※2022年8月11日追記 本記事で扱った配布サイトは閉鎖されました。
参考:Apple Cracks Down on Websites Sharing iOS 16 Developer Beta
アドレスもリンクも伏せておくが(既に多くの人に認知されているため意味はないかもしれない)、海外にはiOSやmacOSのベータプロファイルをAppleに無断で配布しているサイトが僕が知る限り2年ほど前から存在しており、日本でもそれなりの認知度がある。
パブリックベータなら誰でも登録できるのでパブリックベータプロファイルを配布するくらいであればまだいいのかもしれないが(それでも配布・利用は規約違反であるが)、例のサイトの問題点はデベロッパプログラムに登録しないと入手できないデベロッパプロファイルも配布している点だ。
デベロッパプロファイルというのは本来年額99ドルを払ってデベロッパ(開発者)としてプログラムに登録しないと入手することができない、いわば有料のプロファイルと言える。そのプロファイルを不特定多数に無断で配布しているのはかなり法的に問題があるのではないだろうか。規約違反どころではなく違法であると言える。
だが、Appleはサイトの存在を把握しているはずなのに未だに特に動きを見せておらず、例のサイトに対して何らかの措置を講じたという話も聞かない。
Appleは基本的にネット上の動きに無関心であり、2009年に起きたHackintoshマシンを有料で販売したPsystarという会社を訴えた事件以外では特にAppleが外部サイトに対して何らかの動きを見せたことはないようだ。
Hackintoshに関してもPsystarが訴えられたのは「規約に違反してmacOSをプリインストールしたマシンを有料で販売した」という点であって、Hackintoshそのものに対してはやはりAppleは沈黙を貫いており、ネットを探せばHackintoshのやり方などを解説したサイトやHackintoshプロジェクトは山のように見つかる。探しようによってはmacOS単体のイメージファイルなども存在しているほどだ。
こうして考えると、どうやらAppleは例のサイトも特に問題視しておらず、黙認しているように感じられる。個人的にはデベロッパプロファイルを勝手に配布している時点でHackintosh以上にアウトだと思うし、僕自身例のサイトは数ヶ月もしないうちにAppleからの何らかのアクションを受けて消滅すると思っていた。
ちなみにあまり知られていないが実はAppleはアフィリエイトサービスも提供しており、有料アプリなどを紹介し、閲覧者がリンクを通じてアプリなどを購入した場合に紹介料を受け取れるという「Apple Serviceパートナープログラム」なるものがある。
利益率が低いので多くのアフィリエイターには無視されているプログラムであり、僕自身、旧サイトの運営開始当初に登録しただけでほぼ利用しておらず、アフィリエイトは今後一切やらないと決めた今となっては完全に放置している状態なのだが、通常ASP(アフィリエイト・サービス・プロバイダー)は一定期間利益がなかったり利用していない状態が続くと強制的にアカウントが閉鎖されることが多いにも関わらず、Apple Serviceパートナープログラムの場合、3年間全く利用していない状態でも何の連絡も来ていない。
こういう点でもAppleは本当にネット上の動き、というよりApple外のサイトの動きには無頓着なんだなと実感してしまう。
ついでに言えばパブリック・デベロッパベータに関わらずベータOSの機能についての情報やスクリーンショット・動画をSNSなどにアップすることも規約で禁止されているが、ネット上を見てもらえばわかるとおりYouTube(特に海外)でもSNSでもiOSやmacOSのベータに関する情報で溢れており、これもいわば黙認状態にある。
恐らく例のベータプロファイルを配布しているサイトは今後も存続し、Appleも黙認を貫くのだろう。ただ、たとえAppleが黙認していたとしても「通常であればお金を払わないと入手できないベータプロファイルを入手する」というのは法的に違法なのでやめよう。加えて運営者の情報も分からないので最悪の場合、ベータプロファイルにマルウェアが仕込まれているという可能性も排除できない。