
Appleは日本時間2020年9月17日午前5時3分(管理人の環境)にiOS 14をリリースした。
ここではiPhone X上でのiOS 14の所感及びiOS 13と比べてパフォーマンスはどうなったのかベンチマークも交えてまとめる。
なお、iOS 14のビルド番号は18A373であり、これはiPadOS 14のビルド番号と変わらない。
また、watchOS 7やiPadOS 14も同日リリースされたが、小粒な変更に留まるためそちらは扱わない。
SIMフリーiPhoneをご使用の方は慎重を期した方がいいかもしれません。
INDEX
iOS 14の主な新機能
オタク丸出しの壁紙を使用しているが最早オタクであることに何の羞恥心もないため、本記事では普段使用しているiPhoneのスクリーンショットを何も編集せずに掲載している。
Appライブラリ

新たに自動でアプリを整理してくれる「Appライブラリ」という機能が追加された。
アプリの一覧は全てこのAppライブラリに表示され、更にアプリの検索なども可能になっている。
また、Appライブラリは一見するとフォルダで分けられているように見えるが、よく使うアプリケーションはアイコンサイズが大きく表示され、タップするだけで即座にアプリが起動する。

また、アプリを削除する際、アプリをiPhoneから完全に削除する他に「Appライブラリへ移動」という選択が追加され、アプリをAppライブラリへ移動させればアプリを削除せずにホーム画面からアプリを隠せるようになった。
ウィジェット

新たにウィジェットなどをホーム画面に表示できるようになった。
一部のウィジェットには大・中・小サイズのウィジェットも存在する他、スマートスタックというウィジェットを追加すれば上下のスワイプ操作でウィジェットの表示内容を変更できるようになった。

このスマートスタックウィジェットは所有者の使用状況や位置情報、カレンダー上のイベントを自動認識して最も適切なウィジェットを自動で表示してくれる。

なお、スマートスタックウィジェットを長押しして「スタックを編集」をタップすればスマートスタック内の不要なウィジェットは削除できる。
ホーム画面編集機能

アプリを長押しするなどしてホーム画面を編集するとウィジェットの追加(①)の他、不要なホーム画面をオフにする機能が追加された。
ホーム画面編集モードにして画面下部のホーム画面切り替えボタン(②)をタップするとホーム画面一覧表示に切り替わる。

上記画像のホーム画面一覧表示でチェックをオフにしたホーム画面は非表示になり、不要なホーム画面を隠せるようになった。
ピクチャインピクチャ
ピクチャインピクチャはiPadOSでは既に対応していたが、ついにiPhoneでも利用できるようになった。

YouTubeアプリでは(恐らくYouTube Premiumとの兼ね合いで)ピクチャインピクチャは利用できないが、ブラウザからWeb版のYouTubeを表示して動画を最大化し、スワイプ操作でホーム画面に戻る(ホームボタン搭載iPhoneの場合はホームボタンを押す)と自動でYouTubeの動画などがピクチャインピクチャになる。
デフォルトブラウザ・メーラーの変更
アプリ側の対応が必要だが、iOS 14では設定画面から各ブラウザやメーラーの設定を開くことでデフォルトブラウザ・メーラーを変更できるようになった。

デフォルトブラウザを変更するには設定画面からGoogle Chromeなどのサードパーティーブラウザアプリをタップし「デフォルトのブラウザApp」をタップする。

ブラウザ一覧が表示されるのでデフォルトにしたいブラウザをタップして選択して完了だ。

同様の手順でデフォルトのメーラーも変更可能だ。
翻訳
新たに翻訳アプリが搭載され、声による入力かテキスト入力で各言語を簡単に翻訳できるようになった。
また、翻訳後の文章を音声で再生して相手に聞いてもらうことも可能だ。
利用できる言語は下記の通り。
- アラビア語
- イタリア語
- スペイン語
- ドイツ語
- フランス語
- ポルトガル語
- ロシア語
- 中国語
- 日本語
- 韓国語
- 英語(英国)
- 英語(アメリカ)

実際に試してみたが、上記画像を例にすると「この道をまっすぐ行くと駅です」の訳は「it's a station」ではなく「there's a station」が適切と思われるため翻訳の精度に関しては少なくとも日本語はあまり良いとは言えない。

上記画像は全く同じ文章をGoogle翻訳で翻訳した結果だがこちらの方が自然だ。
とはいえ外国人観光客などに道を聞かれた場合は重宝するだろう(このご時世なので外国人観光客を見かけることは少ないが)。
前述の通り、翻訳後の文章は再生ボタンを押すことでその言語で音声を再生可能だ。
なお、この翻訳アプリはオンラインでデータベースと通信しているが設定からオフラインに切り替えればネット環境がなくても翻訳機能が利用可能。

ただしオフラインに切り替えた場合、翻訳の精度は落ちる(上記で試した翻訳はオンラインモード)。
Safari

Safariでは新たにプライバシーレポート及びトラッキングをブロックする機能が追加された。

アドレスバーのレターアイコンをタップして「プライバシーレポート」を有効にすると広告やアクセス解析によるトラッキングをブロックしてくれる他、ブロックしたトラッカーの詳細も確認可能だ。
これによってアクセス解析やGoogle Analyticsの解析をブロックできるわけではないようだが、追跡型広告の排除に一役買ってくれるだろう。
Siri

従来まで全画面を覆っていたSiriがコンパクトになり、アニメーションも一新された。

また、デフォルトではサイレントモード(マナーモード)時は音声ではなくテキストで答えを返すようになった他、サイレントモード時以外ではテキストは表示されず音声だけになっている。
ミュージック

ミュージックアプリも一新され、Apple Musicに加入していれば自分専用のステーションが用意される他、ユーザーの好みにあったApple Musicの楽曲を自動キュレーションしてくれる。

