MacやiPhoneなどのApple製品ユーザーであれば「iFixit」という精密機器の修理・分解情報などを扱うアメリカのベンチャー企業をご存知だろう(なお、iFixitはApple製品の情報のみを扱うわけではない)。

今回はiFixit純正の修理工具キット「iFixit Pro Tech Toolkit」を購入したため、開封からレビューまでをざっくりと解説する。
ちなみに何故このような工具キットを購入したのかと言うと、現在使用している工具キットのビットが磁性付きではなかったり、サイズが合わなかったりとMac mini 2018のメモリ交換の際にかなり苦労したこと、PS4やPS4コントローラーの分解を行うことがあること、将来的にiPhoneを分解してみたいと思っているのが主な理由となる。

iFixit Pro Tech Toolkitの概要

iFixit Pro Tech ToolkitはiFixitが販売する修理工具キットの中でも最上位に位置するキットであり、Apple製品に限らず機械ならよほど特殊なものでない限り分解できないものはないと言えるほどの工具が詰まっている。
Pro Tech Toolkitには以下の工具・ツール類が入っている。
特殊ツール類
- 静電気防止用ストラップ
- 吸盤
- 機械などの隙間に差し込んで開ける為のツールとピック9個
- リバースツイーザー2つ
- 標準スパジャ
- ハルバードスパジャ
- 金属スパジャ
- マグネットパッド
- ツール収納用のロール
ビット・ドライバー・アダプタ類
- プラス・000, 00, 0, 1, 2
- マイナス 1, 1.5, 2, 2.5, 3, 4 mm
- トルクス T2, T3, T4, T5
- トルクスセキュリティ(いじりどめ) TR6, TR7, TR8, TR9, TR10, TR15, TR20, TR25
- ペンタローブ P2, P5, P6
- JIS J000, J00, J0, J1
- ヘックスローブ 0.7, 0.9, 1.3, 1.5, 2, 2.5, 3, 3.5, 4, 4.5, 5 mm
- トライポイント Y000, Y00, Y0, Y1
- ナット 2.5, 3, 3.5, 4, 5, 5.5 mm
- スクエア 1, 2
- ゲームビット 3.8, 4.5 mm
- スパナ 6, 8
- トライアングル 2, 3 mm
- iPhone向け 4/1" - 4 mm ドライバーアダプタ
- 150 mm 可動性延長アダプタ(Oval Drive)
- 取り外し用マグネット
- SIM取り出しビット
なお、最上位のiFixit Pro Tech Toolkitの他には以下のラインナップが存在する。
- ドライバーだけの「Mahi Driver Kit - 48 Bit Driver Kit」
- トルクスセキュリドライバー5本が入った「Pro Tech Screwdriver Set 5-piece Torx Security」
- トルクスではない一般的なドライバーが5本入った「Pro Tech Screwdriver Set 5-piece Standard 」
- MacやiPhoneなどの隙間に差し込んで筐体を開けるためのオープナーの「Prying and Opening Tool Assortment 」
- iPhoneやAndroidなどのスマートフォンの分解に特化した「Essential Electronics Toolkit 」
また、上記のキットはあくまで主流の製品であり、この他にも特定のMacなどに特化した様々なキットが存在する。
iFixit Pro Tech Toolkitは上記のリストのキットを一つにまとめたいわゆる「全部入り」である。
また、iFixitの修理工具キットは秋葉館が正規販売店であるが、少なくとも秋葉館のオンラインショップではiFixit Pro Tech Toolkitは扱っていない。
なお、管理人が購入した時はAmazonで9,980円であった。
開封と所感

管理人が購入したのは並行輸入品であるため、いかにもアメリカらしいパッケージで届いた。

パッケージの中にはスライド式のPro Tech Toolkitの化粧箱が入っている。

側面。

背面。

Toolキットが収納されている中箱。

中にはToolkit本体と乾燥剤・オーナーズガイドが入っている。

Toolkit本体はツールロールになっており、マジックテープで折り畳める他、マジックテープを剥がして広げるだけで工具キットにアクセスできる(ビットとドライバーは蓋付きの箱に納められている)。

全てのビットには磁性があり、ネジなどはくっつくがその他の部品までは付かない絶妙な磁力となっている。
今まで使っていたドライバーキットは磁性タイプではなかったため、Mac mini 2018のメモリ増設の際は苦労した。

個人的に嬉しいのが吸盤が付いている点だ。
iPhoneの分解動画を見たことがある人はわかると思うのだが、iPhoneを分解する際はネジを外すのはもちろん、ドライヤーなどで内部の接着剤を温めてから吸盤で裏蓋(もしくはフロント)を外すのが定番の方法となっている。
この吸盤が非常に強力で相当な力を入れないと外れないため、これならドライヤーで接着剤を温めればiPhoneの裏蓋やフロントパネルはスポンッと取れそうだ。

隙間に差し込んでこじ開けるためのピックは破損を考慮してか6個も入っている。

同じく主に機械類をこじ開ける際に使用する金属のスパジャも同梱されているが、側から見るとナイフにしか見えない他、日本ではピッキング禁止法によりマイナスドライバーを携帯しただけで逮捕された事例があるため、本ツールキットの持ち歩きはやめた方がいいだろう。
ちなみにこのスパジャはもちろんナイフではないため、多少鋭利ではあるものの直接肌に当てても切れたりはしない。
総評
総評としてビット類やオープナー(iPhoneなどを外す際のビット・ドライバー以外のツール類)、吸盤など一般的なツールから特殊なビットに至るまで様々な工具が入っており、かなり特殊な機器にも対応できそうだ。
また、ドライバーのグリップ感が非常に良く、力を入れてもそれほど手に負担がかからないのもエルゴノミクス的によく出来ている。
また、化粧箱やキットが納められているツールロールも高級感と「iFixit」というロゴが映えていて所有欲を満たしてくれる。
もし現在使用しているドライバーやドライバーキットに不満がある場合は(特にMacやiPhoneなどのApple製品所有者にとって)非常に満足できる製品だと思う。