチコア両方でIntel Core i7 8700Bを打ち負かす上にシングルコアの性能はiMac 2020のCore i7 10700K以上となる。

シングルコア性能では全Macの中でダントツとなる

Cinebench R23

Geekbench 5と比べると両者のスコアは僅差だが、それでもM1が僅かに上回る上にCinebench R23は全コアに負荷がかかるため、ベンチマーク中のCore i7 8700Bの温度は100度に達していた。

リザルトグラフ - マルチコア

CPUアイドル・ピーク時消費電力 M1 Mac mini VS Intel Mac mini

グラフについてはM1とCore i7のアイドル時の消費電力が違いすぎてグラフにするとかえって見にくくなるためなし。

M1高効率コア(Icestorm)

アイドル時

M1 Macの高効率コアのアイドル時の消費電力は42mW(0.042W)

ピーク時

ピーク時の消費電力は1231mW(1.231W)

M1高性能コア(Firestorm)

アイドル時

M1 Macの高性能コアのアイドル時の消費電力は37mW(0.037W)

ピーク時

ピーク時の消費電力は12034mW(12.034W)

Intel Core i7 8700B

アイドル時

Intel Core i7 8700Bのアイドル時の消費電力は4.22WIntel Power Gadget読み)。

ピーク時

ピーク時の消費電力はCPUパッケージ全体で60.05W、コア全体で56.93W。

温度がTJunctionである100度を超えているため保護機能が働き通常よりクロックが3.6Ghzに落とされている。

CPUアイドル・ピーク時温度 M1 Mac mini VS Intel Mac mini

M1

アイドル時

M1 MacはSoCのため、どのセンサーを見ればよいのか正直よくわからないが、CPU負荷時に最も温度が高くなるであろうダイのアイドル時の温度は27度iStat Menus読み)。

ピーク時

M1 Macのピーク時のダイの温度は最高で47度

Intel Core i7 8700B

アイドル時

Intel Core i7 8700Bのアイドル時の温度は47.2〜47.8度とデスクトップ用CPUとして考えても少々高い。

ピーク時

ピーク時のパッケージの温度は100度(計測不能)Macのセンサーは100度以上の値は読み取れないため、恐らく温度は100度以上に達しているはず。

リザルトグラフ

値は摂氏

僕の環境ではM1チップのピーク時の温度がCore i7 8700Bのアイドル時の温度という興味深い結果になった。

GPUテスト M1 Mac mini VS Intel Mac mini (Blackmagic eGPU)

Intel Mac miniに接続しているBlackmagic eGPUの仕様はRadeon Pro 580 VRAM 8GBであり、Radeon RX 580のカスタム品となる(クロックが通常のRX 580より落とされている)。

Geekbench 5 Metal

当然だがM1をBlackmagic eGPUが圧倒する。

Unigine Heaven

Unigine HeavenはApple Siliconに最適化されていないため、Rosetta 2による変換でオーバーヘッドが生じる。

Geekbench 5ほどのスコア差ではないがそれでもBlackmagic eGPUの方が勝っている。

ただ、Rosetta 2を介していながらこれだけのスコアを出すM1チップもすごいと感じる。

なお、Unigine Heavenの画像を見るとUnigine HeavenはM1のGPUのメモリ(VRAM)を「256MB」と認識しているようだが、M1はユニファイドメモリのためVRAMは動的に変化すると推測している。

リザルトグラフ

Geekbench 5 Metal
Unigine Heaven OpenGL スコア
Unigine Heaven OpenGL 平均FPS

GPUピーク時消費電力 M1 Mac mini VS Intel Mac mini Blackmagic eGPU

続いてはUnigine Heaven実行中のM1・Blackmagic eGPUの消費電力比較。

こちらもグラフについてはM1とBlackmagic eGPUのアイドル時の消費電力が違いすぎてグラフにするとかえって見にくくなるためなし。

M1

アイドル時

M1 Macのアイドル時のGPUの消費電力は12mW(0.012W)