また、再生画面では新たに無限ボタンが追加され、このボタンをタップして有効にするとプレイリストなどが終了した後でも、そのユーザーの好みに合った曲を自動再生してくれる。
ただし僕の環境ではこの機能は有効に働いておらず、プレイリストが終了した場合はそのまま再生が終了してしまう。
マップ

マップアプリでは地図の精度が向上した他、Google Mapの「ストリートビュー」に当たる「Look Around」という機能が一部の都市で有効になっている。

Googleストリートビューと同じく360度の視界が広がり、タップして道を進むことも可能だ。
この機能は8月には提供されていたがiOS 14では一部の都市が更に追加されている。
電話機能UIの改善

iPhone使用中に電話やFaceTimeの着信があった場合、iOS 14ではデフォルトではコンパクトなバナーで表示されるようになった。
このバナーを下にスワイプすれば従来の全画面表示にもできる他、着信に応答した後は左上に電話アイコンが小さく表示されるようになっている。

従来までの着信画面は画面全体を覆ってiPhoneでの作業などが中断されることがあったため、これらの変更はありがたい。
AirPods接続時のバナーと自動切り替え

AirPods接続時に画面上部にAirPodsが接続されたことを知らせるバナーが表示されるようになった。
また、対応するAirPods(第2世代、及びPro)やBeatsヘッドフォンなどでiOS 14、iPadOS 14、macOS Big Surとの間で自動的にオーディオの再生を切り替える(転送する)自動切り替え機能も実装された。
参考 iPhoneとほかのデバイス間でAirPodsを自動的に切り替えるApple背面タップ

iOS 14では新たに「アクセシビリティ」>「タッチ」の項目に「背面タップ」という項目が追加され、iPhoneの背面を指でダブルタップ、もしくはトリプルタップすると設定した機能にアクセスできる。
背面タップの機能には一般的な操作に加えて「ショートカット」アプリのギャラリーから追加したショートカットも登録できる。

分厚いケースを付けているわけでなければiPhoneの背面を指でコンコンと叩くと背面タップが実行可能だ。
NFCタグリーダー

Lifehackerの記事によればiPhone XS以前、つまり今回iOS 14をインストールしたiPhone Xなどではコントロールセンターに「NFCタグリーダー」が追加される。

このNFCタグリーダーだが、SuicaやPasmo、マイナンバーカードなど様々なICカードをかざしても何の変化もなかったため、どういった場合に使用できるのかはいまいち不明だ。
なお、iPhone 7以降であれば例えばマイナポイントなどの申請に必要なマイナンバーカードの読み取りはiOS 14でなくても問題なく可能だ。
ベンチマーク
続いてGeekbench 5(有料アプリ)で実行したiOS 13とiOS 14のベンチマーク結果を掲載する。


結果から言えばiOS 14ではマルチコアの性能がおよそ500ポイント落ちており、Geekbench 5の基準で言えばパフォーマンスの落ち込みはそれなりにあると言える。
とはいえ僕個人としては体感ではiOS 13とパフォーマンスはほぼ変わらない。
ただし僕はスマホで一切ゲームをやらないため、3Dのゲームを日常的にプレイしているユーザーは若干のパフォーマンスの落ち込みは感じるかもしれない。
watchOS 7の心電図・不規則心拍通知機能の謎

watchOS 7の単独の記事は扱わないが、watchOS 7及びiOS 14の組み合わせでは「Watch」アプリの「心臓」という項目に新たに心電図アプリと不規則心拍通知(心室細動検知)アプリの設定が追加されており、設定自体は可能となっている。

しかしいざ設定を終えて使おうとすると「この地域では使用できません」という表示が出て利用ができない。
以前からApple Watchの心電図・不規則心拍通知機能が日本でも有効可能になるという噂はあったが、現時点ではアプリが追加されただけで利用はできない。
これがAppleのミスによるものなのか、あるいは近いうちにこれらの機能が日本でも利用可能になるサインなのかは不明だ。
iOS 14にアップデートしたらSIMロックされるバグ

今回iOS 14をインストールしたiPhone XはApple Online Storeで購入したSIMフリー版なのだが、iOS 14にアップデートしたところ「情報」の画面で「SIMロックあり」と表示されるようになってしまった。

検索した限り同様の状況の人が何人かいたのだが、どうやらこれはバグのようで実際に「SIMロックがかかり特定のSIMしか使えない」という人もいたため、人によっては致命的なバグと言える。
参考 Twitter検索 SIMロックありTwitter僕はキャリアを変える予定もなく、頻繁にSIMを変えるわけでもないため実害はないがSIMフリーiPhoneを使っている人は注意して頂きたい。
仮にこれが単に表示が間違っているだけの「表示バグ」だとしても混乱を来すため問題だろう。
バグ及び動作検証による注意喚起
前述のSIMロックバグの他にも、各方面からアップデートを控えるように注意喚起が出ているため、これからアップデートを考えている方は注意して頂きたい。
ゲーム関連
その他
まとめ
以上、簡潔にiOS 14の新機能とベンチマークについてまとめた。
個人的にはウィジェットと不要なアプリやホーム画面の非表示機能が非常に便利で重宝しているが、(表示バグだとしても)SIMロックがかかるなど致命的なバグも存在するため、何故このような状態でリリースしたのかには疑問が残る。
とはいえバグを除けば機能は全体的にとても気に入っている。
一部で「まるでAndroidのようだ」という批判もあり、確かにAndroidと似通った部分もあるのだが、今までゴチャゴチャしていたホーム画面が整理され、多数のウィジェットが追加されたことは素直に歓迎したい。
ただ、これはベータではないのでAppleには早急にバグの修正をお願いしたい。