Parallels Desktop 15 eGPUパフォーマンス

先日8月14日に仮想環境構築ソフトウェアである「Parallels Desktop」のmacOS Catalinaに対応した最新バージョン「Parallels Desktop 15」がリリースされた。

年間サブスクリプションプランを契約している人は無料で15にアップグレードできる。

今回はParallels Desktop 15で取り急ぎeGPU環境の3Dベンチマークを取ってみた。

Parallels Desktop 15の新機能・改善点

Parallels Desktop 15の新機能や改善点は多岐に渡るが、パフォーマンスの上でのトピックはDirectX 11をサポートし、DirectX 11を使用するアプリケーションでAppleのローレベルAPI”Metal”を経由することによりパフォーマンス上昇を果たした点だろう。

また、Microsoft Officeアプリケーションの起動は最大80%高速化・3Dグラフィックも最大15%高速化しているとParallelsは謳っている。

なお、上記画像の注釈にもある通りDirectX 11のMetalサポートはmacOS Mojaveが必須であり、最適なパフォーマンスを得るにはmacOS Catalina推奨となっている。

テスト環境

ではParallels Desktop 15とBlackmagic eGPUを組み合わせた場合でのベンチマークを取っていく。

Macの環境とParallels Desktopの設定は以下のようになる。

Mac・eGPU環境

使用Mac
Mac mini 2018 Core i7 6コア12スレッド・メモリ32GB

macOS
macOS Mojave 10.14.6

eGPU
Blackmagic eGPU(Radeon Pro 580)

使用モニター
LG 27UK650-W(4K HDRモニター)

擬似解像度
3008x1692

Parallels Desktopの設定

使用Parallels 
Parallels Desktop 15 Pro Edition

使用Windows
Windows 10 Professional 64bit

割り当てCPUコア
2コア

割り当てメモリ
2GB

グラフィック設定
自動

Windows側の解像度
1920x1080

ベンチマーク

Cinebench R15

まずはBlackmagic eGPUでCinebench R15のOpenGLテストを実行。

なおCinebench R20ではOpenGLテストが削除されてしまったため、ここでは有志が開発したCinebench R15 EXTREMEを使用している。

当然だがCinebench R15のOpenGLテストはDirectX 11は関係ないので、Parallels Desktop 15のMetalによるパフォーマンス上昇の恩恵は受けられない。

ちなみにCinebench R15のOSの表示がWindows 8になっているがこれはバグであり、実際に使用したWindowsは10である。

Parallels Desktop 14

Parallels Desktop 15

結果としてはスコアは微増ではあるが、1fpsしか違わないので誤差と考えて差し支えないだろう。

少なくともParallels Desktop 15でのCinenbench R15 OpenGLでのパフォーマンス変化はほぼない。

Unigine Heaven

続いてはDirectX 11に対応しているUnigine Heaven

Parallelsの謳い文句を信じるならDirectX 11を使用するアプリケーションはmacOSのMetalを経由することになるため、パフォーマンスは上がるはずだ。

Parallels Desktop 14

Parallels Desktop 15

結果はというとカクカクである。

これは一体どういうことなのか?

eGPUを接続したParallels Desktop 14でであれほどまでヌルヌルと動いていたUnigine HeavenがParallels Desktop 15ではカクカクで、CPU内蔵グラフィックと大差ないレベルまでパフォーマンスが落ちてしまった。

何度かUnigine Havenを起動し直したり、設定を弄ってはみたものの、Unigine HeavenはどうやってもParallels Desktop 15だと紙芝居レベルのパフォーマンスしか出なかった。

さすがにこれはおかしいので、良好なスコアを出したCinebench R15と極めて低いスコアを出したUnigine Heaven実行中のGPU(eGPU)の使用率をチェックしてみた。

GPU(eGPU)使用率

Cinebench R15実行中のGPU使用率

Unigine Heaven実行中のGPU使用率

Cinebench R15ではeGPUをフルに使っているのに対してUnigine Heaven実行中はGPUの使用率が低く、コアクロックやメモリクロックは上がっているもののGPUのパフォーマンスを十分に発揮できていない。

DirectX 11アプリケーションでのみGPU使用率が下がることから、Parallels Desktop 15のDirectX 11サポート及びMetal経由の処理が上手く機能せず、結果的にGPU使用率が低くなりパフォーマンス低下に繋がった可能性がある。

あるいは単純にParallels Desktop 15のDirectX 11アプリケーション実行中のeGPUの扱いに問題が生じているということもありえる。

いずれにしろ現時点のParallels Desktop 15ではeGPUを使用しているとDirectX 11アプリケーションのパフォーマンスは極端に下がるようだ。

ちなみにエロゲなどはそもそもDirectX 11を使用するエロゲ自体がほぼ皆無なのでパフォーマンスの問題はなかった。

まとめ

てっきりDirectX 11を使用するUnigine HeavenはParallels Desktop 15ではパフォーマンスが大幅上昇!なんてことを期待したのだが、結果としてMac mini 2018+Blackmagic eGPU(Radeon Pro 580)の環境ではCPU内蔵グラフィックと同レベルまでパフォーマンスが落ちてしまった。

僕のMac環境の問題という可能性もあるものの、個人的にはDirectX 11のMetal経由処理の扱い、もしくはDirectX 11アプリケーション実行中のeGPUの扱い、どちらかに問題があるように思える。

いち早くParallels Desktop 15を使用しての感想だが「14を使っているならアップグレードはmacOS Catalinaのリリースまで待った方がいい」と言える。

新バージョンのソフトウェアというのはバグや不具合などが付き物だし、そもそもParallelsもDirectX 11アプリケーションの実行はmacOS Catalina推奨としているので、急いでParallels Desktop 15を利用するメリットは現時点ではない。

新機能は色々とあるが、Sidecarなどの機能はmacOS Catalinaでないと使えないので、Parallels Desktop 15の導入は安定性の面でも機能の面でもmacOS Catalinaまで控えた方がいいだろう。

特に現在Parallels Desktop 14でeGPUを接続してDirectX 11アプリケーションなどを利用しているなら、現時点ではParallels Desktop 15は導入するべきではないと言える。