ピーク時

ピーク時のGPUの消費電力は5724mW(5.724W)

Blackmagic eGPU

アイドル時

Blackmagic eGPUのアイドル時の消費電力は65W

ピーク時

ピーク時の消費電力は175W

GPUピーク時温度 M1 Mac mini VS Intel Mac mini Blackmagic eGPU

M1

アイドル時

M1 Macのアイドル時のGPUの温度は30度

ピーク時

ピーク時の温度は43度

Blackmagic eGPU

アイドル時

アイドル時のBlackmagic eGPUの温度は29度とM1チップより低く、さすが筐体が大きく巨大なファンが回っているだけはある。

ピーク時

ピーク時の温度も40度と筐体とファンのおかげで温度は低め。

リザルトグラフ

値は摂氏

さすがに巨大な筐体とファンのおかげでeGPUは消費電力の割には温度は低めで、更に今までの使用でファンノイズが気になったこともない。

SSDテスト M1 Mac mini VS Intel Mac mini

Blackmagic Disk Speed Test

続いてはBlackmagic Disk Speed TestでSSDの速度を計測。

なお、M1 Mac miniもIntel Mac miniもSSDの容量は同じ512GBであるが、Intel Mac miniの方が100GBほど空き容量が少なく、加えてIntel Mac miniは3年近く酷使したマシンであるため、フェアなベンチマークではない。

リザルトグラフ

Intel Mac miniの方が空き容量が少なく3年近く酷使したマシンであることを考えてもM1 Mac miniは特にWriteのスピードが速く、M1チップにSSDコントローラが内蔵されたことでSSDの速度が向上した可能性がある。

M1チップのCPUの挙動

通常Core i7などのIntel CPUではHyperThreadingで論理コアが存在する場合はmacOSもWindowsも物理コアの方から先に使い、物理コアで捌ききれなくなった場合は論理コアによる処理が始まるという傾向がある。

上記画像はIntel Core i7 8700Bの挙動だが、左側1列は物理コアであり、見てもわかる通り低負荷時は物理コアのみで処理を行なっている。

対してM1チップはもちろん高効率コアから先に処理を始める傾向は見て取れるのだが、低負荷時であってもしばしば高性能コアによる処理が行われている。

上記画像は比較的低負荷時のM1チップの挙動だが、全てのコアがほぼ均等に処理をしている。

Core i7 8700Bと比較するとスレッド数が4つ減っているため、Core i7より処理を行うコアが増えるのは理解出来るが、M1 MacではIntelやAMD CPUのようにSMT(同時マルチスレッディング)がない影響か、惜しみなく全スレッド(全コア)を使うようだ。

アプリの起動速度

よくM1 Macは「アプリの起動が速い」と言われるが、個人的にはM1 Mac miniとIntel Mac miniを比較しても特別速くなったという印象はない。

アプリ起動速度 - Intel

ミュージック
Safari

アプリ起動速度 - M1

ミュージック
Safari

GIF画像では伝わりにくいが、気持ちM1の方が速いかなという程度であり「爆速で感動する」といったことは正直なかった。

まとめ

全体的に見ると超低消費電力の割にはCore i7 8700Bを打ち負かす上に、わずか5Wの消費電力で175Wを消費するBlackmagic eGPUに迫る性能は素直にすごいと思う。

もちろん、低消費電力と言ってもRAMやNeural EngineなどM1チップ全体では本記事でまとめた消費電力よりも電力は食うだろうが、ベンチマーク中もMac mini本体は多少暖かい程度であり、ファンノイズも正直僕の耳には聞こえなかった。

現在Mac mini 2018のCore i7モデルを使用しており、なおかつeGPUを運用している場合はM1 Mac miniに乗り換える意味は薄いかもしれないが、消費電力や発熱に困っているならM1 Mac miniも十分に選択肢としてありかと思う。